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SUVでもタイヤチェーン装着不可のクルマが増加!? 突然の降雪時の対処方法とは

くるまのニュース / 2021年1月8日 10時10分

冬にスタッドレスタイヤを装着しない人のなかは、雪が降ったらタイヤチェーンを用意すればいいと思っている人もいるでしょう。しかし、最近のクルマにはチェーンが装着できないものも増えているのです。それはなぜなのでしょうか。

■タイヤチェーンを装着できないクルマが増えている!?

 クルマの冬支度の定番ともいえる「スタッドレスタイヤ」ですが、雪が少ない地域に住んでいる場合、ノーマルタイヤ(夏タイヤ)のままで1年を過ごす人も多いのではないでしょうか。

 ここ数年は雪が少ないシーズンが多く、さらに、年に数回しか雪が降らない都心部の人のなかには、「いざとなったらタイヤチェーンをカー用品店などで買えばいい」と考えている人もいるでしょう。

 しかし最近は意外にも「タイヤチェーン装着不可」のクルマが多く存在しているのです。

 国土交通省が2018年に定めた「チェーン規制」は、大雪に対する緊急発表や大雪特別警報が出るなど、異例の降雪があるときに実施されます。

 チェーン規制は、降雪量がとくに多く、急な上り下りのある峠や高速道路など、実施エリアが指定されているのですが、チェーン規制が実施されたらタイヤチェーンの装着が必須となります。

 このチェーン規制の目的は、従来では大雪による立往生を防ぐために全面通行止めにしていた区間でも、タイヤチェーンを着けていれば通行できるようにすることで、通行止めをおこなう時間を短縮することを目指しているといいます。

 なお、チェーン規制が実施されているときは、スタッドレスタイヤを装着していてもタイヤチェーン装着が必要となります。

 いざというときに必要になるタイヤチェーンですが、じつは装着不可のクルマが増えているのです。

 たとえば、カー用品製造大手の「ソフト99」のウェブサイトにはタイヤチェーン装着不可の車種がリスト化されていますが、国産車ではトヨタ「ハイエース」や日産「NV350キャラバン」、トヨタ「C-HR」、ホンダ「フリード」など、チェーンの種類によっては装着できないことがあるようです。

 輸入車ではチェーン装着不可のモデルも多く存在しており、車種ごとに専用のタイヤチェーンが純正で用意される場合もあります。

 昔はどんなクルマも装着できたように思いますが、なぜ最近はタイヤチェーンを装着できないクルマが増えたのでしょうか。都内の現役整備士 H氏に理由を聞いてみました。

「近年では、見た目や走行性能の向上などを理由にタイヤの外径自体が大きくなり、タイヤの外側とフェンダー部分の間隔(クリアランス)が狭くなっていることが関係しています。

 カスタムの定番であるローダウンやエアサスなども、タイヤとフェンダーの隙間を減らすことで見た目の迫力やカッコよさが増すわけですが、クリアランスが狭くなるとタイヤチェーンが装着できなくなるのです」

 純正仕様でもスタイルを重視することでクリアランスが狭くなっているモデルが存在。前出のC-HRは、18インチと19インチの大径タイヤを装着したモデルはタイヤチェーンが装着できませんが、17インチタイヤであれば装着することができるとされています。

 ちなみに、以前の国産車では、タイヤチェーン装着を前提にタイヤをフェンダーより内側にオフセットさせて、タイヤチェーンを装着しても十分なクリアランスが確保されていました。

 以前のクルマは大抵がタイヤチェーンを装着できた代わりに、タイヤとホイールが内側に少し入った状態なので、見た目が迫力不足だったのは否めない事実でした。

 そのため、クルマのスタイルを重視する人は、「ホイールスペーサー」と呼ばれる調整パーツをハブボルト(車軸側にあるホイールの受け部分)とホイールの間に挟み、いわゆる「ツライチ」にするというカスタムを施すのですが、今度は走行中にフェンダー内側とタイヤが干渉してしまう可能性があるのです。

 整備士H氏も、「以前の国産車のようにタイヤがフェンダーより内側に入ってしまうと、空力特性やコーナリング性能などにも影響が出てしまう可能性もあります」と指摘しており、バランスが難しい部分でもあるといえるでしょう。

■ノーマルタイヤは雪道やアイスバーンでは止まれない!?

 ノーマルタイヤで、しかもタイヤチェーンが装着できない状態で、雪上やアイスバーンを走行するのは非常に危険です。

 ノーマルタイヤで雪道やアイスバーンを走るのがどれだけ危険かがわかる実験結果を、2017年にJAFが実施しています。

雪上でのノーマルタイヤの制動距離はスタッドレスタイヤの1.7倍雪上でのノーマルタイヤの制動距離はスタッドレスタイヤの1.7倍

 この「雪上走行テスト」では、時速40kmからの急ブレーキで圧雪路(雪が残っている道)と氷盤路(路面が凍っている状態)での制動距離(ブレーキをかけて止まる距離)をさまざまなタイヤで実験し、結果を公表しました。

 圧雪路での制動距離は、スタッドレスタイヤが17.3mだったのに対し、ノーマルタイヤは29.9m、タイヤチェーン装着車では28.4mでした。

 つまり、ノーマルタイヤのままでは止まるまでにスタッドレスタイヤの約1.7倍もの距離が必要だということです。

 この傾向は、突然雪が降りはじめた場合でも同じで、かなりの制動距離が必要だとされています。

 一方氷盤路の制動距離は、スタッドレスタイヤの78.5mに対しノーマルタイヤは105.4mも滑走。このテストではタイヤチェーンが威力を発揮して59.0mでした。

 雪上やアイスバーンでのスタッドレスタイヤの優位性は明らかですが、雪のない舗装路に限っていえば、ノーマルタイヤのほうが静粛性も乗り心地もグリップ性能も上です。

 雪がほとんど降らない地域に住んでいる人にとって、年に数回あるかないかの降雪のために、スタッドレスタイヤを準備することは負担になることもあるでしょう。

「ウインタースポーツをする人や、雪が降っているエリアに出向く機会が多い人はスタッドレスタイヤの装着がベストとだと思います。

 しかし、年に1、2回程度しか雪が降らない地域では、スタッドレスタイヤはもったいないので、そんなときは『スノーソックス(布製タイヤチェーン)』を準備するのがオススメです」(整備士H氏)

 スノーソックスは、その名の通り、タイヤに布製の特殊な袋状のチェーンを被せるだけで雪道などの走行ができるものです。

 先述したJAFのテストでは、圧雪路で20.1m、氷盤路で99.2mと若干ではあるものの、ノーマルタイヤよりもスノーソックスのほうが制動距離が短くて済むようです。とくに圧雪路での制動距離の短縮はチェックしておきたいポイントです。

「なぜスノーソックスをおすすめするかというと、輸入車を含むほとんどのクルマに装着が可能だからです。

 金属チェーンや樹脂製(非金属)チェーンなどが装着できないクルマでも装着でき、しかも装着は停車しているクルマの駆動輪に半分かぶせ、タイヤを半周動かしたら残り半分をかぶせるだけです。軽量で折りたたむこともできるので、トランクでも場所を占領することもありません」(整備士H氏)

 また、スノーソックスはフェンダー内部と接触しても、布製のため傷になりにくいのもポイントです。

「スノーソックスは理論的には圧雪路にはかなり有効だといわれていますが、氷盤路は摩擦係数が極端に低いので不得意という面もあります。

 それでもノーマルタイヤで走行中に、突然降り出した雪への緊急対策としてトランクに入れてあるだけでも安心できるのではないでしょうか」(整備士H氏)

※ ※ ※

 タイヤチェーンもスノーソックスも、FF車なら前輪、FR車なら後輪、4WDの場合はメインのタイヤに装着します。

 非駆動輪に装着すると効果を発揮できないので、あらかじめクルマの駆動輪を調べておきましょう。

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