ジツは「GT-R」だけじゃない! 日産が誇るスーパーマシン5選
くるまのニュース / 2021年4月15日 6時10分
2021年4月14日に、日産「GT-R NISMO」の2022年モデルと、特別仕様車の「GT-R NISMO スペシャルエディション」が発表されました。GT-Rといえば日産が誇るスーパーカーですが、さらにすごいモデルも存在。そこで、GT-R NISMO スペシャルエディションとともに日産のスーパーマシンを、5車種ピックアップして紹介します。
■日産の歴代スーパーマシンを振り返る
日産は2021年4月14日に、同社が誇るスーパーカーである「GT-R」の特別なモデル「GT-R NISMO」の2022年モデルとともに、特別仕様車の「GT-R NISMO スペシャルエディション」を発表しました。
GT-Rは卓越した走行性能を持ち、何倍もの価格の欧州スーパーカーと同等以上の走りから、世界的にも高い人気を誇っています。
しかし、日産が誇るスーパーマシンはGT-Rだけではありません。そこで、GT-R NISMO スペシャルエディションとともに、歴代の日産製スーパーマシンを5車種ピックアップして紹介します。
●GT-R NISMO スペシャルエディション
シックなカラーリングが逆に迫力を増した「GT-R NISMO スペシャルエディション」
1969年に誕生した初代「スカイラインGT-R」からの系譜を受け継ぐモデルとして、2007年12月にGT-Rはデビューしました。
GT-Rはその後、フルモデルチェンジすることなくアップデートを重ね、2014年にはサーキット走行を視野に入れてニスモによって開発された「GT-R NISMO」が登場。
エンジンはGT-R専用の3.8リッターV型6気筒ツインターボ「VR38DETT型」をさらにチューンナップし、最高出力は600馬力を絞り出します。
また、シャシ剛性のアップや専用セッティングのサスペンション。外装ではフロントバンパー、ボンネット、フロントフェンダー、ルーフ、トランクリッド、大型のリアウイングと、随所にカーボン製パーツが装着され、空力特性の向上と軽量化が図られています。
内装ではカーボンシェルのレカロ製バケットシート、カーボン製センターコンソール、アルカンターラをルーフの内張りやダッシュボード、ハンドルなどにふんだんに使うなど、ゴージャスかつスポーティさを高めました。
今回、発表された2022年モデルのGT-R NISMOでは、アスファルトをイメージした新らたな外装色の「NISMO ステルスグレー」を設定。
さらにGT-R NISMO スペシャルエディションでは、クリア塗装によってカーボンの織目の美しさを見せてレーシーな雰囲気を演出するボンネットと、レッドの差し色が入った専用のレイズ製20インチ鍛造アルミホイールが装着されています。
また、数字には現れていませんが、エンジン内部のピストンリング、コンロッド、クランクシャフトなどに高精度重量バランス部品を採用し、完成したエンジンに貼り付けられる「匠」のネームプレートも専用カラーです。
なお、GT-R NISMO スペシャルエディションとGT-R NISMOの2022年モデルの価格発表は2021年8月、発売は同年10月を予定しており、誕生から13年以上経つロングセラーとなったGT-Rですが、進化の歩みは止まっていません。
●MID4/MID4 II
もしかしたら和製スーパーカー第1号になるかもしれなかった「MID4」
日産は1980年代の初頭に、新技術の研究開発を目的とした実験車両の「MID4」を製作。車名はエンジンをリアミッドシップに搭載した4WDスポーツカーに由来し、1985年のフランクフルトモーターショーでお披露目されました。
外観は当代きってのスーパーカーであるフェラーリ「512BB」をオマージュしたようなデザインで、あくまでもショーカーという位置づけとなっていました。
しかし、2年後の1987年に開催された東京モーターショーの日産ブースには、市販車に近いレベルまで進化した「MID4 II」が出展され、大いに話題となります。
MID4 IIは最高出力330馬力を発揮するV型6気筒DOHCツインターボエンジン「VG30DETT型」を、リアミッドシップに縦置きに搭載。
サスペンションはフロントにダブルウイッシュボーン、リアには後輪操舵機構「HICAS(ハイキャス)」を装備したマルチリンクが採用されています。
内外装やメカニズムは市販モデルに近いクオリティで、実際に市販化へ向けた検討が社内で何度もおこなわれたといいますが、最終的にはコストの問題から市販を断念。
悲運のスーパーカーとなってしまったMID4ですが、数々の新技術は「32型フェアレディZ」と「R32型スカイラインGT-R」の2台に生かされ、MID4の開発は無駄にはなりませんでした。
●R390 GT1 ロードカー
まさに公道を走るレーシングカーだった「R390 GT1 ロードカー」
日産によるモータースポーツへの参戦は1930年代に始まり、近代では1958年の「豪州ラリー」から本格的な活動がおこなわれました。
1986年から世界3大レースのひとつ「ル・マン24時間レース」に挑戦し、1997年から参戦車両のレギュレーションが変更されたことを受け、公認取得を目的としたレーシングカーのロードゴーイングモデルを製作。
それが「R390 GT1 ロードカー」です。
当時の「GT1」規定では、最低1台の「公道を走行可能な仕様の登録車」が求められたため、各社とも本格的な競技車両をロードカーとして登録して、出場権を得ていました。
R390 GT1 ロードカーのボディはスポーツプロトタイプカーのR390 GT1そのもので、一般公道を走行する際に必要な安全装備の追加が施され、実際に英国で登録してナンバーを取得。
ボディサイズは全長4720mm×全幅2000mm×全高1140mmと、地を這うようなロー&ワイドなフォルムで、エンジンは3.5リッターV型8気筒ツインターボのレース専用に開発された「VRH35L型」をリアミッドシップに搭載。
最高出力は350馬力以上とアナウンスされていましたが、実際のポテンシャルは700馬力近いといわれています。
R390 GT1 ロードカーは市販されませんでしたが、現在も神奈川県座間市にある「日産ヘリテージコレクション」が所蔵しています。
■レーステクノロジーを余すこと無く投入した2台のコンプリートカーとは?
●NISMO 400R
ハードなチューニングが施されつつ爪を隠していた「NISMO 400R」
1995年に発売された「R33型スカイラインGT-R」をベースに、1996年にニスモから販売されたコンプリートカーが「NISMO 400R」です。
車名の400Rは、搭載された「RB-X GT2型」エンジンが、最高出力400馬力を発揮することに由来。
エンジンはベースの2.6リッター直列6気筒ツインターボ「RB26DETT型」の排気量をアップして2.8リッターとし、専用の鍛造ピストン、コンロッド、クランクシャフトや、N1用ターボチャージャー、強化エンジンブロック、燃焼室形状が最適化されたシリンダーヘッド、専用プログラムのECUなどを搭載。
なお、RB-X GT2型は中低速域のトルクアップを重視したセッティングとなっており、本来の実力は400馬力以上だったといわれています。
外観は専用デザインの各エアロパーツとボンネットに加え、全幅が50mm拡大されるオーバーフェンダーを装着。軽量化とともに迫力あるリアビューを演出するチタン製マフラーも、400R専用に開発されました。
足まわりやブレーキ、ホイールなどは市販のニスモ製スカイラインGT-R用パーツが組み込まれていましたが、十分なパフォーマンスを発揮。
NISMO 400Rの当時の価格は1200万円(消費税含まず)と、ノーマルよりも約700万円も高額でしたが、チューニングの内容やニスモ謹製という信頼性を考えると妥当な価格といえるでしょう。
なお、NISMO 400Rは99台限定で販売を予定していましたが、実際にデリバリーされたのは50台前後といわれています。
●フェアレディZ Version NISMO Type 380RS
レースベース仕様を公道向けに仕立てた「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS」
日産を代表するスポーツカーであるフェアレディZは1969年に誕生しましたが、2000年に4代目をもって系譜は途絶えてしまいました。しかし、2002年に5代目として復活し、現在に至ります。
5代目フェアレディZは自然吸気ながら280馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒「VQ35DE型」エンジンを搭載。
自然吸気エンジンの特徴であるレスポンスの良さや、アクセルペダルを踏みこんだ瞬間から大排気量車ならではの強烈かつリニアな加速が楽しめる、上質なスポーツカーに仕立てられていました。
また、外観は初代に原点回帰したロングノーズ・ショートデッキのスタイルで、歴代モデルにあった4シーターは廃止され、2シーターのみです。
その後、改良とともにバリエーションの拡充がおこなわれ、2007年にはニスモの手によって開発された「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS」が300台限定で発売されました。
この380RSは、スーパー耐久参戦用ホモロゲーションモデルの「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS-Competition」を公道仕様にモデファイしたものです。
エンジンは「VQ35HR型」をベースに排気量を3.8リッターにアップして最高出力350馬力を発揮。専用の鍛造ピストンに、強化素材のコンロッド、クランクシャフト、専用プロフィールのカムシャフトなどを搭載するなど、まさにレーシングエンジンのデチューン版という内容となっています。
一方で、380RSの外観は同じくニスモが開発した「Version NISMO」と同様な仕様なため、特別なモデルながらエンブレム以外に主張していません。
なお、当時の価格は539万7000円(消費税5%込)と、比較的リーズナブルでした。
※ ※ ※
2020年にはGT-Rベースのスーパーマシン「GT-R50 by イタルデザイン」が発表されるなど話題は尽きませんが、前述のとおりGT-Rは日産車のなかでもかなりロングセラーなモデルです。
現行モデルのZ34型フェアレディZも12年超のロングセラーですが近日中に新型が登場する予定で、もはやGT-Rのみがロングセラーとなってしまいます。
走行性能的には今もGT-Rはトップクラスといっても過言ではありませんが、安全性能や環境性能については時代に取り残された感が否めません。
もはやスーパーカーといえども安全性能や環境性能の向上は世界的にも必須ですから、今後のGT-Rの去就についても注目されそうです。
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