売ってて良かった! けど少数派? 100万円台の最新MT車5選
くるまのニュース / 2021年5月5日 6時10分
近年、需要の低下とともに人気に陰りがあるクルマはいくつもありますが、そのなかのひとつがMT車です。しかしMT車を実際に運転してみると、楽しさあふれるクルマだと再認識できます。そこで、現行のMT車のなかから、100万円台で販売中のモデルを5車種ピックアップして紹介します。
■100万円台の最新MT車はどんなモデルがある?
ここ数年で人気急上昇中のSUVですが、その影で需要が低迷しているのがセダンやステーションワゴンです。
さらに、もっと前から売れずにラインナップが減少してしまったクルマといえば、MT車ではないでしょうか。
現在、新車販売でMT車が占める割合は2%弱といわれ、売れなければ当然のことながら販売もされなくなります。
かつてMT車は特別な存在ではありませんでしたが、今では趣味性の強いモデルとなってしまいました。しかし、探してみるとまだまだラインナップは健在で、しかも安価なモデルも存在。
そこで、現行のMT車のなかから、100万円台で販売中のモデルを5車種ピックアップして紹介します。
●スズキ「スイフトスポーツ」
現行モデルのなかでもドライビングの楽しさはトップクラスの「スイフトスポーツ」
初代スズキ「スイフト」は、2000年に「カルタス」の後継車として発売されたコンパクトカーで、世界戦略車という重責を担っていました。
その後、2003年のマイナーチェンジで、115馬力を発揮する1.5リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載した「スイフトスポーツ」が誕生し、安価なスポーツモデルとして人気を獲得。
スイフトスポーツの人気は堅調のまま代を重ね、2017年に発売された現行モデルの4代目では、シリーズ初のターボエンジンを搭載したモデルとなりました。
プレミアムガソリン仕様の1.4リッター直列4気筒ターボエンジンは最高出力140馬力を誇り、トランスミッションは6速ATと、クロスレシオの6速MTを設定。
ボディは通常のスイフトに比べ30mmワイド化されたトレッドの影響で20mm拡幅したフェンダーにより、シリーズ初の3ナンバー登録となりますが、ボディ剛性の向上と同時に軽量化も図り、全グレードで車重1トン未満を実現しています。
スイフトスポーツの価格(消費税込、以下同様)は187万4400円からで、優れたドライビングプレジャーを有していることを考えると、かなりのバーゲンプライスではないでしょうか。
●マツダ「マツダ2 XDプロアクティブ」
ディーゼルエンジンと6速MTを搭載するコンパクトカーという貴重な存在の「マツダ2」
マツダのエントリーモデルとして人気を博してきた「デミオ」は、2019年7月のマイナーチェンジで「マツダ2」へと車名が変わりました。
同時にフロントフェイスとリアまわりのデザインが変更され、よりプレミアムなコンパクトカーへとブラッシュアップされています。
外観はマツダのデザインテーマ「魂動デザイン」を採用し、塗装技術「匠塗 TAKUMINURI」によって色の深みを強調し、ボディの質感も向上。
内装についても色と素材のコーディネーションにこだわり、操作しやすいレバーやスイッチ、多彩な収納スペースなどの機能性も高くなっています。
搭載されるエンジンは、最高出力110馬力の1.5リッター直列4気筒ガソリンエンジン「SKYACTIV-G」と、最高出力105馬力の1.5リッター直列4気筒ターボディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」の2種を設定。
トランスミッションはどちらのエンジンにも6速MTが選べるのがマツダらしいところで、とくにこのクラスでトルクフルなディーゼルエンジン+6速MTは世界的にも貴重な存在です。
価格は「XDプロアクティブ」グレードならば199万1000円で、先進安全技術も標準装備しており、かなりリーズナブルではないでしょうか。
●トヨタ「ヤリス」
スポーティなグレードではないものの6速MTを設定する「ヤリス」
1999年にトヨタは次世代のコンパクトカーとして初代「ヴィッツ」を発売し、国内外で高く評価され大ヒットを記録しました。
同様のコンセプトで代を重ね、2020年2月に登場した4代目からグローバルで統一した名称の「ヤリス」になり、現在も好調なセールスを続けています。
ヤリスは新たな「GA-Bプラットフォーム」を採用した車両の第1弾でもあり、先代と比べて前席と後席の間隔が37mm短くなっていますが、その分ドライバーを重視した設計となっているといえます。
ラインナップは、1リッターと1.5リッターのガソリン車、1.5リッターエンジン+モーターのハイブリッド車に、それぞれ「X」「G」「Z」の3グレードが用意され、さらにガソリン車は全グレードが100万円台の価格帯となっているなど、戦略的な設定です。
トランスミッションは6速MTとCVTが用意され、6速MTは1.5リッターガソリン2WD車でのみ選択可能。
3代目ヴィッツまであったスポーティグレードの「RS」は消滅してしまいましたが、むしろ出力は向上しているので十分にスポーティな走りが堪能できます。
各グレードの1.5リッター6速MT車の価格は、「X」が154万3000円、「G」は170万1000円、「Z」は187万1000円です。
■ついに登場した「アルトワークス」のライバルとは?
●スズキ「アルトワークス」
軽スポーツの頂点に立ったモデルのDNAを受け継ぐ「アルトワークス」
1980年代には国産車にターボエンジンが普及し、軽自動車にも搭載されるようになりました。そのため各メーカー間でパワー競争が始まり、その頂点に君臨していたのが1987年に発売されたスズキ初代「アルトワークス」です。
軽自動車が550ccの時代に64馬力を発揮し、後の馬力自主規制につながったのは有名な話ですが、ほかにもフルタイム4WDを設定するなど本格的なスポーツカー並に仕立てられていました。
その後、アルトワークスは代を重ねましたが、人気の低迷から2005年に4代目をもってラインナップから消滅してしまいました。
しかし、2015年にアルトワークスが復活を遂げ、最高出力64馬力に変わりありませんが専用のターボチャージャーを搭載し、「ワークス」伝統の4WDモデルも設定されています。
また、アルトワークスはスズキの軽量化技術が惜しみなく投入された結果、わずか670kg(5速MT、2WD)という軽量なボディを実現。
専用チューニングされたサスペンションやブレーキの搭載と軽量な車体が相まって、高い旋回性能を誇ります。
トランスミッションは5速MTに加え、パドルシフトを搭載したスズキ独自のAMTである5AGS(オートギアシフト)もラインナップするなど、どちらもスポーティな走りが可能。
アルトワークスの価格は5速MT車が153万7800円から、5AGS車(4WDのみ)が168万6300円からです。
●ホンダ「N-ONE RS」
かつての「N360ツーリング」を彷彿とさせるボーイズレーサーに仕立てられた「N-ONE RS」
ホンダは大ヒットした往年の軽自動車「N360」をオマージュした、初代「N-ONE」を2012年に発売。そして、2020年11月に2代目へとフルモデルチェンジを果たしました。
外観は初代のシルエットを継承したキープコンセプトとされていますが細部の意匠を変え、シャシやエンジンも刷新されています。
ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1545mm(2WD)で、初代よりも全高が65mm低くなったことと前後バンパー下部の造形を工夫することによって、より安定感のあるフォルムを実現。
内装も水平基調なデザインのインパネに一新し、充電用USBジャックや各種収納も使いやすい位置にレイアウトされ、実用性も高めらました。
グレードは、自然吸気エンジンの「オリジナル」「プレミアム」、そしてターボエンジンの「プレミアムツアラー」「RS」の全4グレード展開。
エンジンは全車660cc直列3気筒で、自然吸気エンジンは58馬力、ターボエンジンは64馬力を発揮し、トランスミッションはCVTだけでなく、RSグレードでは6速MTが設定されました。
なお、ターボエンジンと6速MTの組み合わせはFF軽自動車では初で、ライバルであるアルトワークスをかなり意識したということでしょう。
この6速MTは「S660」と同様なショートストロークとされ、爽快感のあるシフトフィールを実現。また、シフトノブの形状は「S2000」のデザインをベースにつくられるなど、デザイナーのこだわりも感じられます。
価格(消費税込、以下同様)は159万9400円からで、RS 6速MTは199万9800円です。
※ ※ ※
MT車は2000年代になって各社ラインナップが減少してしまいましたが、ここ数年は下げ止まりしたといえます。
スズキやマツダは今もMT車を積極的に展開し、ホンダやトヨタはラインナップを増やすなど、一応は安泰という状況です。
しかし、今後はさらにハイブリッド車やEVが増えることから、安価なMT車が買える残り時間は少ないかもしれません。
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