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なぜトヨタはコロナ禍で一人勝ち? 国内シェア50%達成のトヨタブランドの強みとは

くるまのニュース / 2021年3月23日 7時10分

世界でもトップクラスのシェアを誇る自動車メーカーであるトヨタは、ハイブリッド車を中心に、幅広いユーザーにマッチするラインナップを展開し、国内では絶対王者ともいえる存在です。なぜトヨタ車が選ばれるのか、中古車販売店店長や実際のオーナーたちに聞いてみました。

■2020年に初の国内登録車シェア50%超を達成したトヨタ

 日本だけでなく、世界的にもシェアを伸ばし続けているトヨタ。2020年はコロナ禍の影響でクルマの販売台数も大きく落ち込んでしまいましたが、2020年の新車販売台数(レクサスを含む/軽を除く)は147万2210台で国内のシェア率は51.1%を記録しました。

 1950年からの統計でもはじめてシェア50%を超え、景気が伸び悩む経済状況下においても「TOYOTA」ブランドの価値が確実にアップしています。

 しかし、トヨタ以外のメーカーも魅力的な新型車を開発し、熾烈な販売合戦が繰り広げられているにも関わらず、トヨタの一人勝ちともいえる状況ですが、トヨタの人気の秘訣はどのようなところにあるのでしょうか。

 トヨタの強さについて、中古車を中心に手掛けている販売店の店長に次のようにいいます。

「全国に展開している強固なディーラー網のお陰で、自分の住んでいる地域に必ずトヨタの販売店があるのが強みです。

 そして『数多くの人が問題なく乗っている=信頼性が高い』というイメージがあります。

 ハイブリッドや先進運転支援システムなど、環境にも人にも優しいクルマが多いこともあり、ブランド力が高いということがトヨタ人気につながっているといえそうです」

 また、信頼性の面に関しては「トヨタはひとつのエンジン形式を長く使うメーカーでもあります。そのためエンジンの熟成は進み、メンテナンスでも仕入れた部品を長く活用できるなど、結果としてトラブルがあっても対処ができることが信頼性の高さにつながって成功しているように思います」と中古車店店長は話します。

 もともとエンジン形式は1度新しくすると長く使うのは他メーカーも一緒ですが、そのサイクルが長いということは、手堅く、保守的な部分が多いメーカーともいえます。

 しかしそれを先進技術と組み合わせ、古さを感じさせない工夫もトヨタならではのブランド力の強さなのかもしれません。

 ただ、必ずしもトヨタが完璧というわけでもなさそうです。

「トヨタだけではありませんが、最近のクルマは塗装皮膜が非常に薄くなり、(リコールこそないものの)塗装が剥げてしまうなどのトラブルが報告されています。また使用されるパーツの海外生産も増えており、同じ形式のエンジンでも生産国によってはオイル消費量が著しく多いケースなどもあるようです」

 日本車とはいいつつも、エンジンやパーツ類が海外で生産されていることも多くなっています。グローバル化が進むなか、トヨタ車もすべてが「MADE IN JAPAN」とはいえないのは仕方ない部分ではあります。

「しかし、それでも顧客のニーズに合わせた豊富なラインナップと必要な装備を上手に振り分けたグレード展開で、ユーザーが求めるものをカバーできるバリエーション展開はいつも驚かされます。この辺りの充実ぶりが、トヨタ車を乗り継ぐ人が多い理由なのかもしれません」(中古車販売店店長)

■実際にトヨタ車を選んだ人の本音とは?

 実際にトヨタ車を乗り継いでいるユーザーはどのように思っているのでしょうか。

 東京都在住のKさん(60代・男性)は元職人。以前は仕事の機材車を兼ねて「タウンエースノア」に乗っていましたが、退職後は「シエンタ」にダウンサイジング。それ以前もトヨタ車が多かったとのことです。

トヨタ「シエンタ」トヨタ「シエンタ」

「仕事を兼ねていたので、あまり派手なクルマにはしたくなかったことや、機材も人も積む機会が多かったのでミニバンを選択しましたが、トヨタはミニバンの種類も豊富だったことも大きなポイントでした。

 タウンエースノアからシエンタに乗り換えたのも、これまた家族と一緒に乗れて、手頃なサイズのモデルがシエンタだったということもあります」

 走行距離20万kmを超えるまで乗り切ったタウンエースノアから、もう少し小さいサイズで3列シートのミニバンがほしいと思ったところに、担当営業マンからシエンタを提案されたそうです。

「もともとシエンタに乗ろうと思っていたわけではありませんが、サイズは小さくても軽自動車ではない3列シートという、私のニーズに合うクルマがトヨタにはありました。

 切れ目のないラインナップで、ユーザーが欲しいと思う車種を用意できるのがトヨタの強みな気がします」

 ミニバンの「ヴォクシー」のオーナーであるNさんは警察官。仕事では「クラウン」のパトカーにも乗ったことがあるそうです。

「プライベートではずっと『マークII』などのセダンに乗っていました。もうすぐ定年を迎えるにあたり、趣味である畑仕事の道具なども積みたくてミニバンにしました」

 Nさんが買い換えたのは日産の売れ筋ミニバン「セレナ」に電動パワートレインの「e-POWER」が設定される前後で、当時はまだミニバンのハイブリッド車が数少なかったこともあり、トヨタディーラーの知り合いに相談した結果、ヴォクシーに落ち着いたのだそうです。

「トヨタのクルマは尖った部分がないんですね。このクラスのミニバンに求められる機能は全部付いているし、冠婚葬祭に乗りつけても違和感がないのもヴォクシーを選んだ理由です。

 逆に不満があるとすれば、街で同じクルマを見かけることが多いことでしょうか。あと、もう少しパワーがあればいいなとは思いますが、燃費も良好だし気に入っています」

 ネガティブな面が少ないのもトヨタの特徴のひとつ。ミニバンなどの実用的なクルマは、高い信頼性と使い勝手の良さ、広い室内空間が必要な人にとって最適ですが、コンパクトなシエンタからミドルサイズの「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、高級ミニバンの「アルファード/ヴェルファイア」と豊富にそろえているのもトヨタの戦略だといえそうです。

「下取りに出すときにリセールバリューが他メーカーと比較して良いというのもトヨタ選んだ理由です。やはりできる限り高く手放せるクルマに乗っていたいですから」

 一方、スポーツカーに憧れてトヨタ「86」を中古で購入したBさん(20代・男性)は、トヨタというより86の指名買いだったそうです。

「現在、2リッタークラスのスポーツカーって86ぐらいしかないんです。マツダ『ロードスター』は2シーターだし、兄弟車のスバル『BRZ』は中古のタマ数も少なくて、ある程度の実用性も求めると、狭いながらも後席がある86しか思いつきませんでした」

 スポーツカーやクーペ不遇の時代である現在でも、FRクーペをラインナップするあたりもトヨタらしいソツのない販売戦略だといえます。

「私はある程度カスタムが施された86を購入しましたが、カスタムパーツが豊富なのもトヨタだからかなと思います。ただ、純正オプション品がけっこう高価なので、その辺りがもう少し改善されるといいです」

 それでもいまでは貴重な2リッタークラスのスポーツカーだけに、長く乗り続けたいとBさんは話してくれました。

※ ※ ※

 昔からいわれていることですが、欠点らしい欠点がないのがトヨタの強みです。またこの不況下ではリセールバリューの良さも、トヨタを選ぶ大きな理由と思われます。

 不況だからこそ、クルマ選びで失敗したくないというユーザーの気持ちが、50%以上のシェア拡大に貢献したといえそうです。

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