ついにトヨタもキャンピングカーに本気! 愛犬家向け「ワンピングエース」5月発売決定
くるまのニュース / 2021年5月2日 14時10分
トヨタが「ハイエース」をベースとした愛犬家向けキャンピングカー「ワンピングエース」を投入。価格設定はリーズナルブルな印象となっていますが、これにはワケがあります。
■ハイエースをベースにした「ワンピングエース」を投入
空前のキャンピングカーブームの中、ついにトヨタがキャンピングカー市場に切り札を投入します。
名付けて「ワン!PING ACE(ワンピングエース)」。ワンちゃんと一緒にキャンピングできるハイエースです。
2021年4月17日から18日にかけて開催された神奈川キャンピングカーショーで、実車を見てみました。
ベースは、ハイエースの売れ筋グレード「スーパーGL」の2WDガソリン車です。
車内は2列目シート部分が簡単な操作で対面式になったり、専用クッションを使ってフルフラットのベットモードに切り替えたりできます。
床面はワンちゃんが乗っても汚れがふき取りやすく、表面に傷が付きにくい加工が施されています。天井にはLEDライトが埋め込まれています。
大型キャビネットには容量18Lの冷蔵庫、JVCケンウッドの1002Whのポータブルバッテリー、そして18リッターポリタンクを使ったシャワーを装備。
また、前席中央のボードには、小型犬のゲージを固定するフックとバンドも備わっています。
運転席と助手席はレカロを採用しており、実際に座ってみましたが、商用向けのノーマルシートと比べて体感が大きく変わり、乗用車のような座り心地になっています。
また、タイヤはノーマルからインチアップして、グッドイヤーの「EAGLE#1 NASCAR」を採用。乗り心地アップとドレスアップ効果を狙っています。
価格は、ベーシック仕様でノーマル車に対してプラス150万円程度。冷蔵庫などはオプション設定なので、展示車の状態にするとノーマル車プラス180万円前後になります。
こうした価格設定は、近年ブームとなっているキャンピングカー業界のなかでも、かなりリーズナブルな印象がありますが、それにはワケがあります。
■トヨタの本気キャンピングカー、なぜ生まれた?
今回、ワンピングエースを出展したのは、トヨタモビリティパーツです。2020年1月に設立され、従業員総数がなんと9300人という、トヨタ本社直系の大企業です。
トヨタモビリティパーツと名乗る前は、トヨタ部品共販として全国33の支社を持つトヨタ販売店向けを主体とする部品卸業を手掛けてきました。
そのトヨタ部品共販と同じく、トヨタ本社直系の自動車部品量販店ジェームスを手掛けるタクティが合併して、トヨタモビリティパーツが生まれたのです。
愛犬家向けキャンピングカー「ワン!PING ACE」
2020年といえば、5月に全国一斉にトヨタ車の全販売店全車種併売という、国内自動車産業史上で極めて大きな転換期を迎えた年でした。トヨタ店、カローラ店、トヨペット店、ネッツ店という4系統の融合が、全国各地で急速に進んでいます。
そのなかで、トヨタ販売店間での販売競争が熾烈になってきており、販売店オリジナルのオプションパーツや特装車を仕立てる動きが加速しています。
なかでも注目されているのが、コロナ禍で三密を避けることによるファミリーキャンプの流行や、リモートワーク用のプライベートオフィス向けなどの需要を背景とするキャンピングカー事業です。売れ筋のバンコン(バン・コンバージョン)の主流はハイエースとなっています。
こうした時流を踏まえて、今回、トヨタ本社直系のトヨタモビリティパーツとして、ハイエース専用内装キットとしてワンピングエースが企画されたということです。
今回の出展で説明員として参加していたトヨタモビリティパーツ関係者によると「先週、小田原のワンちゃん関連イベントに出展していますが、自動車関連の大型イベントでは今回が初出展。まだ専用ホームページもパンフレットもない(できたてホヤホヤの)状態です」といいます。
さらに「現時点では、ハイエースのミドルルーフやワイドボディなどには対応していませんが、まずは標準ボディのスーパーGL向けとして開発し、需要に応じて今後、対応グレードを拡大することも視野に入れています」と将来構想についても触れました。
つまり、ワンピングエースを起点として今後、トヨタ販売店のオリジナル商品という枠組みを超え、全国のトヨタ販売店で多様なハイエース向け商品として販売される可能性を秘めているのです。
このほか、ハイエース用のバンコンでは、大手キャンピングカービルダーのトイファクトリーが開発した、ユーザー自身で組立て家具キットのように荷室空間をカスタマイズできる「HACO×HACO(ハコ×ハコ)」が、全国各地のトヨタ販売店を通じて2021年4月1日から販売されています。
このように、キャンピングカーのベース車として主流のハイエースを持つトヨタとしては、トヨタ販売店とユーザーとの接点を考慮した様々なアプローチを仕掛けてきました。
実際に部品やサービスを提供し、トヨタのモットーである「現地現物(げんちげんぶつ)」を実行することで、キャンピングカー事業の将来性を探っているようです。
その結果として、もしかすると近年中に、手軽なキャンプからキャンプのヘビーユーザーまで幅広いリクエストに応えられるような、ミニバンとSUVと商用車を融合させたイメージの新型車が登場するのかもしれません。
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