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ターボ+4WDが当たり前だった時代? ガチのライバルだった高性能車5選

くるまのニュース / 2021年5月24日 6時10分

1980年代にターボエンジンの普及によって、世界的にもクルマの動力性能が飛躍的に向上しました。そして1990年代には高性能な4WD車が数多く登場し、ラリーの世界で活躍。そこで、ガチのライバルだった高性能車を、5車種ピックアップして紹介します。

■ラリーで戦ったことで性能向上を果たしたクルマを振り返る

 より高高度を飛ぶことを目的に航空機のエンジン用に開発されたターボチャージャー(以下、ターボ)が市販車にも搭載されるようになったのは1970年代の終わり頃です。

 ターボはそれ以前から盛んに使われていたスーパーチャージャーに対して機械損失が無く、高効率なことから1980年代になると爆発的に普及しました。

 各メーカーから高性能車が登場すると、1980年代の後半には市販車をベースにしたグループAカテゴリーで戦われるツーリングカーレースやラリーに参戦するようになります。

 とくに世界ラリー選手権(以下、WRC)は欧州を中心に世界的にも注目され、ベースとなる市販車のイメージアップにつながるということで、日欧のメーカーが力を入れていました。

 そこで、ラリーでガチのライバル関係にあったターボ+4WDの高性能モデルを、5車種ピックアップして紹介します。

●ランチア「デルタHF インテグラーレ」

WRCを席巻するほどの強さで日本でも高い人気を誇った「デルタHF インテグラーレ」WRCを席巻するほどの強さで日本でも高い人気を誇った「デルタHF インテグラーレ」

 100年以上もの歴史があるイタリアのメーカー、ランチアというと、いま50代以上の人にとっては「ストラトス」が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。

 ストラトスはラリーやレースで勝つことだけを目的に開発された戦闘マシンで、同じくWRCで戦うことを目的に開発されたのが「デルタ インテグラーレHF」です。

 もともとデルタはシティユースに適したオーソドックスなFFコンパクトカーとして1979年に誕生しましたが、1986年にアバルトの手によって開発された「デルタHF 4WD」を追加ラインナップしました。

 最高出力165馬力の2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載し、駆動方式はフルタイム4WDを採用し、グループB時代の悲劇的なモデルだった「デルタS4」の後継車として1987年からWRCに参戦。

 1988年には、さらに最高出力185馬力まで高められたエンジンを搭載した「デルタHF インテグラーレ」が登場し、サイズアップしたホイールとタイヤを収めるために、前後ブリスターフェンダーとしたワイドボディを採用して迫力ある外観に一新されました。

 さらに1992年には、よりフェンダーを拡幅し、最高出力210馬力を誇る「デルタHF インテグラーレ エボルツィオーネ」が登場。後述する日本製ラリーマシンに対抗するために開発されたといえます。

 サスペンションはベース車と変わらず4輪ストラットのままですが、スポーツ走行に適したチューニングが施され、大径化された4輪ディスクブレーキも装備するなど、高い走行性能を発揮しました。

 デルタは6年連続でWRCのメーカータイトルを獲得するなど当時は最強を誇り、その活躍もあって日本でも人気車となりました。

●トヨタ「セリカ GT-FOUR」

かなり高額で豪華仕様ながら速さも一級品だった「セリカ GT-FOUR」かなり高額で豪華仕様ながら速さも一級品だった「セリカ GT-FOUR」

 現在、トヨタは「ヤリス」をベースとしたマシンでWRCを戦う唯一の国産メーカーですが、その源流となったスポーツカーが「セリカ GT-FOUR」で、初代は1986年に誕生しました。

 ベースとなったセリカは1985年に発売された4代目で、シリーズ初のFF車という大きな転換期を迎えたモデルでもあり、外観はリトラクタブルヘッドライトと、角を削り取ったようなボリューム感あふれるボディラインが特徴です。

 そしてセリカ GT-FOURには、最高出力185馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンと、センターデフ式フルタイム4WDシステムを搭載。

 足まわりは専用チューニングの前後ストラットで、ブレーキはフロントベンチレーテッドの4輪ディスクが装備されています。

 1988年には「TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)」がWRCにセリカ GT-FOURを投入し、1990年には常勝だった前出のデルタを破り、カルロス・サインツが日本車初のドライバーズタイトルを獲得してポテンシャルの高さを証明しました。

 ラリーで活躍したセリカはハイパワーなフルタイム4WD車というイメージが定着し、5代目と6代目にもGT-FOURがラインナップされ、1993年にはメーカーとドライバーのダブルタイトルを獲得。

 しかし、1995年シーズンに重要なレギュレーション違反が発覚したことで、トヨタは一旦WRCからの撤退を余儀なくされました。

●マツダ「ファミリア GT-R」

大衆車をベースに戦闘マシンに仕立てられた「ファミリア GT-R」大衆車をベースに戦闘マシンに仕立てられた「ファミリア GT-R」

 かつてマツダの主力車種だった「ファミリア」は、1985年に発売された6代目が日本初のフルタイム4WDシステムを装備し、高性能なターボエンジンとの組み合わせを実現。

 国内外のラリーで活躍したことからファミリアのイメージアップに成功し、走り好きな若者から絶大な人気を誇りました。

 さらに1989年に登場した7代目では、トップグレードに最高出力180馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒DOHCターボエンジンを搭載した「GT-X」をラインナップ。

 しかし、ライバルが出力の向上を図ってきたことで、1992年には大径タービンと大容量インタークーラーを採用して最高出力を210馬力まで向上させた「ファミリア GT-R」が登場。

 ファミリア GT-Rはインタークーラーの冷却効率アップのために、開口部を大きくしたフロントバンパーや、エアアウトレットが付いたボンネットを装備し、改造がほとんど許されないグループNカテゴリーに特化したマシンとして開発されました。

 ファミリア GT-Rは目的どおりグループNクラスのWRCやその他のモータースポーツで活躍しましたが、バブル崩壊後のマツダの経営状況悪化から、1992年シーズンをもってワークス活動を中止。

 その後のファミリアは高出力なターボエンジンを搭載した4WDモデルは設定されず、2004年に歴史に幕を閉じました。後継車は「アクセラ」で、現在の「マツダ3」です。

■凄まじいスパンで改良がおこなわれた2台のライバル車とは

●スバル「インプレッサ WRX STiバージョン」

もともとはコンプリートカーとして販売された「インプレッサ WRX STiバージョン」もともとはコンプリートカーとして販売された「インプレッサ WRX STiバージョン」

 1992年にデビューしたスバル「インプレッサ」は新世代のセダン/ステーションワゴンとして開発されました。さらに、初代「レガシィRS」に代わってWRCで勝つ使命が与えられ、トップグレードには「WRX」を設定。

 最高出力240馬力を発揮する水平対向4気筒DOHCターボ「EJ20型」エンジンを搭載し、レガシィより80kgも軽いボディに搭載したことや、クロスレシオ化されたトランスミッションの採用で高い走行性能を実現しました。

 そして、1994年にはSTI(スバルテクニカインターナショナル)製のコンプリートカー「インプレッサ WRX STiバージョン」が登場。

 前後輪のトルク配分をドライバーが任意に調節できる「DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)」を採用し、あらゆる路面に適したトラクションを得ることができました。

 WRCには1993年シーズンの途中から投入され、1995年にはダブルタイトルを獲得したことから日本のみならず欧州でも人気を博しました。

 その後市販モデルでは1996年にはさらに高回転高出力化が図られ、最高出力は280馬力に到達。そして、後述する最大のライバルである「ランサーエボリューション」との、熾烈な開発合戦を繰り広げることにつながりました。

●三菱「ランサーGSRエボリューション」

驚異的な加速力に魅了されたユーザーが多かった「ランサーGSRエボリューション」驚異的な加速力に魅了されたユーザーが多かった「ランサーGSRエボリューション」

 三菱は1960年代から1970年代にかけて国内外のラリーに参戦して優勝を含む好成績を収め、三菱車のポテンシャルの高さを知らしめました。しかし1980年代になるとラリーでは2WDのFR車では勝てない状況となります。

 そこで三菱は1987年に「ギャラン VR-4」を発売し、ダートトライアルやWRCへ参戦して活躍します。しかし、さらに戦闘力の高いマシンの開発は急務で、1992年に初代「ランサーGSRエボリューション」が登場。

 ギャランよりも軽量でコンパクトな「ランサー1800GSR」をベースに、エンジンは最高出力250馬力を誇る2リッター直列4気筒「4G63型」ターボエンジンを搭載し、駆動方式はビスカスカップリングとセンターデフを組み合わせた、フルタイム4WDシステムが採用されました。

 さらに、ボディ剛性のアップと同時にアルミ製ボンネットなどによる軽量化もおこなわれ、ハイパワーなエンジンと4WDシステム、軽量な車体が相まって高い走行性能を発揮。より軽量なレースベース車の「ランサーRSエボリューション」を設定されました。

 1993年シーズンの途中からWRCへ投入されましたが、急造されたことから性能は熟成されておらず、苦戦を強いられたことから、1994年には改良された「ランサーGSRエボリューションII」が登場し、1995年シーズンで初優勝を記録。

 以降は毎年のようにアップデートが図られ、前出のインプレッサと人気を二分する存在となりました。

 しかし、三菱はリコール隠しという重大なスキャンダルが発覚したことから業績が悪化し、2005年シーズンでワークス活動から撤退。

 その後もランサーエボリューションの販売は続けられましたが、2015年に発売された「ランサーエボリューション ファイナルエディション」をもって、歴史に幕を閉じました。

※ ※ ※

 インプレッサ WRXとランサーエボリューションの開発合戦は、今では考えられないほどのスパンで展開されましたが、前述のとおりランサーエボリューションは消滅。

 インプレッサも「WRX STI」へと高性能モデルは移行され、現行モデルはベーシックなセダンと5ドアハッチバックとなり、そのWRX STIもすでに生産を終えて、かつてのような高性能4WD車はスバルの現行ラインナップに存在していません。

 しかし、三菱は2021年5月に「ラリーアート」ブランドの復活を宣言しており、スバルも次期型WRX STIを示唆するコンセプトカーをすでに発表していますから、将来的には両社の高性能4WD車復活に期待できそうです。

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