本当に必要? ディーラーで勧められる「メンテナンスパック」 高額商品でもメリットな部分とは
くるまのニュース / 2021年2月13日 7時30分
クルマの整備代金をまとめてパッケージ化した商品であるメンテナンスパック。セット価格自体は、6万円から10万円と高額になることが多いですが、メンテナンスパックに加入する必要性はあるのでしょうか。
■クルマに手間をかけたくない人はメンテナンスパックに入るべき
自動車ディーラーで車検時やクルマ購入時に、販売スタッフから加入を勧められることがある「メンテナンスパック」。
クルマの整備代金をまとめてパッケージ化した商品ですが、メンテナンスパックは加入したほうが良いのでしょうか。
メンテナンスパックには、一般的に必要とされる点検・車検と、消耗品の交換代金がパッケージ化されています。
そのため、メンテナンスについての知識があまりなく、部品の交換時期や日々の日常点検に不安がある人や、クルマに手間をかけたくない人はメンテナンスパックに加入したほうが良いといえます。
実際、ディーラー関係者は「メンテナンスパックに加入される人は、年配者や女性が多いです。私たちも、クルマのメンテナンスについて不安に思っている人には、とくにパック加入をおすすめしています」と話します。
メンテナンスパック会員には、クルマの点検時期を知らせるサービスがあり、点検が近付くと、ハガキや電話で時期と点検項目を通知されます。
クルマの点検を常時忘れることがなく、メンテナンスを受けられる点もメリットといえます。
一方で、走行距離が少ない人や、ある程度クルマの日常点検やワイパー交換やオイル交換などの簡単な整備が自分でできる人にとっては必要のないサービスが含まれている場合があります。
使用するオイルにこだわりのある人や、部品はカー用品店やオンライン通販で安価に購入し自分で交換できる人は、ディーラーの割引後のメンテナンスパック価格よりも整備代金が安くなることもあるのです。
メンテナンスパックに含まれる交換部品は、消耗品とはいえ乗り方次第では交換の必要がない場合もあります。
メンテナンスパックに加入してしまうことで、交換時期が来ていない部品であっても自動的に交換することがあります。
そのため、場合によっては本来必要のなかった整備が追加される可能性があり、必ずしもすべての人が加入すべきサービスとはいえないようです。
■営業スタッフがメンテナンスパックをすすめる理由
自動車ディーラーで点検整備を受ける場合、メンテナンスパックは必ずといっていいほどすすめられることが多いですが、営業スタッフが力を入れてすすめてくるのには理由があります。
まずひとつ目に、メンテナンスパックは数か月分の整備売上を一度に受注できるメリットがあるうえ、金額的メリットをアピールしやすい商材といわれています。
メンテナンスパックは点検・車検を受けるたびに毎回支払いをするよりも割安であり、顧客にメリットをアピールしやすい商品です。
複数のディーラー3社で設定されるメンテナンスパックを比較すると、パックに含まれる整備内容を単発で支払う場合と比べ、A社では2万8783円、B社では3万4337円、C社では2万3868円安くなります。
ディーラー側は、数か月分の整備入庫を確約してもらうことで、パックの整備代金を数万円単位で値引きしているようです。
また、パック料金には、各社によって異なりますが、オイル交換やオイルフィルター交換、ワイパーゴムの交換などの消耗部品の部品代と、工賃も含まれています。
A社では、点検ごとのオイル交換、オイルフィルター交換と、1年に1度のワイパーゴム交換、車検時のワイヤレスキー電池交換を含んで10万8000円、B社では、A社の内容に加えて1か月無料点検時にオイル添加剤、1年に1度エアコン洗浄が加わり11万990円、C社は消耗部品は1年に1度のワイパーゴム交換のみで6万1800円といった価格となっています。
ちなみに前述のメンテナンスパックは、いずれも新車購入から3年後までのメンテナンス費用を一括で支払う場合の価格となっています。
新車購入時に加入し、1か月無料点検、6か月無料点検、日常点検(12か月法定点検から6か月後の基本点検)2回、12か月法定点検2回、初回車検を含んだ同じメンテナンススケジュールのものとなっています。
このように、パックに含まれる整備をすべて自社でおこなった場合と比較した値引き額、お得感をウリにしているといえます。
忘れがちな定期なオイル交換はメンテナンスパックに組み込まれることが多い。
また、ふたつ目の理由として、メンテナンスパックで整備入庫を事前に確約してもらうことが、新車やカー用品の販売に繋がることが挙げられます。
ディーラー関係者は、「お客さまと疎遠にならないためにも、メンテナンスパックは必要です。新車を販売するにしても、お客さまとの接触機会がなければ厳しいです」と話します。
一定期間の点検・車検代金を先払いするという商品の性質上、オーナーは、期間内の点検整備をメンテナンスパック加入先のディーラーでおこなうことになります。
ディーラー側としては、自社でメンテナンスをしてもらうことで顧客との接触回数が保証され、その機会を利用して新車の代替促進やカー用品の販売を行います。
メンテナンスパック未加入の顧客は、自社以外のディーラーやガソリンスタンドで点検を受けてしまう可能性があります。
そうなれば販売のチャンスを逃すことになるため、顧客の囲い込みをしたいがために、営業スタッフはメンテナンスパック加入を勧めているようです。
※ ※ ※
点検内容がパッケージになっている性質上、自分でメンテナンスの管理ができる人にとっては損な場合もありますが、クルマに手間をかけたくない人はメンテナンスパックに加入しても良いといえるでしょう。
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