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なぜ日産にはカスタムカーブランドが2つ存在? NISMOとAUTECHの違いとは

くるまのニュース / 2021年1月18日 18時10分

ユーザーの多様化する要望に応えるため、ノーマルモデルにさらなる価値を加えた「カスタマイズ」があります。日産には、「NISMO」と「AUTECH」というふたつのカスタムカーブランドがありますが、それぞれどのようなブランドなのでしょうか。

■日産車のカスタムカーブランド「NISMO」と「AUTECH」

 クルマのノーマルモデルは幅広いユーザーをターゲットにして開発が進められています。そんなことから、「もう少し〇〇だったらいいのに…」という要望も出てきます。
 
 そんな個々の願いを叶えてくれるのが「カスタマイズ」ですが、普通の人が足を踏み入れるのはなかなか難しいと思います。

 理想はほかの人とは違った個性を備えつつも、ノーマルと同じ品質/保証/耐久性を実現させたモデルが理想ですが、そこにもっとも近い回答が自動車メーカー直系の職人集団が手掛けるコンプリートモデルです。

 昨今、さまざまなメーカーが積極的な展開をおこなっていますが、その先駆者といえる存在が「オーテックジャパン」です。

 オーテックジャパンは、クルマの多様化や個性化に対応するために、1986年に日産グループ内の特装車と機能と人材を集結させた独立会社として設立。

 初代社長は歴代「スカイライン」の開発責任者を担当した「スカイラインの父」と呼ばれる櫻井眞一郎氏です。

 社名の由来は「大手(メーカー)を食う」という噂もありますが、実際は「Automobile Technology in Japan」の略です。

 設立当初は量産モデルでは対応が難しいトラック架装がメインでしたが、そのノウハウを活用して、量産車では実現が難しいカスタムカーの開発をおこなうようになりました。

 そんなカスタムカーには共通コンセプトが存在します。それは「より多くの人に特別なスペックを!」という想いです。

 プラスαの魅力を備えながらも、全国にあるすべての日産の販売店でノーマルモデルと同じように購入可能なうえに、保証内容もノーマルと同じ。そんなことからこれらのモデルたちは「ファクトリーカスタム」と呼ばれています。

 これまで「オーテックバージョン」「260RS」「12SR」「ハイウェイスター」「ライダー」「アクシス」「モードプレミア」など、さまざまな個性が与えられたモデルが世に出ています。

 一方でオーテックジャパン設立の2年前となる1984年、日産のふたつのワークスチーム(大森ワークスと追浜ワークス)を母体に、日産100%出資で設立したモータースポーツ専門の子会社が「NISMO(ニッサン・モータースポーツインターナショナル)」です。

 その名の通り、日産のワークスチームとしてル・マンやデイトナ24時間やグループA、スーパーGT、FIA GT選手権など、世界のモータースポーツシーンで栄光を刻んできましたが、それと並行して日産のワークスチューナーとしてレース用マシンやチューニングパーツの提供もおこなっています。

 その想いは「レーシングテクノロジーを量産車へのフィードバック」で、その集大成といえるのがコンプリートカーです。

 NISMOの代表的なモデルを振り返ると「400R(R33 GT-R)」、「270R( S14シルビア)」、「Z-Tune(R34 GT-R)」などが挙げられますが、どれも高度にチューニングされ「ノーマルとは別物」といえるモデルばかり。

 変更内容や生産方法、販売台数(きわめて少量)や販売方法を含め、クルマ好きのなかでもより熱心なユーザー向けの裏メニューのような存在でした。

 オーテックジャパンとNISMOは、近いようで遠い存在だった2社ですが、その関係が接近したのは2007年に「フェアレディZ(Z33)」に追加された「バージョンNISMO」です。

 じつはこのモデルは、企画がNISMO、開発がオーテックジャパンというコラボレーションで生まれたモデルで、アメリカ市場にも投入されて高い人気を博しました。

 そんなNISMOは2013年に大きく舵を切ります。日産のモータースポーツを担当するワークス集団というスタンスには変わりはありませんが、新たなコンプリートカー戦略を発表しました。

 その内容は「日産自動車と共同プロジェクトで開発」「限定発売ではなく通常販売」「グローバル展開」というもので、コンプリートカーの開発コンセプトは「ニスモの魅力をより多くの人へ」「日産車に更なるワクワクを」でした。

 これらのモデルは「NISMOロードカー」と名付けられ、「ジューク(現在は生産終了)」を皮切りに「フェアレディZ」「マーチ」「GT-R」「ノート(現在は生産終了)」「セレナ(現在は生産終了)」にラインナップ。

 また、海外専用モデルにはセダンの「セントラ(北米向け)」、SUVの「パトロール(中東向け)」などもあります。

 ちなみにオーテックジャパンはこれらのモデルの開発支援もおこなっており、いくつかのモデルには「AUTECH」のステッカーが貼られています。

 導入当初は「硬派なNISMOが軟派になった」、「チューニングがライトなのでは?」という意見もあったようだが、これまでNISMOは敷居が高いと思っていた人、これまでNISMOを知らなかった人たちにも高く支持されています。

■「ピュアスポーツ」のNISMOと「プレミアムスポーティ」のAUTECH

 さらに2017年には「NISMOロードカー事業」の拡大が発表。NISMOロードカーの基本コンセプトはそのままに、開発するための組織が大きく変わりました。

 具体的にはこれまでNISMOロードカーの企画は日産自動車にある「NISMOビジネスオフィス」が担当。

 開発は車種によって、日産/オーテックジャパン/NISMOとまちまちでしたが、企画・開発・マーケティング・アフターセールスに関わる機能(NISMOロードカー事業部)がオーテックジャパン内に設立されています。

リーフNISMOとリーフAUTECHリーフNISMOとリーフAUTECH

 日産、オーテックジャパン、NISMO、そのほかの日産グループの人材が集結した組織になり、これまで以上に意思決定や開発もスピーディにおこなうことが可能になったといいます。

 これに伴い車種バリエーションは現在の2倍以上、販売台数も大きく引き上げる計画を立てています。

 それと同時にオーテックジャパンのコンプリートカーブランドも再編成され、ライダーやモードプレミア、ボレロとモデル毎にバラバラだったサブブランドが「AUTECH」に集約されました。

 それぞれのコンセプトは、NISMOがモータースポーツ直系の「ピュアスポーツ」であるに対して、AUTECHはクラフトマンシップを感じさせる「プレミアムスポーティ」です。

 AUTECHは、2000年に登場した「セフィーロ オーテック」を皮切りにアクシスやモードプレミアなど、プレミアム性を引き上げたモデルの末裔もいえる存在で、そのキャラクターをより明確にしたモデルといってもいいかもしれません。

 ちなみにグローバル展開されるNISMOに対して、AUTECHは国内専用ブランドになります。

 2018年のセレナAUTECHを皮切りに、ノートAUTECH、エクストレイルAUTECH、リーフAUTECH、ルークスAUTECH、エルグランドAUTECH、キックスAUTECHと日産の国内市場で重要なモデルを中心にラインナップされています。

 このように日産のサブブランドとなるファクトリーカスタムをNISMO/AUTECHの「2トップ体制」にすることで、より多様化したユーザーを獲得できるというわけです。

 2021年には、NISMO/AUTECHともに新たなモデルが追加される予定だといいます。一体どんなモデルが登場するのか、楽しみに待ちたいと思います。

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