主張しすぎていないのが好印象? さりげなく高性能なターボ車3選
くるまのニュース / 2021年4月7日 16時10分
一般的にスポーツカーは高性能なエンジンを搭載し、強化されたサスペンション、優れた制動力を発揮するブレーキを装備し、高い動力性能と運動性能を誇り、さらに見た目にも速そうなデザインを採用しています。一方で、外観は比較的普通ながらハイパワーなエンジンを搭載するモデルも存在。そこで、さりげなく高性能なターボエンジン車を、3車種ピックアップして紹介します。
■見た目では推し量れない高性能モデルを振り返る
2021年4月5日にトヨタ新型「GR 86」が世界初公開され、同時にスバル新型「BRZ」が日本初公開されました。両車は2.4リッター自然吸気エンジンを搭載するFRのピュアスポーツカーで、足まわりやブレーキも動力性能にふさわしいチューニングが施されています。
こうしたスポーツカーは数字で表される性能が高いだけでなく、見た目にも速そうな外観デザインを採用しており、誰が見てもスポーツカーであることが認知できます。
しかし一方で、見た目は普通のクルマながら、ハイパワーなエンジンを搭載したモデルも存在。そこで、さりげなく高性能なターボエンジン車を、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「アベニール GT4」
前置きインタークーラーがカッコいい「アベニール GT4」
1989年に誕生したスバル初代「レガシィ ツーリングワゴン」によって、高性能ステーションワゴンが一躍人気となりました。そうした状況から1990年代初頭には各メーカーもスバルに追従して、ハイパワーなステーションワゴンを数多く発売。
当時、高性能ステーションワゴンの定番となっていたのが2リッターターボエンジンで、比較的実用的なモデルにも搭載されました。そのなかの1台が日産「アベニール GT4」です。
アベニールは商用モデルのライトバンとボディを共有するステーションワゴン専用モデルとして、1990年に初代が発売されました。
使い勝手の良さとステーションワゴンブームの後押しもあってスマッシュヒットを記録し、1995年には4WDシステム「アテーサ」を採用したフルタイム4WDに、210馬力を発揮する2リッターターボエンジンを組み合わせた「サリュー GTターボ」を追加ラインナップ。
そして、1998年に2代目へとフルモデルチェンジし、スタンダードモデルの「サリュー」シリーズと、スポーツ路線の「GT4」シリーズという2系統のグレード構成を展開。
高性能モデルのGT4は全長4650mm×全幅1695mm×全高1490mmの5ナンバーサイズで、エンジンは230馬力を発揮する2リッター直列4気筒ターボ「SR20DET型」を搭載。トランスミッションは4速ATのみでアテーサを標準で採用し、とくにオンロードでの走りを高めていました。
外観は比較的派手さを抑えた印象ですが、フロントバンパー下部から覗く前置きインタークーラーによって高性能さを控えめに主張。まさに「通好み」な1台ではないでしょうか。
その後、2002年のマイナーチェンジでGT4シリーズは廃止され、2005年にはアベニールの生産を終了。後継モデルは「ウイングロード」ですが、高性能グレードは設定されませんでした。
ちなみに、当時の日産はSR20DET型エンジンを「シルビア」や「180SX」といったスポーツカー以外にも採用。このアベニール GT4以外ではミニバンの「プレーリーリバティ」やステーションワゴンの「ルネッサ」にも搭載していました。
●三菱「エアトレック ターボR」
ボンネットのエアスクープのみで控えめに高性能さを主張する「エアトレック ターボR」
かつて三菱は「ジープ」や「パジェロ」に代表される本格的なクロカン4WD車がSUVの主力モデルでしたが、他社に追従するため、もっとライトなSUVである「エアトレック」を2001年に発売しました。
エアトレックは、オフロードよりもオンロード寄りの走行性能を重視したクロスオーバーSUVで、4WD仕様だけでなく2WD仕様も設定。
ステーションワゴンタイプのボディはボリューム感のあるデザインで、サイズは全長4410mm×全幅1750mm×全高1550mmと、低めの全高で使い勝手も優れていました。
エンジンは2リッター直列4気筒と2.4リッター直列4気筒GDIをラインナップし、トランスミッションはマニュアルシフトが可能な4速ATのみです。
そして、2002年にエアトレックの高性能グレードとして「ターボR」が追加されました。
ターボRのエンジンは、「ランサーエボリューション」シリーズの第1世代から第3世代まで搭載されていた高性能な「4G63型」をベースに、扱いやすさを考慮して最高出力240馬力にデチューン。トランスミッションはスポーツモード付5速ATのみを設定しています。
外観でスタンダードモデルとの違いはボンネット上のエアスクープくらいで、派手なエアロパーツなどは装着されていません。
その後、2008年にエアトレックは生産を終え、後継モデルは「アウトランダー」です。
■スバル製ターボ車伝統の“あれ”が付いていない高性能モデルとは?
●スバル「フォレスター XT」
280馬力のエンジンを搭載していながら外観はおとなしい「フォレスター XT」
現在、スバル車最大の特徴である水平対向エンジン+AWDというパワートレイン「シンメトリカルAWD」は、1971年に発売された初代「レオーネ」で確立され、前述の初代レガシィによって一気に普及しました。
このパワートレインはさまざまなモデルに搭載されましたが、多くはセダンとステーションワゴンであり、新規カテゴリーとして1997年にSUVの「フォレスター」が登場。
フォレスターは初代から3代目まで、名機と呼ばれる「EJ20型」2リッター水平対向4気筒ターボエンジンを搭載するグレードをラインナップし、ハイパワーなSUVとして高い人気を獲得しました。
そして、2012年に発売された4代目では、280馬力を誇る「FA20型」2リッター水平対向4気筒直噴ターボエンジンを搭載した「XT」グレードが誕生。
XTの外観は自然吸気モデルとほとんど変わらず、3代目まであったボンネットのエアスクープも採用されていないなど、一見すると高性能モデルには見えません。エンブレム以外では左右2本出しのマフラーによって、控えめにアピールするのみでした。
トランスミッションは自然吸気モデルには6速MTが設定されましたが、XTはCVTの「リニアトロニック」のみで、どちらかというとグランドツアラーといったポジションです。
2018年に現行モデルの5代目にフルモデルチェンジされましたが、FA20型ターボエンジンは廃止。2020年に新設定された高性能グレードの「スポーツ」は、 177馬力の1.8リッター直噴ターボエンジンを搭載しています。
※ ※ ※
高性能エンジンを搭載していながら比較的地味なモデルはほかにもありますが、かつてエンジンパワーにシャシ性能が追いついていないモデルも存在しました。
とくにSUVは重心が比較的高く4WD車では車重も重いので、エンジンパワーを重視するのは危険といえるでしょう。
今回紹介した3車種はどれもAT(CVT)のみの設定ですが、そのくらいがちょうど良いのかもしれません。
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