「オートライト」義務化から1年 新車装着で何が変わった? 未搭載車はどう対応?
くるまのニュース / 2021年4月22日 9時10分
国土交通省は、薄暗くなった際に自動でヘッドライトなどが点灯する「オートライト機能」を2020年4月からの新型車に対して義務付けていますが、1年経った現在ではユーザーからどのような反響があるのでしょうか。
■新型車にはすでに義務化されたオートライト機能
クルマの安全に起因する装備は年々進化を遂げています。その進化と合わせて道路交通法や道路運送車両の保安基準などが改正されています。
そのなかで、通称「オートライト機能」が2020年4月1日から新型車で義務化されて1年が経過しました。今後、2021年10月1日からは継続車も義務化されます。
では義務化されるオートライト機能とは、どのようなものなのでしょうか。
オートライト機能とは、クルマのセンサーが周囲の明るさを検知して、ヘッドライトを自動で点灯/消灯するものです。
これにより、ドライバーの付け忘れを防ぐとともに、「薄暮時(はくぼどき)」とされる日没や日の出の前後1時間ほどの人や物が見えづらくなる時間帯での交通事故を減らす目的があります。
警察庁によると過去の死亡事故発生状況を分析した結果、次のようなデータを公表しています。
・日没時刻と重なる17時台から19時台に多く発生していること。
・薄暮時間帯には、自動車と歩行者が衝突する事故がもっとも多く発生しており、なかでも65歳以上の高齢歩行者が死亡する事故が多くなっていること。
これらの事故軽減などを踏まえたことで、2016年10月に道路運送車両の保安基準を改正して「オートライト機能」が義務化されました。
前述のとおり新型車は2020年4月以降、継続生産車(5ナンバー、3ナンバー)は2021年10月からとなり、定員11人以上の乗用車(バス)や車両総重量3.5t超のトラックについては新型車が2021年4月、継続生産車が2023年10月となっています。
オートライト機能義務化の背景と規定について、国土交通省は次のように話します。
「2016年当時、夕方の薄暮時に高齢者の歩行者の事故が多かったため、2016年10月7日の国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において制定された、自動車の安全機能についての基準を日本でも取り入れて、義務化する方向に進みました」
では、新型車に義務化されてから1年経った現在、ユーザーからの反響はどうなっているのでしょうか。首都圏のトヨタ販売店では次のように話しています。
「オートライト機能は、ヤリスなどを始め新たに発売された新型車に採用されています。
また、既存車でもマイナーチェンジや一部改良などで法改正に対応するようになっています。
お客さまからの反響としては『動き出すと消したいときに消せない』といった困惑された声や、『ライトの付け忘れが無いので便利』という歓迎する声などさまざまです。
ですが、全体的には自動でライトが点灯することに対しては好印象を持つ人が多いと思います」
※ ※ ※
では、オートライト機能は薄暮時などの事故を軽減出来たのでしょうか。
2020年の交通事故死者数は、統計を開始して以来でもっとも少なかったと公表されています。
しかし、これには新型コロナウイルスによる外出自粛といった例年とは異なる要素も含まれているため、薄暮時の事故件数の増減がオートライトによる影響かは断言出来ません。
ただし、オートライト機能を搭載するクルマが増えることで無灯火が減ることに繋がることから、必然的に薄暮時の事故も減少する考えられます。
■オートライト機能、操作方法はバラバラ? 未搭載車はどうなる?
オートライト機能が2020年4月1日に義務化される以前から、オートライト機能を搭載しているクルマは数多く存在します。
しかし、ヘッドライトの点灯/消灯のタイミングや動作条件について細かい規定がなく、各社が独自の設定で運用しているのが実態です。
実際に車種によって、ライトレバーの表示は「OFF/AUTO/車幅灯/ヘッドライト」の並びが異なっています。
また、点灯するタイミングも車種により異なり、JAFが過去におこなった「オートライト点灯時刻テスト」によると、日没前の約1時間において、ヘッドライトの点灯がもっとも早かったクルマと遅かったクルマでは38分もの時間差があることが分かっています。
「薄暮時」は早めのヘッドライト点灯が推奨されている
現状、動作条件にバラツキはあるものの、自動で点灯することは同じですが、一方でオートライト機能を搭載していないクルマも多く街中を走っています。
これらのクルマに乗っているドライバーはどのような部分に気をつければ良いのでしょうか。
現在、「早めのライト点灯」の呼びかけ活動を都道府県の警察や地方自治体はおこなっています。
また、自動車メーカーや大手タクシー会社などでも「おもいやりライト運動」をおこなうなど、官民が一体となって認知活動を実施。
活動をおこなっている各団体は、「ヘッドライトを点灯して自分の存在を知らせることが事故防止に有効となります。車幅灯だけだと十分ではありませんので、ヘッドライトを点灯することをお勧めします」と呼びかけています。
※ ※ ※
近年、クルマの安全に関わる機能・装備は進化し続けています。同時にそれに合わせた法改正もおこなわれていますが、すでに街中を走っているクルマではそれらの機能は搭載されていないため、ドライバー自身が安全運転を意識することが大切です。
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