トヨタ製マシンがウーバーイーツを自動配達!? 情報錯綜が続く自動運転業界で何が起きているのか

くるまのニュース / 2021年2月28日 16時10分

2021年に入り、自動運転業界にまつわるさまざまなニュースが報じられています。技術的な話題だけでなく、M&Aや企業間での連携なども含め時々刻々と変化するなか、今後はどのように変化していくのでしょうか。

■自動運転業界はどう変化する?

「近未来のウーバーイーツは、トヨタの自動運転ロボットになる」。そういうような“はやとちり”をする人も出てくるかもしれません。背景にあるのは、今年(2021年)に入ってからのさまざまな報道です。

 例えば、トヨタとデンソーが2021年2月9日、自動運転の技術開発をおこなうアメリカのベンチャー企業・オーロラと提携し、ウーバー向けの自動運転開発を進めると発表しました。

 このオーロラという会社、日本では知名度は高くありませんが、共同創業者のひとりであるクリス・アームソン氏はグーグルカーの開発責任者を務めていた人物です。

 また、日本でウーバーといえば出前アプリサービスのウーバーイーツを思い出す人が多いはずですが、ウーバーの本国アメリカでの主要ビジネスは、自家用車をタクシーにように使うライドシェアリングです。

 そして一部報道では、日本政府が無人で配送する自動運転ロボットの公道走行について、道路交通法を改正した上で許可する方針を固めたというニュースが流れました。

 その他、トヨタの先進的研究開発をおこなうTRI-AD(トヨタ・リサーチ・インスティチュート- アドバンスド・デベロップメント)が持ち株会社へと組織改編し、新たにウーブンプラネットとして生まれ変わりました。

 オンラインで開催された事業説明会では、未来型実験都市ウーブンシティの工事が2021年2月23日に着工されることなどが明らかになったばかりです。

 こうしたさまざまなニュースを断片的につなぎ合わせると、冒頭にご紹介したようなイメージを持つ人がいるのは、致し方ないのかもしれません。

 それどころか、自動車業界関係者としても自動運転の最新トレンドを正確に追うことが難しいという印象もあります。

 いわゆるロボットタクシーなど近未来に事業化が迫っている自動運転の業界では、M&A(企業の合併・買収)や企業間での技術連携などが次々と起こり、業界図式を刻々と変化するからです。

 そこで、現状(2021年2月中旬)での自動運転開発や事業戦略の業界図式を大枠で見てみたいと思います。

■今後、自動運転技術は本格的な実用段階へと進んでいく

 まず、技術系の観点から業界図式を分類してみます。

 主なプレイヤーになる企業の業態としては、大きく3つ。自動車メーカー(大手自動車部品メーカーを含む)、IT大手、そしてIT系ベンチャーです。

 まず、自動車メーカーでは、いわゆる自動ブレーキや車線逸脱防止など、事故の予防安全の観点からADAS(アドバンスド・ドライバー・アシスタンス・システム:高度運転支援装置)の機能を段階的にレベルアップさせるという考え方です。

 例としては、スバル・アイサイトや日産・プロパイロットです。

 IT大手は、グーグルやアップル、また中国のバイドゥなどです。自社で自動運転開発プロジェクトの立ち上げ、または関連する企業を子会社化して、公道での走行実験をおこなっています。

 もうひとつが、IT系ベンチャーです。前述のオーロラのように、GAFAM(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフト)などに従事した人が独立するケースが目立ちます。

 または、MIT(マサチューセッツ工科大学)や、CMU(カーネギーメロン大学)など、ロボット工学などの分野の研究者が学内ベンチャーを立ち上げる場合もあります。

 別の視点で自動運転業界を分類すると、オーナーカーとサービスカーのふたつが存在します。

 オーナーカーとは、自動車メーカーが生産する乗用車や商用車のことで、一方のサービスカーとはタクシー、バス、トラックなど公共交通や物流向けの車両を指します。

 サービスカー向けの技術開発をベースとしては、IT系ベンチャー企業、サービス事業でのデータ解析・管理を念頭に置くケースが多くあります。

 その筆頭がウーバーでした。2015年にカーネギーメロン大学の研究者を多数引き抜き、ロボットタクシー実用化に向けた技術開発をする、ATG(アドバンスド・テクノロジーズ・グループ)を立ち上げました。

 筆者(桃田健史)はATG創設の間もないころ、アメリカで開催された自動運転関連の国際会議でATG関係者に直接取材したことがありますが「2020年のサービス開始はかなり高い確率で実施できる」と自信のほどを語っていたことを思い出します。

 巨額の投資をおこないATGは1000人規模の組織まで拡大したのですが、2018年にはウーバーがボルボと共同開発していたロボットタクシー実験車が、米アリゾナ州内で歩行者をはねて死亡される重大事故が起こり、自動運転技術の安全性に対する世間の目が厳しくなった印象があります。

 その後、ウーバー創業者が退任し、新しい経営体制へ転換。ATGの在り方についても議論が進んでいたようですが、そうしたなかで新型コロナ禍での本業ライドシェアリング事業での業績悪化。結果的に、ATGの事業をオーロラに売却することになりました。

 このような業界図式を、トヨタ目線で考えて見ますと、トヨタはオーナーカーではADASのトヨタセーフティセンスを拡充。ウーブンプラネット幹部によると「2021年中には(高度な自動運転レベル2相当と思われる)最新型ADASを量産する」といいます。

TRIの自動運転実験車「TRI-P4」TRIの自動運転実験車「TRI-P4」

 サービスカーについては、運転の主体がクルマ側のシステムが担う、自動運転レベル4相当(実質的なレベル3)を採用するレクサス「LS」ベースの実験車両が東京・お台場地域周辺で公道走行実験を繰り返しています。

 また、レベル4自動運転の公共交通として、「e-Palette」の量産モデルを公開しており、ウーブンシティでの本格的な活用を念頭に置いています。

 一方でトヨタはウーバーに対し2018年に5億ドル(約525億円)を出資。次いで2019年にはトヨタとデンソーなどが10億ドル(約1050億円)を追加で出資しています。

 ウーバーのATG部門がオーロラに売却され、結果的にトヨタとデンソーがオーロラと提携することになっているといえます。

 自動運転の技術は2010年代に一気に進化し、また世界市場での法整備も進み、これから実用段階を迎えようとしています。

 そうしたなかで投資案件という視点も含めて、自動車メーカー、大手IT、各種ベンチャーとの間で、新たな業界再編が起こるかもしれません。

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