高齢者マークはいつから付ける? 付けないと違反? 初心者マークと異なる部分とは
くるまのニュース / 2021年3月31日 14時50分
クルマに取り付けるマークのなかで、いつ付けて良いのか分かりにくいのが「高齢運転者標識(もみじ・四つ葉マーク)」です。高齢運転者標識はいつから取り付けるべきなのでしょうか。
■高齢者マークはいつから取り付けるべき?
クルマに取り付ける標識(マーク)にはさまざまな種類があります。
なかでも、取り付け時期が分かりにくいのが「高齢運転者標識(もみじ・四つ葉マーク)」です。高齢運転者標識はいつから取り付けるべきなのでしょうか。
高齢運転者標識は、初心者マーク同様取り付け位置が定められており、地上から0.4m以上1.2m以下の前後見やすい位置に表示するとされています。
この高齢運転者標識は、初心者マークと比べて見かけるケースが少ないといえますが、実際に取り付けについての規定や対象年齢は定められているのでしょうか。
道路交通法第71条第5項の3では、75歳以上のドライバーは高齢運転者標識の付けなければならないと記載されています。
一方で、道路交通法附則第22条「高齢運転者標識表示義務に関する当面の措置」により、「高齢運転者表示義務を当面適用しない」と定められたことから、実際には、高齢運転者標識の表示は努力義務となっています。
そのため、初心者マークとは異なり、例え70歳以上のドライバーであっても取り付けについて違反や罰則はありません。
ですが、最近では高齢者による事故も多発しているため、自身に加え周りも気がつけるように、高齢運転者標識は積極的につけるべきといえるでしょう。
高齢運転者標識について、神奈川県警の免許本部の担当者は以下のように話します。
「高齢者マークは、『つけてください』という努力義務なため、必ずしも装着しなければならないということではありません。
そのため、高齢ドライバーが例え高齢者マークをつけていなかったとしても交通違反として捕まることはありません。
実際の装着率についても、強制力がないのでなんともいえません。ですが、周りへのアピールのためにも装着することをおすすめします」
■高齢ドライバーは運転に注意が必要
最近では社会問題となるほど、高齢者による運転が問題視されています。
高齢ドライバーは30代、40代のドライバーに比べ、とくに加齢による身体機能の低下が目立ってきます。
身体機能が低下することで、注意力や集中力、判断力にも影響し、安全運転について年齢の若い人に比べ衰えてくることは事実です。
警視庁がまとめた「65歳以上の高齢運転者が第1当事者となった事故の割合」のデータを見ると、2011年から2020年の9年間で平均16.3%と、10件の事故のうち1件以上が高齢ドライバーによる事故とされています。
そのうち、多く見られる違反について、安全不確認が38.2%、交差点安全進行が17.3%、前方不注意が11.9%と、ほかにもハンドル・ブレーキ操作不適や動静不注視、歩行者妨害、信号無視などが挙げられています。
さらに、65歳以上の高齢ドライバーの交通事故の人的要因では発見の遅れが82.6%と、8割を占めています。
このようなデータからも、注意力や判断力、瞬発力が低下することで、事故を起こしやすくなっているといえるでしょう。
高齢者の事故について、前出の担当者は、次のように話しています。
「高齢運転者の事故率は、高齢者の人口比率が高くなっていることに伴い、目立つ傾向にあるといえるでしょう。
また、高齢者が起こした事故が大きく報道されることで、高齢ドライバーが危ないといわれてしまう理由になっています。
高齢者による事故を防ぐため、現在75歳以上の人が免許更新をする際には、『認知機能検査』を受けてもらっています。
この検査結果次第では、免許の更新ができない場合もあります」
※ ※ ※
前述にある認知機能検査とは、75歳以上の人が免許の更新をするときに受ける検査で、記憶力や判断力の低下を調べるものです。
この検査の結果は、0点から48点の第1分類、49点から75点の第2分類、76点から100点の第3分類の3種類に分けられます。
第3分類では講習を受けることで免許更新となりますが、第2分類になった場合には講習時間に加え、実技講習や免許更新後の注意喚起の書類が届くようになっています。
さらに第1分類になると、命令書が届き医師の判断を受ける必要が出てきます。
そのため、診断書がないと免許更新ができない仕組みとなっており、認知症など運転に支障があると判断されると、免許取消などの行政処分となる場合もあるようです。
このように、75歳以上の免許更新では、安全に運転できるかの適正チェックを厳格に行っており、少しでも事故に繋がらないよう取り締まりがおこなわれています。
かつては「もみじマーク」というものが採用されていた
近年では、昨今の高齢者の事故のニュースが多いことから、免許の自主返納を行う高齢ドライバーも増えています。
かつては、身分証明書として利用することが多かった免許証でしたが、最近では代わりとなる「運転経歴証明書」を発行することが可能となっています。
自分では今まで通り運転できると思っていても、思った以上に体が動かず思わぬ事故を引き起こしてしまうケースが多く見られています。
クルマがないと日々の生活に支障をきたすような人もいるかもしれません。ですが、少しでも不安要素を感じる人は返納をすべきと言えるでしょう。
※ ※ ※
高齢運転者標識の表示はあくまで努力義務ですが、周囲の安全のためにも70歳以上のドライバーは取り付けておくのが安心です。
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