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嗚呼良かった…ホンダ「ワンダーシビック」 元祖スポーツコンパクトを紐解く!

くるまのニュース / 2021年3月6日 6時10分

ホンダ「シビック」は1972年に新世代の大衆車として誕生。その後は代を重ねつつ大衆車から脱却し、現在に至ります。このシビックで大きな転換期となったのは3代目で、スポーティなイメージを確立。そこで、ワンダーシビックと呼ばれる3代目を振り返ります。

■スポーティなイメージを確立した3代目「シビック」を振り返る

 ホンダの現行ラインナップで、もっとも長い歴史がある登録車は「シビック」です。もともとは大衆車として誕生しましたが、代を重ねるとコンセプトや車格が大きく変わって現在に至ります。

 このシビックの歴史のなかで最初の転換期を迎えたのが3代目で、シビック=スポーツコンパクトカーというイメージを確立。

 そこで、3代目シビックはどんなクルマだったのか、振り返ります。

※ ※ ※

 まずは3代目シビック登場までの歴史について、簡単に触れてみます。

 ホンダは「Sシリーズ」の販売や「N360シリーズ」の大ヒットによって、1960年代の終わりには量産4輪車メーカーとして軌道に乗りつつありました。

 しかし、登録車ではヒット作といえるモデルはなく主力商品といえば軽自動車であり、すでに海外進出も果たしていましたが、本格的なグローバル展開が成功しているとはいえませんでした。

 そこで、それまで国産車にはなかった斬新なコンセプトのFF大衆車を開発し、初代シビックとして1972年に発売。

 初代シビックは1.2リッターエンジンを搭載し、発売当初は2ボックススタイルの2ドアボディのみで、サイズは全長3405mm×全幅1505mm×全高1325mm(DXグレード)と、現在の軽自動車と比べても全長で5mm、全幅で25mm大きいだけの非常にコンパクトなサイズながらFFのメリットを生かして広い室内空間を実現しました。

 登場からまもなくして第一次オイルショックが起こり、ガソリン価格の高騰という背景もあって、経済性と使い勝手に優れたシビックは大ヒットを記録。

 1975年にはアメリカへ輸出も始まり、クリーンな排出ガスと低燃費を実現した「CVCC」エンジンを搭載したことからアメリカでも大ヒットし、これを足がかりにホンダの海外進出が本格化しました。

 その後、ボディバリエーションを増やして幅広いニーズに対応し、1979年に2代目が登場。

 外観や主要なメカニズムは初代からのキープコンセプトとしつつ、ボディサイズは全長3760mm×全幅1580mm×全高1350mm(1.5リッター3ドア、SEグレード)とひとまわり大きくなり、より広い室内空間とすることでグローバルでの競争力も強化されました。

 そして、1983年9月に3代目シビックがデビュー。ホンダ自ら「ワンダーシビック」と呼び、まさに驚きの変化でした。

 まず、内外装のデザインからエンジン、プラットフォームに至るまですべてを刷新。ボディラインナップは3ドアハッチバック、4ドアセダン、5ドアステーションワゴン、5ドアライトバンを設定しています。

 グレード構成は1.3リッター車と1.5リッターに車に分けられ、3ドアハッチバックは「23」「25」が頭になるグレード名で、4ドアセダンは「33」「35」、5ドアステーションワゴンは「シビック シャトル」の名で「53」「55」、5ドアライトバンは「シビック プロ」と呼称。

 3ドアハッチバックのボディサイズは全長3810mm×全幅1630mm×全高1340mmと一気に拡大し、2代目よりもひとつ上のセグメントに昇格しました。

 外観は直線基調プレスラインが特徴のボクシーなフォルムで、とくに3ドアハッチバックは空力性能も考慮したロングルーフとグラスエリアを広くした斬新なデザインを採用。ロー&ワイドな印象から踏ん張りの効いた安定感のあるスタイルです。

 内装では外観と同じく直線基調のインパネですが、フロントウインドウの下からドアまでラウンドしながらつなげることで、乗員を包み込むような一体感のあるラップアラウンド形状となっています。

 メーターは大型のタコメーターとスピードメーターをセンターに並べ、その左右に燃料計と水温計を配置する一般的なレイアウトですが、トップグレードの「25i」には流行のデジタルメーターもメーカーオプションで選べました。

 また、室内も一層広くなり、とくに室内長を長くすることで後席スペースを大幅に拡大しています。

 ホンダは以前から乗員のスペースを最大にし、エンジンなどメカニズムのスペースを最小とする設計思想がありましたが、これを「M・M思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)」という言葉で表現したのは、3代目シビックが初めてでした。

■「S800」以来となるDOHCエンジンが復活!

 前述のとおり3代目シビックではエンジンも刷新されました。全エンジンとも吸気バルブ2個、排気バルブ1個のSOHC12バルブとし、優れた吸・排気効率を実現しながらエンジンのコンパクト化も達成しています。

16年ぶりに復活したDOHCエンジンを搭載した「シビックSi」16年ぶりに復活したDOHCエンジンを搭載した「シビックSi」

 エンジンは3タイプで、最高出力100馬力の1.5リッター直列4気筒では「PGM-FI」と呼称させる電子制御燃料噴射装置を搭載。ほかに90馬力の1.5リッター・キャブレター仕様、80馬力の1.3リッター・キャブレター仕様を設定しました。

 突出してパワフルなエンジンではありませんでしたが、815kg(25i、MT車、ノーマルルーフ)と軽量な車体によって、十分にスポーティな走りが可能でした。

 トランスミッションは4速MT、5速MT、ホンダ独自のATである「ホンダマチック」が2種類、グレード別に搭載。

 足まわりは、フロントにトーションバースプリングを用いたストラット、リアはコイルスプリングの車軸式となっており、これもM・M思想を反映した結果、採用されたということです。

 なお、一連のメカニズムはシビックよりも先行してデビューした「バラードスポーツCR-X」に採用されており、キャリーオーバーされたことになります。

 また、シビックと同時に、姉妹車で4ドアセダンの「バラード」も刷新されています。

 3代目シビックは好調なセールスを記録し、1983年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。さらにデザインとパッケージが高く評価され、自動車では初となる「グッドデザイン大賞」を受賞するなど、名実ともに優れたクルマと称えられました。

 そして、発売から1年ほど経った1984年10月、シビックのイメージを変えることになる「Si」がデビュー。

 3ドアハッチバックに追加ラインナップされたSiには(後に4ドアセダンにも設定)新開発の1.6リッター直列4気筒DOHC「ZC型」エンジンが搭載され、ホンダの4輪車では「S800」の生産終了から14年ぶりとなるDOHCエンジンの復活となりました。

 燃料の供給は25iと同じくPGM-FIで、カムカバーはホンダが1983年から復帰したF1の、1.5リッターV型6気筒ターボエンジンをモチーフにデザインされています。

 また、ZC型はロングストロークを採用したことから中低速域のトルクはライバルよりも出ており、高回転域まできれいに吹け上がることから、パワフルかつ高いドライバビリティを両立。

 トランスミッションは5速MTと3速ATのホンダマチックを設定し、イージードライブにも対応しました。

 外観はボディ同色バンパーと、ボンネットにパワーバルジが追加されたことで、Siであることを控えめに主張しています。

 高性能化を果たしたシビックは、1985年から市販車をベースにした車両で争われる「全日本ツーリングカー選手権」に参戦しました。

 そして、パワーでは格上のマシンを相手に総合優勝を果たすなど、シビックのイメージアップに貢献。その結果、シビックSiは走りを重視する若者層からは絶大な支持を受けることになり、3代目シビックはスポーツコンパクトカーの代表的な存在となりました。

※ ※ ※

 今回、紹介した3代目シビックは1987年に4代目へとバトンタッチし、VTECエンジンを搭載するなどさらなる高性能化が図られました。

 さらに6代目では「タイプR」が登場したことで、FFスポーツカーとしての地位を盤石なものとします。

 また、低燃費のVTEC-Eエンジン搭載やハイブリッド仕様の追加など、エコカーとしても進化しました。

 一方で、北米市場を優先した設計にシフトしたことから、ボディサイズの拡大と価格の上昇は避けられず、現行モデルでは初代のコンセプトから大きく変わってしまったのは否めません。

 しかし、シビック(CIVIC)という車名は「市民の」と訳されることから、大衆車という根本は変わっていないはずです。アメリカでは近く新型の登場がアナウンスされていますから、市民のクルマとして新たな一面を見せてくれるのではないでしょうか。

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