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オバフェン車両が価格上昇中!! アウディ「クワトロ」は出会ったら即買いすべし!?

くるまのニュース / 2021年4月11日 19時10分

BMW E30型「M3」やランチア「デルタ」など、1980ー90年代にモータースポーツシーンで活躍したオーバーフェンダーのクルマたちが軒並み高騰している。では、アウディが誇る「クワトロ」もその波に乗っているのかを、最新オークションから検証してみよう。

■1980ー90年代のヤングタイマーが値上がり中!

「ヤングタイマー」と呼ばれる1980ー90年代のネオ・クラシックカーのなかでも、とくにアイコニックなアウディ「クワトロ」は、国際クラシックカー・マーケットにおける人気も年を追うごとに高まっているようだ。

 今回は、クラシックカー/コレクターズカーのオークション業界最大手のRMサザビーズ社が2021年1月下旬に開催した「ARIZONA」オークションに出品したスタンダードのロードバージョンと、2020年10月末に開催した「LONDON」オークションに出品したグループ4ラリーバージョンの2台を対比しながら、この稀代の名作の解説および現況を探ってみることにしたい。

 今から約40年前、1980年にデビューしたアウディ「クワトロ」は、現在ではあらゆるスーパーカーや高性能車の、おそらくは半数以上を占めている感のあるフルタイム4WDの駆動レイアウトを、オンロード用スポーツカーに初めて導入した記念碑的なモデルといえるだろう。

 祖父であるフェルディナント・ポルシェ博士の興したポルシェ社を辞して、1972年に技術担当重役としてアウディに移籍したフェルディナント・ピエヒ博士が主導して開発されたクワトロは、今なおアウディのアイデンティティとなっている直列5気筒SOHCエンジンを搭載する。

 排気量は2144ccで、一基のターボを組み合わせて200ps(本国仕様)をマーク。同時代のポルシェ「911SC」にも匹敵する高性能車となった。

 しかしこのクルマでもっとも注目すべきポイントは、やはり4WDのドライブトレインだろう。もともとは軍用車としてアウディ技術陣が開発したフォルクスワーゲン「イルティス」の駆動系コンポーネンツを流用しつつも、ロックも可能な機械式センターデフを前後のデフとは別に設けるフルタイム4WDシステムは、それまでのクロスカントリー4駆たちとは一線を画していたのだ。

 そして、アウディ・クワトロが名声を得るのにもっとも貢献した要因として挙げるべきが、世界ラリー選手権(WRC)での圧倒的な活躍だろう。

 1980年代初頭からグループB時代の終焉まで、クワトロとそのエヴォリューションモデルたちは、ハンヌ・ミッコラやスティグ・ブロンクヴィスト、ミシェル・ムートン、そしてヴァルター・ロールらのレジェンドドライバーとともに、WRCで通算23勝および2度の世界タイトルを獲得。ラリー界の趨勢を、一気に4WD時代へと塗り替えてしまったのである。

●1983 アウディ「クワトロ」

 RMサザビーズ「ARIZONA」オークションに出品された市販ロードバージョンのアウディ・クワトロは、一説によると5回以上のマイナーチェンジが施されたというこのモデルとしては、最初期に当たる1983年モデルである。

 ボディカラーのマース・レッドと内装のチェスナット・レザーの組み合わせは、そのなかでももっとも古いモデルのひとつである。

 この1983年式のアウディ・クワトロは、当時のモディファイが施されており、車両記録や保存状態も良好な特に魅力的な1台である。

 このシリーズのすべての車両は、クワトロが4WDを指すようになったことで、「Ur−クワトロ」と呼ばれることがある。ちなみに「Ur」は「オリジナル」を意味している。

 この個体は、米国コネチカット州ウェストポートのTrainer Motors社に最初のオーナーが注文し、1982年11月22日に新車として納車されている。その後2015年まで、わずか2人オーナーが長期にわたって所有している。

 オリジナルの整備記録を見ると、1992年10月30日にニュージャージー州に住む次のオーナーに引き取られるまで、元のオーナーのもとにあったことがわかる。

 このふたり目のオーナーはアウディの認定メカニックであり、ロナール製アロイホイール、大型ブレーキ、コニ製ショックとハードスプリング、アップグレードされた計器類、パフォーマンスカムシャフト、欧州製ヘッドランプ、欧州製フロント・リアバンパーなど、欧州のUr-クワトロにふさわしい仕様にアップグレードしたようである。これらのアップグレード以外には、装備、塗装、ガラスはオリジナルのままであるようだ。

 この個体の走行距離は、2000マイル(約3万2187km)というローマイレージであり、オリジナルのオーナーズマニュアル、メンテナンスブック、ジャッキ、スペア、工具なども揃っている。

 エスティメート(推定落札価格)は4万−5万ドルであったが、最終的には大きく上回る6万1600ドル(邦貨換算約680万円)で落札された。

* * *

 ところで、1991年に生産を終えるまでに、11452台がラインオフしたとされるアウディ・クワトロだが、正規輸入がわずか86台に限られたこともあって、日本国内の生息数は極めて少ない。さらに現在の国内マーケットに「For Sale」として姿を見せる事例は、数年に1度レベルと認識している。

 もちろん、ヨーロッパからクラシックカーとして輸入することも不可能ではないものの、この時代のクルマは自動車排出ガス試験(通称ガス検)などの日本国内法規向け対応が、手間・コストともにかなり高いハードルとなる。

 そのせいか、ついつい二の足を踏んでしまうバイヤーも多いのが実情という。だから、この伝説的名車をいつか手にしたいと熱望している日本在住の愛好家は、もしも日本国内で売り物が出たら、ほかの購入希望者に買われてしまう前に即断即決してしまうのが得策のようだ。

■すぐにでもラリーに参戦できる「クワトロ・グループ4」

 2020年10月末に開催されたRMサザビーズ社「LONDON」オークションに出品されたアウディ・クワトロは、「B2」のコードネームで知られる最初期のラリー仕様車である。FIAグループB規約の施行前年、1981年にグループ4仕様として製作された1台とされる。

●1981 アウディ「クワトロ・グループ4」

国際格式のクラシックラリーなどにも参戦可能なアウディ「クワトロ・グループ4」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's国際格式のクラシックラリーなどにも参戦可能なアウディ「クワトロ・グループ4」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 このB2時代のクワトロ・グループ4車両ではFIAの規制に準拠して、直列5気筒+ターボのエンジンに搭載されるボッシュKジェトロニック燃料噴射システムを再チューン。ツイン燃料ポンプや過給圧1.1バールのKKKターボチャージャーなどの専用装備を加えて、300psオーバーまでスープアップされている。

 今回の出品車両は、リヒテンシュタインに拠点を置くアウディ製スポーツエンジンのプロバイダー「レーマン(Lehmann)」によるフルサービスを2014年に受け、現役時代そのままのパフォーマンスを保持しているという。

 また公式WEBカタログによると、ZF社製5速マニュアルギアボックスと、デフロック機能を持つセンターデフを介して4輪すべてにトルクを分配する駆動システムも、フランスの競技用トランスミッションのスペシャリスト「マレル・エ・ペラン(Marrel et Pelin)」社により、2013年にオーバーホールされたとのことである。

 一方シャシもB2独自のスペックとされ、アイバッハ/アウディスポーツ製のマクファーソンストラットとビルシュタイン社製ダンパーを装備。4ピストンのブレーキキャリパーでストッピングパワーを増大させ、8J幅の専用ホイールと「トーヨーR888」ラリータイヤを着用する。

 さらにボディ内外も徹底的にオーバーホールされ、ストリップされたインテリアには専用製作のマルチポイント型ロールケージに、スパルコ6点ハーネスを装備したレカロのレーシングシートをセットする。

 加えて消火システム、およびラリーでは必須のトリップマスターとタイムラリーに必要なデジタルストップウォッチを含むカスタマイズを施し、ラリー競技のための準備は万端。フランスの国内登録だけでなく、2026年まで有効な「FIAテクニカルパスポート(HTP)」も取得済みで、近年では、2015年と2016年に「ラリー・ド・オート・プロヴァンス」などフランス国内のクラシックラリーで雄姿をみせている。

 もちろん競技ラリーへのエントリーは「ヘルメットを持参するだけ」というほど簡単ではないだろうが、ホイールやボディパネル、パワートレインなどの豊富なスペアパーツとともに、落札した次期オーナーに届けられることになっているという。

 このアウディ・クワトロ・グループ4に、RMサザビーズ社が設定したエスティメート(推定落札価格)は13万−14万ポンド。日本円換算で約1820万−1960万円とされていたものの、オンライン限定でおこなわれた競売では落札に至らず、現在では同社の営業部門で個別の問い合わせを受けている。つまり、継続販売となっているようだ。

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