史上最強コンパクトSUV メルセデスAMG「GLA45S」はどう進化? 「GLA35」はどこが違うのか
くるまのニュース / 2021年3月27日 19時10分
2020年10月に日本上陸を果たしたコンパクトSUVのパフォーマンスモデル、メルセデスAMG「GLA 45 S」。最高出力421ps・最大トルク500Nmという、世界でもっともパワフルな2リッターエンジンを搭載するGLA 45 Sは、先代モデルと比較してどう進化したのだろうか。また、同時に日本上陸した「GLA35」とはどういう違いがあるのだろうか。実際に走ってみた。
■プラットフォームが「MFA2」に進化したGLA
メルセデスAMGのニューモデル「GLA 45 S」が驚くほどの進化を果たしていたので紹介しましょう。
メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスモデルを手がけるAMGは、1世代前のモデルからコンパクトカークラスにも進出。
もともと前輪駆動用に作られた横置きエンジン用シャシをフルタイム4WD化するとともに、ハイパワーエンジン、スポーツ仕様のサスペンション、ひと目でAMGとわかる内外装のモディファイなどを盛り込んで発売したところ、これが大ヒット。AMGのセールスを大きく伸ばすのに役立ったといわれます。
でも、筆者は初代のコンパクト系メルセデスAMGをそれほど評価していませんでした。なぜなら、シャシがあまり洗練されているとは思えなかったからです。
メルセデス・ベンツはもともと縦置きエンジン+後輪駆動のレイアウトが得意な自動車メーカーです。それに比べると、横置きエンジンのレイアウトは歴史が短く、当初は乗り心地とハンドリングのバランス取りに苦しんでいました。
しかも、メルセデスAMGであればさらにハンドリングをスポーティに仕上げないといけない。すると、乗り心地が一層厳しくなってしまうという悪循環に陥っていたのです。
ところが、現行型のコンパクト系メルセデス・ベンツ(AMGのもととなる標準仕様のほう)は、プラットフォームと呼ばれるクルマの土台が、MFAからMFA2に進化。これにともなってサスペンションの動きが一層スムーズになり、乗り心地もハンドリングも目覚ましく進化しました。
そこで、これと同じプラットフォームを用いる新世代メルセデスAMGへの期待も高まっていたというわけです。
今回テストしたメルセデスAMG「GLA 45 S 4MATIC+」は、メルセデスのコンパクトモデルのなかでもSUVボディのGLAがベース。ここに、4気筒エンジンとしては世界最強とされる最高出力421ps、最大トルク500Nmの2リッターターボを搭載し、8速ATを介して4輪を駆動するハイパフォーマンスモデルです。
メルセデスAMG「GLA45S」のインパネ
これとは別に、最高出力306ps、最大トルク400Nmの「GLA 35 4MATIC」というモデルも用意されています。価格はGLA 45 S 4MATIC+が900万円(消費税込、以下同)、GLA 35 4MATICが707万円です。
■GLA35よりも上質な走り味を提供するGLA45S
先代のイメージがまだ残っていたので、少し緊張してGLA 45 Sをスタートさせましたが、なにもかもあっけなく、とても滑らかに走り出してくれました。
サーキット走行専用のモード「RACE」はメルセデスAMG「GLA45S」のみに設定される
まず、エンジンの反応がとにかくスムーズ。アクセルを踏んでしばらく経ってからドーンと急にパワーが溢れ出てくることもないので、安心感は上々です。エンジン音も極端にうるさかったりはしないから、おとなしく走っていれば住宅地でも近所のご迷惑になることはなさそうです。
それ以上に驚いたのが足回りのしなやかさ。先代と違って波打った路面にもタイヤが素直に追随していってくれるので、1回切ったハンドルの角度をそのまま保ってコーナーを曲がり切ることも難しくありません。
こんなとき、先代GLAは路面の上下動にあわせてハンドルも左右に振られることがあって、せわしなかったり緊張感が強いられたりしたことを思い起こします。
これだけだと、ただ運転しやすくて安心感の強いだけのクルマに思われてしまうでしょうが、GLA 45 Sのコーナリング性能は先代を確実に上回っています。しかも、その速さを安心して引き出せるところに新型の大きな魅力があると思いました。
先ほどエンジンの反応がスムーズと書きましたが、これは低回転域だけでなく高回転域でも同様。7000rpmから始まるレッドゾーンまで滑らかさをまったく失わないまま回り切ってくれるほか、パワー感の高まりも迫力満点。慣れない人はちょっと面食らうくらいの力強さです。
* * *
ところで、AMGといえば“ワンマン・ワンエンジン”といって、ひとりのメカニックが1基のエンジンを最初から最後まで手作りで組み上げることが最大の特徴とされてきました。
このGLA 45 Sも同じワンマン・ワンエンジンで作られていますが、GLA 35は同じAMGでもワンマン・ワンエンジンではなく、量産用のラインで組み上げられるそうです。
また、公道で味わえる速さに関していえば、GLA 45 SとGLA 35の間に大きな違いはありませんが、GLA 45 Sはサスペンションの動き方がより高級なうえに、高回転域でのエンジンの回り方もよりスムーズで、とても優れた品質感が伝わってきます。
つまり、大雑把にいえば、速さは同等だけれど走りの質感はGLA 45 Sの圧勝といえます。
では、そこに約200万円の価値があるかといえば、玉虫色の答えながら、きっと人によって違ってくるでしょうね。経済的に余裕のある人であればGLA 45 Sがお勧めです。でも、GLA 35でも十分に速いし、先代GLA 45よりも確実に洗練されているので、どちらを選ぶかは相当の悩みどころです。
メルセデスAMG「GLA45S」
Mercedes-AMG GLA 45 S 4MATIC+
メルセデスAMG GLA 45 S 4マティック+
・車両価格(消費税込):900万円
・オプション込み試乗車車両価格(消費税込):983万5000円
・全長:4440mm
・全幅:1850mm
・全高:1585mm
・ホイールベース:2730mm
・車両重量:1800kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1991cc
・駆動方式:4WD
・変速機:8速AT
・最高出力:421ps/6750rpm
・最大トルク:500Nm/5000-6750rpm
・WLTCモード燃費:10.4km/L
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