FF化直前のモデルがカッコイイ! シリーズ最後の高性能FRセダン5選
くるまのニュース / 2021年4月16日 6時10分
現在、軽自動車から中型のモデルは、FFが主流です。しかし、かつてはFRのモデルが数多く存在し、FF化される前には高性能なモデルもありました。そこで、シリーズ最後となる高性能FRセダンを、5車種ピックアップして紹介します。
■シリーズ最後となった高性能なFRセダンを振り返る
1970年代に日本でもFF車が続々と登場して爆発的に普及しました。現在は軽自動車からミドルクラスまでFF車が主流という状況です。
FF車はプロペラシャフトが無く、トランスミッションもエンジンルームに収まるため、室内空間が広いという特徴がありますから必然的にコンパクトなモデルはFFを採用しています。
かつてはFRだったモデルも代を重ねるとFF化されたケースもありますが、そうしたクルマで最後にFRだったモデルには意外と魅力的なモデルも散見されます。
そこで、シリーズ最後となる高性能FRセダンを、5車種ピックアップして紹介します。
●いすゞ「ジェミニZZ」
DOHCエンジンを搭載し、クールな見た目の「ジェミニ ZZ」
現在、国内ではトラックに特化したメーカーとなっているいすゞですが2002年までは乗用車を生産しており、かつては「117クーペ」や「ベレット」など数々の名車を輩出してきました。
そして、1974年に比較的オーソドックスなスタイルのFRセダン/クーペ、初代「ジェミニ」を発売し、いすゞの主力車種となります。
その後大きなアップデートとして、1979年には最高出力130馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載した「ZZ(ダブルズィー)」シリーズを追加ラインナップ。
さらに1981年には、強化サスペンションやLSDを標準装備した「ZZ/R」を発売し、「ベレットGTR」の再来と評されたほどです。
外観はエンブレムやデカール以外では、ボンネット上のバルジでスポーティさを控えめにアピール。また、リアバンパーの下から覗く斜めにカットされたデュアルマフラーがZZシリーズの特徴で、実際のエキゾーストノートも低音が響く迫力あるサウンドを奏でました。
1985年にFFの2代目ジェミニが登場しましたが、初代もしばらくは併売され、1987年に生産を終了。その後1990年代には、SUVを除くいすゞの乗用車はすべてFF化されました。
●三菱「ランサーEX GSRターボ」
高性能かつ、いぶし銀の魅力あふれる「ランサーEX GSRターボ」
1973年に誕生した三菱初代「ランサー」は、ベーシックなモデルながら高性能グレードも設定され、国内外のラリーで活躍しました。
しかし、1979年に発売された2代目の「ランサーEX」シリーズでは、排出ガス規制強化によるパワーダウンや、100kg以上増えた車重の影響もあり、初代のような走りは期待できませんでした。
そこで三菱は、1981年に「ランサーEX 1800GSRターボ」を追加ラインナップ。最高出力135馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載し、スポーティなランサーが復活しました。
その後、ランサーEXターボは1983年のマイナーチェンジでインタークーラーが装着され、最高出力は160馬力まで向上。
外観では前置きの空冷インタークーラーを強調するようなスポイラー形状のフロントバンパーに、逆文字「TURBO」のデカール、小ぶりなリアスポイラーを装着することで、迫力あるフォルムへと変貌を遂げました。
1987年にランサーEXシリーズは生産を終了し、3代目は「ミラージュ」の兄弟車としてFF化されるとともに高性能モデルでは4WDが標準となります。
●日産「910型 ブルーバード」
オーソドックスなデザインながら優れた操縦性でヒットした「910型 ブルーバード」
かつて日産を代表する大衆車は「サニー」で、最上級の「プレジデント」まで多様なセダンラインナップを構築していました。
このサニーよりも1クラス上の車種だったのが、日産の主力車種の1台だった「ブルーバード」です。
1979年登場の6代目ブルーバード(910型)では、好評だった3代目を思い起こさせるような直線基調のデザインとすることで、販売台数でライバルのトヨタ「コロナ」を上まわる大ヒットを記録。
エンジンはNOx低減のために、NAPS-Z(ナップスゼット)と呼ばれた2本の点火プラグを1気筒ごとに備えツインプラグ化した新世代の「Z型」がメインとなりました。
さらに1980年には、シリーズ初となる1.8リッター4気筒ターボエンジンを搭載した「ターボSSS」をラインナップ。ターボSSSは、エンジンのパワフルさやピックアップの良さも高く評価されました。
また、フロントにストラット、リアがセミトレーリングアームとしたサスペンションのセッティングも優れており、操縦性も当時のFRとしては画期的なものだったといいます。
6代目は最後のFRブルーバードで7代目以降はFF化されたことから今もファンが多く、なかには「910こそが最後のブルーバード」と呼ぶユーザーも存在します。
■最初で最後だった日産のFRセダンとは?
●トヨタ「TE71型 カローラ1600GT」
まさに漢のクルマといえる「2T-G型」エンジン搭載の「TE71型 カローラ 1600GT」
1966年にトヨタは新世代の大衆車として初代「カローラ」を発売し、大ヒットを記録。その後は高性能化のニーズが高まり、1972年には1.6リッター直列4気筒DOHC「2T-G型」エンジンを搭載した初代「カローラレビン/スプリンタートレノ」が登場。
この2T-G型エンジンはレビン/トレノだけでなく、1979年に発売された4代目では3ドアリフトバック、2ドアハードトップ、4ドアセダンの「1600GT」グレード(TE71型)にも搭載。
なかでもセダンのGTは直線基調のボディに、丸目4灯のフロントフェイスとブラックアウトしたバンパー、そしてフロントグリル中央にGTのエンブレムが装着され、高性能モデルであることをアピールします。
電子制御燃料噴射装置が採用された「2T-GEU型」DOHCエンジンは最高出力115馬力を発揮。
1983年にはレビン/トレノ以外のモデルはFF化され、TE71型が最後のスポーティFRセダンとなってしまいました。
●日産「セフィーロ」
初代が最初で最後のFRモデルだった貴重な存在の「セフィーロ」
日産は1980年代にセダンラインナップの拡充を図り、1988年に「ローレル」や「スカイライン」と主要なコンポーネンツを共有するFRモデルの初代「セフィーロ」を発売。
糸井重里氏による「くうねるあそぶ」の個性的なキャッチコピーや、歌手の井上陽水氏を起用した「みなさんお元気ですか」のTVCMも大いに話題となりました。
ボディタイプはセダンのみで、外観はCピラーを寝かしたスタイリッシュなクーペフォルムに、プロジェクターヘッドライトや薄型異型ヘッドライトを採用したフロントフェイスが印象的です。
また、初代セフィーロの販売には新たな試みが導入され、エンジン3種類と、サスペンション3種類による9種類の組み合わせに、車体色と室内色の組み合せも選べる「セフィーロコーディネーション」と呼ばれるセミオーダープランが用意されていました。
たとえばスポーツドライビングに適したモデルとして、最高出力205馬力を発揮する2リッター直列6気筒DOHCターボエンジン「RB20DET型」に、トランスミッションは5速MT、足まわりはフロントがストラット、リアがマルチリンクのサスペンションには4輪操舵の「HICAS-II」が選択できコンフォートな仕様と合わせて幅広い層から支持を得ます。
その後、1994年に2代目が登場するとFF化され、初代セフィーロは最初で最後のFRだったことから、生産中止後に中古車人気が高くなる現象が起きました。
※ ※ ※
かつてはマツダ4代目「ファミリア」や、トヨタ2代目「スターレット」など、2BOXのコンパクトカーでもFRのモデルが存在しました。
また、軽乗用車の三菱「ミニカ」は4代目までFRで、マツダ「シャンテ」もFRとされるなど、意外とFRは小型モデルにも採用されていました。
当然ながらその後は小型のFR車が淘汰されましたが、1980年代くらいまでは今では考えられないような個性的なクルマが多かったといえます。
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