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国内自動車メーカーに衝撃!? ホンダを抜いてスズキが国内2位に浮上した理由

くるまのニュース / 2021年1月13日 7時10分

2020年1月から11月の国内販売を見ると、1位のトヨタに次いで、スズキが2位についています。軽自動車の販売においても、1位のダイハツとの差はわずかとなったスズキですが、なぜ好調なのでしょうか。

■堅調なスズキと伸び悩むダイハツの違いとは

 2020年1月から11月のメーカー別国内販売台数の順位において、予想外の展開になりました。

 1位は通常通りトヨタですが、2位にスズキが浮上しています。ちなみに、3位はホンダ、4位はダイハツ、5位は日産、さらにマツダ、スバル、三菱と続きます。

 2位に浮上したスズキは、軽自動車が中心のメーカーです。1973年から2006年までは暦年で軽自動車の販売シェア1位を守っていましたが、2007年以降、2014年以外はダイハツが軽自動車販売の1位に君臨。しかし2020年はスズキとダイハツの差が縮まってきました。

 2020年1月から11月の届け出台数を見ると、ダイハツが49万1290台、スズキは48万1514台です。

 軽自動車の販売では、2020年もダイハツが1位を守っていますが、その差は約1万台なので横並びといえるでしょう。

 その背景には、スズキの堅調とダイハツの伸び悩みがあります。

 スズキでは、全高が1700mmを超える「スペーシア」が好調です。

 2017年12月に発表されたスペーシアは標準モデル、エアロモデルの「カスタム」に加え、2018年12月にはSUV風の「スペーシアギア」を追加しました。

 3種類のスタイルを揃えて好調に売れており、軽自動車の販売ランキングでは、ホンダ「N-BOX」に次いで2位です。

 スペーシアのライバル車になるダイハツ「タント」は、2019年7月に4代目モデルへとフルモデルチェンジして発売されましたが、売れ行きが伸び悩み、タントより設計の古いスペーシアを下まわっています。

 タントは販売のテコ入れを目的に、装備を加えながら価格を上乗せしない格安の特別仕様車を設定しましたが、売れ行きを伸ばせないのが実情です。

 タントは従来型と同じく左側のピラー(柱)をドアに内蔵した「ミラクルオープンドア」を採用し、前後ドアを開くと開口幅が1490mmに達して乗降性は抜群です。

 現行モデルは運転席を後方までスライドできるので、ワイドな開口幅を生かしてベビーカーを持った状態で車内に入り、子供を後席のチャイルドシートに座らせ、降車せずに運転席まで移動できます。

 このほかタントは後席の座り心地、操舵感、走行安定性なども改善して商品力を高めましたが、いずれも実際に使ってみないとメリットを実感しにくい装備です。

 そのため購入の決め手にならず、スペーシアにギアを加えたような販売促進の効果は発揮していません。

 またスズキは2020年1月に「ハスラー」のフルモデルチェンジをおこない、売れ行きを伸ばしました。

 約半年後の2020年6月には、ダイハツもハスラーのライバル車になる「タフト」を投入しましたが、後発なのに販売面でハスラーを抜けません。ハスラーには先代モデルからの乗り替え需要もあり、タフトよりも多く売れているのです。

 このように、期待のモデルであるタントとタフトが不調なのに、ダイハツがスズキにどうにか対抗できている理由は、軽自動車の車種数が多いからです。

 スライドドアを備えた軽乗用車は、スズキはスペーシアだけですが、ダイハツにはタントに加えて「ムーヴキャンバス」と「ウェイク」もあります。

 このほかダイハツは、都会的な「キャストスタイル」やオープンクーペの「コペン」も揃えました。

 これらの車種がタントやタフトの伸び悩みをカバーしていますが、いずれも人気車ではないため、スズキに大差は付けられません。

 しかも最近のスズキは、今後の軽自動車市場に不安を感じて、小型車にも力を入れています。

 2020年1月から11月には、小型/普通車の登録台数が約9万8000台でした。これはマツダの13万台に次いで多く、スバルの7万6000台を上まわっています。

 ダイハツの小型/普通車は5万3000台なので、コンパクトトールワゴンの「トール」を発売した後の2017年以降は大幅に増えましたが、それでもスズキにはかないません。

 つまりスズキは、スペーシア、ハスラー、「ワゴンR」を中心に軽自動車を手堅く売り、小型車の「ソリオ」と「スイフト」、「クロスビー」で売れ行きをさらに伸ばしています。その結果、国内販売において2位になったというわけです。

 その点ダイハツは、タントの不振が響き、軽自動車の首位争いでスズキに追い上げられています。

 小型車については、最近になってコンパクトSUVの「ロッキー」などで力を入れるものの、スズキほどの実績はなく、そこで苦戦を強いられているのです。

■小さなクルマが販売の70%を占めるホンダ

 自動車業界の動きを見ると、ホンダの動向も注目されます。ホンダは、2011年に投入した初代N-BOXが好調に売れて、国内市場における軽自動車の販売比率を50%前後まで高めました。

 これは、スズキとダイハツが今後の軽自動車販売に不安を感じて、小型車に力を入れているのとは逆の展開です。

ホンダの主力「N-BOX」(2020年12月マイナーチェンジ)ホンダの主力「N-BOX」(2020年12月マイナーチェンジ)

 しかもN-BOXと「N-WGN」の軽自動車の販売台数に、小型車の「フィット」と「フリード」を加えると、国内で売られるホンダ車の約70%に達します。

 中高年齢層のユーザーにとって、ホンダはスポーティなイメージがありますが、若年層には小さなクルマのメーカーになっているのです。

 軽自動車は小型/普通車に比べると1台当たりの粗利が低く、売れ行きを伸ばしても儲けは少ないです。

 スズキやダイハツは、そこを見越して販売店の規模も全般的に小さいですが、ホンダはいまでも大規模店舗が中心です。

 ホンダがスズキやダイハツと同じ土俵で勝負すると、コストのバランスに無理が生じます。

 ホンダは2000年代の中盤に、クリオ/ベルノ/プリモという3つの販売系列を撤廃して、いまのホンダカーズに統合しました。

 全店で全車を売るようになり、コンパクトで割安なフィットなどが売れ行きを伸ばしています。

 逆に価格の高い「アコード」や「オデッセイ」は、登録台数を下げました。2011年に初代N-BOXを発売すると、この流れが加速して、ホンダは小さなクルマのメーカーになったのです。

 また、2020年1月から11月の販売において、ホンダが従来の2位から3位に下がったのは注目される動きでしょう。

 ホンダの商品企画担当者は「コロナ禍によるマイナスが大きく影響しました。販売不振から抜け出すのに、予想外の時間を要しています」といっています。

 2020年1月から11月の販売台数を対前年比で見ると、ホンダは16%のマイナスです。ほかのメーカーも減少していますが、トヨタは7.2%、スズキは10.6%、ダイハツは12%なので、ホンダの下落はとくに大きいといえます

 2020年10月のホンダは、対前年比がプラス38.1%になり、11月も16.2%伸びました。

 ただし前年比の対象となる2019年10月には、消費増税の影響やフィットがモデル末期だった影響もあり、その際のホンダは対2018年比を30%から40%下げていました。

 つまりホンダは2019年後半に失速していたから、2020年の10月、11月に急増しても、マイナスを取り戻したに過ぎないのです。

※ ※ ※

 このように国内販売の2位のスズキ、3位のホンダ、4位のダイハツは、混戦模様になっています。

 今後のホンダは、小さなクルマのメーカーを脱して、2021年春頃に登場するとされる「ヴェゼル」やミニバンの「ステップワゴン」などの売れ行きを伸ばすことが大切です。

 そこを怠って軽自動車の比率が高まると、「シビックセダン」のように、小型/普通車の廃止が進んでしまいます。

 ダイハツは軽自動車の商品力を高めることが大切です。2021年には「ムーヴ」のフルモデルチェンジが予定され、タントやタフトと同じく、DNGAの考え方に基づいたプラットフォームを採用します。

 走りをいかに熟成させ、安全装備を進化させるかが注目されるでしょう。

 スズキは2020年12月にソリオをフルモデルチェンジしたので、小型車については落ち着いています。

 2021年には「アルト」のフルモデルチェンジが注目され、「ジムニー」の納期は相変わらず約1年と長いので、この期間を短縮することも重要です。

 以上のように、ホンダは小型車、ダイハツは軽自動車、スズキには軽自動車と小型車の両方にバランス良く力を入れて、双方の市場を活性化させて欲しいです。

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