実用的で速いマルチな才能の車とは? 年代別ホットハッチ3選

くるまのニュース / 2021年2月26日 16時10分

手軽に乗れる高性能車として欧州で絶大な人気を獲得したのがホットハッチと呼ばれるコンパクトカーです。日本でも1980年代から次々と登場して、隆盛を誇りました。そこで、往年の日欧ホットハッチを年代別に3車種ピックアップして紹介します。

■日欧の印象的なホットハッチを年代別に振り返る

 ハッチバックのコンパクトカーをベースに、高性能なエンジンとチューンナップされた足まわりを搭載したモデルのことを「ホットハッチ」と呼び、1970年代の後半から欧州で人気となり、いまも愛されています。

 日本でも国産車の高性能化が一気に進んだ1980年代以降、各メーカーからホットハッチが続々と登場し、若者を中心に支持されました。

 そこで、印象的な日欧のホットハッチを、年代別に3車種ピックアップして紹介します。

●フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」

ホットハッチの元祖であり代名詞的存在の初代「ゴルフGTI」ホットハッチの元祖であり代名詞的存在の初代「ゴルフGTI」

 世界の自動車史に残る名車であるフォルクスワーゲン「タイプ1(ビートル)」の後継車として、1974年に初代「ゴルフ」が誕生。

 新世代の大衆車として開発されたゴルフは、駆動方式にFFを採用したことでコンパクトボディながら広い室内を実現し、巨匠ジョルジェット・ジウジアーロの手によるシンプルな外観デザインと優れたパッケージングが高く評価され、後にFFコンパクトカーのベンチマークとなりました。

 ボディタイプは3ドアと5ドアのハッチバックで、発売当初は1.1リッターと1.5リッターエンジンを搭載。後に1.3リッターや1.6リッターディーゼルなど、多彩なエンジンバリエーションを展開しました。

 内装も外観同様にシンプルながら、空調のスイッチやラジオなどをメータークラスター周辺に集中して配置するなど、機能的にデザインされていました。

 そして、1976年には110馬力を誇る1.6リッター直列4気筒エンジンを搭載する高性能モデル「ゴルフGTI」が登場。トランスミッションは4速MTのみ(後に5速MTにスイッチ)です。

 フロントがストラット、リアがトーションビームの足まわりも強化され、前後スタビライザーを装備して車高を15mmダウン。ブレーキもフロントがベンチレーテッドディスクに変えられ、タイヤも専用に175/60R13が奢られました。

 最高速度は182km/hをマークし、高い運動性能を発揮したことから欧州ではたちまち人気を獲得し、最終的には46万1690台を販売する大ヒットを記録。

 初代ゴルフGTIは元祖ホットハッチといわれ、そのコンセプトは歴代ゴルフGTIに受け継がれています。

●ホンダ「シビックSi」

和製ホットハッチとして走り好きの若者から支持された「シビックSi」和製ホットハッチとして走り好きの若者から支持された「シビックSi」

 1973年にホンダは、新世代のコンパクトカー初代「シビック」を発売。いまの軽自動車ほどのサイズながら広い室内と優れた経済性を実現したことで、大ヒットを記録しました。

 その後代を重ね、1983年に発売された3代目の通称「ワンダーシビック」では3ドアハッチバックと4ドアセダン、ステーションワゴンタイプの「シャトル」をラインナップし、直線基調の外観はロー&ワイドを強調した安定感のあるフォルムを実現。

 なかでも3ドアハッチバックのトップグレードである「25i」は、軽量な車体に100馬力(グロス)を発揮する1.5リッター直列4気筒エンジンを搭載し、一気に高性能化を果たしました。

 しかし、ライバル車がターボやDOHCエンジンを搭載したことで次第にパワー的には優位性が薄れてしまったのは否めず、ホンダはその状況を打開するため、1984年に新開発の1.6リッター直列4気筒DOHC「ZC型」エンジンを搭載した「シビックSi」を発売。

 ホンダの4輪車では「S800」の生産終了から14年ぶりとなるDOHCエンジンの復活です。

 ZC型エンジンの特徴としては、ロングストロークであることから中低速域のトルクが太く、それでいて高回転域まできっちり吹け上がることから、「乗りやすく速い」と高く評価されました。

 そして、1985年からは市販車をベースにした車両で争われる「全日本ツーリングカー選手権」に参戦。レースでの活躍によって、走りを重視する若者層からは絶大な支持を受けることになり、シビックSiは和製ホットハッチの地位を不動のものとします。

■今も受け継がれているフレンチホットハッチ

●ルノー「クリオ ウイリアムズ」

ラリーカーのホモロゲモデルとして誕生したフレンチホットハッチ「クリオ ウイリアムズ」ラリーカーのホモロゲモデルとして誕生したフレンチホットハッチ「クリオ ウイリアムズ」

 フランスを代表する自動車メーカーであるルノーも、古くからコンパクトカーを主力商品としてきました。なかでも「5(サンク)」は欧州のみならず日本でも人気があったモデルです。

 この5の後継車として1990年にデビューしたのが初代「クリオ」で、日本では登録商標の関係から「ルーテシア」の名で現在も販売されています。

 クリオは3ドアと5ドアハッチバックをラインナップし、張りのある外装パネルを採用したスタイリッシュなフォルムが高く評価されました。

 エンジンのバリエーションは多く、ベーシックな1.1リッターガソリンから1.9リッターディーゼルまで、多岐にわたります。

 そして、1993年にはラリー出場用のホモロゲーションモデルとして「クリオ ウイリアムズ」を台数限定で発売。当時、ルノーがエンジンを供給し、F1で常勝を誇っていたウイリアムズの名を冠して、イメージアップにつなげたといいます。

 エンジンは150馬力を発揮する2リッター直列4気筒を搭載し、最高速度は215km/hを達成。

 ベースとなった「16S」との違いはエンジン以外にトレッドの拡大や、専用チューニングされたサスペンション、ギアレシオの異なるトランスミッションなどで、外観は大きく変わっていませんが、ブルーのボディにゴールドのスピードライン製ホイール、そして「ウイリアムズ」のエンブレムによって、スポーティに演出されています。

 クリオ ウイリアムズは、日本では正規輸入されませんでしたが、当時のプジョー「205GTi」などフレンチホットハッチは人気が高かったことから、複数が並行輸入のかたちで上陸しています。

※ ※ ※

 近年はホットハッチという呼び名は古臭い印象があるのか、耳にすることはほとんどなくなってしまいました。実際に2000年代以降は国産ラインナップから減少してしまったことも、大きく影響したのかもしれません。

 しかし、国産ホットハッチは消滅したわけではなく、スズキ「スイフトスポーツ」や日産「マーチ NISMO S」、トヨタ「GRヤリス」など、まだまだ健在です。

 もともとはベーシックなコンパクトカーをベースにしていることから実用性が高く、それでいてドライビングプレジャーも優れているモデルですから、ある意味優等生なクルマといえるでしょう。

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