シビックタイプRが1500万円超! 希少な限定車が抱える問題とは
くるまのニュース / 2021年4月20日 14時10分
近年、台数限定で販売される特別仕様車や、生産終了にともなって販売される「ファイナルエディション」といったモデルが、高額な価格で取引されているのが話題となっています。しかし、実際の販売現場では根深い問題となっているようです。
■本当に乗りたい人が手に入れられない?
クルマに限った話ではありませんが、「限定販売」と聞くと「手に入れたい!」と思う人も多いのではないでしょうか。
近年は新型車が出る際に「ファーストエディション」、販売終了する際には「ファイナルエディション」といった限定モデルが登場するが定番ですが、こうしたモデルの価格高騰が話題となっています。
一例を出すと、2020年11月に発売されたホンダ「シビックタイプR リミテッドエディション」は、あっという間に完売しましたが、直近のオークションではすでに数台が出品され、1500万円台で落札されるなど実に新車価格の3倍近い価格でした。
もはや投機といった状況といえますが、限定車が抱える問題について販売現場の声をレポートします。
※ ※ ※
限定モデルの中古車がプレミア価格で販売されることは、最近始まったことではありません。
1980年代には日産「Be-1」やトヨタ「スープラ 3.0GTターボA」などの中古車が、新車価格を上まわる価格で取引されていました。
近年では三菱「ランサーエボリューション ファイナルエディション」やスバル「S208」が、プレミア価格で販売されている状況です。
こうした高性能車の限定モデルは、本当に欲しいと思って手に入れる人だけでなく、投機目的の人も少なからずいます。
クルマ以外でも問題になっている、いわゆる「転売ヤー」という存在ですが、法的にはなんら問題なく、転売禁止などの誓約書を書かせるケースもあるようですが、コンサートチケットなど特殊な物品を除くと法的な拘束力は無いというのが現状です。
では、実際の販売現場では、限定モデルについてどう思っているのか、あるディーラーのセールス担当に話を聞きました。
――限定モデルについて、問題となっていることは何でしょう
台数限定のモデルでは地域や店舗によって割り当ての台数が決まっていて、欲しいというお客さまがいらっしゃっても、売るクルマが無いという状況です。
たとえ商談にいらっしゃっても、割り当てを超えて販売することはできませんから。
弊社は複数の店舗を展開していますので、店舗間でやりくりできることもありますが、極端に人気のあるモデルではそれも難しいでしょう。
――転売目的のお客さんはいますか
正直、わかりません。最近は購入希望者多数の場合は抽選での販売というケースも多く、商談にいらっしゃるのは長いお付き合いをしているお客さまだけに限りませんので。
――限定モデルがプレミア価格販売される現状についてどう思われますか
本当に欲しい、乗りたいと思っているお客さまが手に入れられない状況は憂慮していますが、対応策はありません。
弊社は正規のディーラーですから、当然、プレミア価格では販売しませんが、中古車専門店ではそうした制限が無いので歯止めは効かないと思います。
本来ならば台数限定ではなく受注期間を決めて、受注したクルマはすべて生産するという計画ならば良いのですが。
ただ、生産終了が発表されたクルマでファイナルエディションを出すとなると、生産計画が決められているため、すべて生産できずに実質的に台数限定と同じになってしまうでしょう。
最近は限定モデルというだけでプレミア価格となる傾向ですから、受注期間限定でも年月が経つと価格が高騰してしまうのは避けられないかもしれません。
※ ※ ※
前述のとおりシビックタイプR リミテッドエディションは、直近では価格高騰が著しいモデルですが、同じくホンダの「S660」「S660 モデューロX バージョンZ」も、限定モデルではないにも関わらず生産計画の関係から完売とアナウンスされています。
おそらく、今後はS660も価格高騰が予想されますが、やはり対策は無いというのが現状のようです。
ちなみに、日産は前出のBe-1が台数限定で抽選販売となってしまったことから、次に発売した「パオ」は期間限定で販売し、受注分はすべて生産されました。
そのため、Be-1ほどの価格高騰はなかったようです。
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