スポーティさが光るホンダ3代目「アコード」 歴代で最もアグレッシブなデザインを採用
くるまのニュース / 2021年3月24日 6時10分
1976年に誕生したホンダ「アコード」はセダンというイメージが定着していますが、歴代モデルではさまざまなボディタイプを展開していました。なかでも3代目アコードは、シリーズ随一のアグレッシブなデザインを採用したモデルとして君臨。そこで、歴代でもユニークな3代目アコードを振り返ります。
■流行を取り入れつつ高性能化を果たした3代目アコード
ホンダは1972年に初代「シビック」を発売すると大ヒットを記録。そして、ホンダはさらに車種の拡充を図るため、1976年にシビックの上位車種として初代「アコード」を発売しました。
現行モデルは2020年に登場した10代目にあたり、近年は日本で存在感が薄くなってしまいましたが、主戦場であるアメリカではホンダの主力車種のひとつとしていまも高い人気を誇っています。
アコードというとセダンというイメージがありますが、発売当初はファストバックスタイルの3ドアハッチバックのみで、後にセダンが加わり、代を重ねていきました。
なかでも歴代でもっともアグレッシブなデザインを採用してバリエーションも豊か、かつスポーティなモデルに変貌を遂げたとして記憶に残るのが3代目です。
そこで、3代目アコードについて振り返ります。
※ ※ ※
前述のとおり1976年に初代アコードが誕生。1981年には2代目へとフルモデルチェンジし、外観はより洗練されたデザインとなり、ボディタイプは4ドアセダンと3ドアハッチバックを初代から継承しました。
なお、この世代から姉妹車の「ビガー」が加わり、大きなトピックスとして日本車では初となるアメリカ工場でも生産が開始され、ホンダの北米進出拡大の足がかりとなります。
そして、1985年に3代目が登場。内外装はもとより、エンジン、シャシとすべてが一新されました。
とくに外観で大きく変わったのがフロントフェイスで、スポーティカーで採用が拡大していたリトラクタブルヘッドライトとなっており、ボンネット先端が低いウエッジシェイプを実現。
スタンダードボディは4ドアセダンで、ボディサイズは全長4535mm×全幅1695mm×全高1335mmとロー&ワイドな印象です。
また、3代目では従来のファストバックスタイルの3ドアハッチバックが廃止され、新たに3ドアの「エアロデッキ」をラインナップ。
エアロデッキはステーションワゴンに近いユニークなスタイルで、フロントウインドウからリアエンドへ続くロングルーフのキャビンは美しいフォルムを形成するだけでなく、空力性能の向上や優れた居住性の確保にも寄与しました。
欧州では2ドア車をベースに、ステーションワゴンのボディを架装する「シューティングブレーク」というジャンルが古くからありましたが、エアロデッキはまさにシューティングブレークをモチーフとしたといえます。
内装ではセンターにスピードメーターを配置したスポーティな3連メーターに加えカラード液晶デジタルメーターを設定し、トレー状のインパネによって実用的な面もありました。また、シート生地や新たなインパネの風合いから高級感も感じられます。
エンジンはトップグレードの「2.0Si」に2リッター直列4気筒DOHC16バルブを搭載。電子制御燃料噴射式で最高出力は160馬力(グロス、以下同様)を誇りました。ほかにも130馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒DOHCツインキャブ、110馬力の1.8リッターSOHCシングルキャブをラインナップし、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定していました。
駆動方式は全車FFの2WDのみで、サスペンションにはFF車では世界初となる4輪ダブルウイッシュボーンを採用。ダブルウイッシュボーンはフォーミュラーカーでは一般的なサスペンション型式で高い路面追従性を誇りますが、FFではスペース効率や重量の面で実現が難しいとされていたなか、ホンダは独創的なアイデアを投入してこれらの問題点を解決して完成させたといいます。
スポーティで斬新なデザインの3代目アコードは日米でヒットを記録。そして、日本車では初となる試みによって、アコード史上でも重要なモデルが誕生することになります。
■アメリカ生まれのモデルが日本初上陸!
リトラクタブルヘッドライトを採用してスポーティなフォルムに生まれ変わった3代目アコードですが、派手な外観を好まないユーザーがいることも事実でした。
そこでホンダは、1987年に「アコードCA」を追加ラインナップ。アコードCAはリトラクタブルヘッドライトに代わり、欧州仕様で採用されていた固定式の異型2灯ヘッドライトとされ、フロントフェイスはシックな印象のルックスを採用しました。
アメリカで企画・開発・生産されたスタイリッシュなフォルムの「アコード クーペ」
フロントフェイス以外は大きく変わっておらず、走りも落ち着いたコンセプトとするためにSOHCエンジンのみの設定でしたが、後にDOHCエンジンが追加されます。
高級感のあるイメージで販売されたアコードCAはスタンダードモデルほどの人気を獲得できませんでしたが、一定の支持が得られ、1989年のフルモデルチェンジまで継続して販売されました。
また、ホンダは前述のとおり1982年に他メーカーに先駆けて、アメリカのオハイオ州メアリーズビル工場で2代目アコードの海外生産を開始していましたが、生産だけでなく企画やデザインもアメリカホンダでおこなうという取り組みを開始。
最初に開発されたモデルが1988年に日本へ輸入され販売された初代「アコードクーペ」です。なお、海外で生産されて日本で輸入販売されたのは、このアコードクーペが国産メーカーで初でした。
アコードクーペは3代目アコードセダンのシャシをベースに、北米の嗜好にあわせて外観のデザインや内装の意匠と装備、足まわりのセッティングなどが変更されました。
ボディはウエッジシェイプを生かした伸びやかでスタイリッシュなフォルムの2ドアクーペで、内装もゴージャスな雰囲気に仕立てられており、日本仕様も左ハンドルのみです。
エンジンは最高出力120馬力を発揮する2リッター直列4気筒SOHCで、トランスミッションは4速ATを設定し、スポーティさよりもエレガントな走りを重視。
アコードクーペは洗練された外観デザインと、左ハンドルという当時の輸入車信仰にマッチしていたこと、BOSEサウンドシステムの装備などアメリカらしさを感じさせる華やかなモデルとして人気となりました。
ちなみに、北米ではセダンとクーペ以外に、日本では設定されなかったファストバックスタイルの3ドアハッチバックがラインナップされ、エアロデッキは販売していません。
その後も1990年には2代目、1994年には3代目のアコードクーペが登場するなど、一定のニーズがありましたが、4代目以降は日本でのクーペ人気低迷もあって販売を終了。
北米市場では継続して販売が続けられましたが、2018年に7代目をもってアコードクーペは廃止されています。
※ ※ ※
1989年にアコードは4代目にフルモデルチェンジし、フロントフェイスは固定式の異形ヘッドライトに改められ、エアロデッキが廃止となった代わりにアメリカで生産された「アコードワゴン」が加わり、3代目から大きくイメージチェンジが図られました。
シリーズで唯一のリトラクタブルヘッドライトを採用し、エアロデッキをラインナップするなど斬新な取り組みが試みられた3代目アコードは、まだアコードのコンセプトが完全に固まっておらず、いろいろと模索していたのかもしれません。
その後もアコードはコンセプトを何度か変えながら代を重ね、いまも進化し続けています。
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