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なぜ「ディーゼルハイブリッド」少数派? 電動化進むもガソリンベースが主流の理由

くるまのニュース / 2021年2月8日 9時10分

日本政府は2030年代半ばに脱純ガソリン車/ディーゼル車の新車販売を禁止する方針を打ち出しており、以前にも増してクルマの電動化が世界的に広がっています。しかし、ハイブリッド車というと、ガソリンエンジンをベースにしたものがほとんどですが、なぜディーゼルエンジンをベースにしたハイブリッド車はほとんど市販化されないのでしょうか。

■なぜ少数派? ディーゼルハイブリッドが普及しない訳とは?

 菅首相が2020年10月26日の所信表明演説にて、「2050年カーボンニュートラル宣言」は日本の自動車産業に大きな衝撃を与えました。
 
 その後、同年12月21日に閣議決定された「令和3年度税制改正の大綱」によると、これまでエコカー減税の対象となっていたクリーンディーゼル車の特例が廃止になることが決まり、今後ディーゼル車の販売に大きな影響が出ることが懸念されます。
 
 脱炭素社会の実現を目指すなかで、クルマの電動化が加速していますが、なぜディーゼルエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせたモデルがあまり登場しないのでしょうか。

 現在、世界中の自動車市場において、主流のパワートレインは、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド/プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車が挙げられます。

 なかでも、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンは、長い自動車かつ内燃機関の歴史とともにさまざまな改良が施され今に至っています。

 その一方で、バッテリーを搭載したモデル電動車は、1997年にトヨタが世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」以降から市場が拡大してきました。

 とくに、日本市場では販売台数ランキングの上位モデルのほとんどがハイブリッド車を設定するなど定番化したパワートレインとなっており、ハイブリッドの種類も細かく分かれ、スタート時をアシストするマイルドハイブリッド、EV走行が可能なストロングハイブリッドなどが存在しています。

 近年では外部から給電が可能なプラグインハイブリッド車というハイブリッド車と電気自動車の間に位置するモデルも徐々に増えているのです。

 こうしたこれまでのガソリンエンジンを用いた電動化技術は進んでいるにも関わらず、なぜディーゼルエンジンの電動化は目に見えて進んでいないのでしょうか。

 かつてのディーゼルエンジンは、ガソリンよりも安価な軽油を使うため維持費が安くすむものの、黒煙の排出など健康被害を懸念するイメージが横行していました。

 しかし、その後にはディーゼルエンジンが人体や環境に悪影響を与えるということで2003年に「ディーゼル車規制条例」が制定され、それに対応する形で進化したクリーンディーゼルエンジンが登場し、現在の主流となっています。

 クリーンディーゼルエンジンは、燃料を高い圧力と電子制御で完全燃焼に近づけることで、有害物質の排出を少なくすることを可能にしたほか、燃料を無駄に消費しないことにより燃費が向上。さらには、軽油ならではの燃焼エネルギーの大きさで太いトルクを両立しました。

 このように、進化してきたディーゼルエンジンですが、ハイブリッドシステムと組み合わされる事例が少ないことについて、ある自動車メーカーのパワートレイン担当者は次のように話しています。

「ディーゼルエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせることはもちろん可能で実際に市販化されているケースもあります。

 しかし、従来のガソリンエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせただけでも、複雑な構造かつ部品点数が多くなり標準のガソリン車よりも高価格になります。

 ディーゼルエンジンもガソリンエンジンと比べて燃焼効率を上げるための部品点数が多くなり、高価格です。

 そのため、ディーゼルエンジンのハイブリッド車となると、さらに高価格になることは避けられず、現在市販化されているモデルも高級ブランドや商用車の一部に限られています。

 多額の開発費を掛けて市販しても多く販売が見込めるかは難しいことから、その分の開発費などを今後の電気自動車開発などに注力するほうが各メーカーとしても良いのでは無いでしょうか」

※ ※ ※

 日本で初めて販売されたディーゼルエンジンをベースにしたハイブリッド車は、メルセデス・ベンツが2019年に発売した「E350de」となり、厳密にはプラグインハイブリッド車です。

 2リッター直4ディーゼルターボエンジンに13.5kWhのバッテリーを搭載して、EV航続距離50kmを実現しています。

 価格(消費税10%込)は918万円となり、メルセデス・ベンツのブランドも相まって高価格なモデルといえます。

■ディーゼルを主力とするマツダは、電動化とディーゼルを同時に進化させる?

 マツダは、2010年代以降にクリーンディーゼル車のラインナップを拡大させており、これによりマツダブランドはディーゼルエンジンに強いメーカーというイメージを定着させました。

 しかし、前述のディーゼルエンジンに対する規制強化や販売面の優遇排除など今後のマツダがどのように生き延びていくのか注目されています。

 そうしたなかで、マツダは新世代商品群の第3弾となる新型コンパクトSUVの「MX-30」を投入しました。

 このMX-30は、電動化マルチソリューションの一環として、マイルドハイブリッド車と電気自動車をラインナップ。量産電気自動車としてはマツダ初となるモデルです。

 また、今後は2022年以降にロータリーエンジンを発電機として用いるレンジエクステンダー仕様の導入もアナウンスしています。

マツダ初の量産EV新型「MX-30 EV MODEL」。今後、電動化を進めると共に、ディーゼルエンジンの改良も継続する。マツダ初の量産EV新型「MX-30 EV MODEL」。今後、電動化を進めると共に、ディーゼルエンジンの改良も継続する。

 こうした、電動化の波に対応するマツダですが、これまでのディーゼルエンジンに改良も続けていくとしています。

 ディーゼルエンジンの将来性について、マツダは次のように説明しています。

「ディーゼルエンジンは、まだまだ高効率のCO2削減のポテンシャルがあると考えています。

 欧州の各種学会でも、ディーゼル(のさらなる技術進化)関連の研究成果発表も多くあります。

 とくにドイツ3社(ダイムラー・BMW・フォルクスワーゲングループ)もディーゼル研究開発に継続して投資することを表明しています。

 カーボンニュートラルに向けて、再生可能燃料を活用するディーゼルの改善や技術開発は継続します。

 マツダのディーゼル車ユーザーには、ディーゼルは将来も残り得るパワートレインであることを分かって頂きたいと思います」

※ ※ ※

 世界的には、ガソリンエンジンをベースした電動化技術が急速に革新しています。

 そうしたなかで、ディーゼルエンジン本来の良さと電動化が上手くマッチして、価格帯を抑えたモデルが登場することになれば大きく注目されることは間違いなさそうです。

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