ジャガーが2025年に「フルEV化」の衝撃 急変化に適応できる?「お客さま第一主義」の内容は
くるまのニュース / 2021年6月16日 20時10分
ジャガーランドローバージャパンは2021年5月21日に「THE FUTURE OF JAGUAR」のなかでジャガーとランドローバーの日本市場における今後の展開について詳しく説明。海外同様、日本市場においてもジャガーを2025年までにピュアEVのみのブランドにすることを明らかにしています。急激なEVシフトにユーザーがついていけなくなることも懸念されますが、どのような対策を考えているのでしょうか。
■あと3年半の間にピュアEVブランドとなるジャガー
英国の伝統ブランド、ジャガーが2025年に完全EV化します。ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車などを含めた電動化ではなく、2025年の新車モデルラインアップがすべてEVになるというのですから驚きです。
ジャガーランドローバーが2021年2月にオンラインで発表した新しいグローバル戦略「REIMAGINE」は、日系メーカーを含めて世界の自動車産業界に衝撃を与えました。
そのなかで「ジャガーとランドローバーの両ブランドの電動化を推し進めて、2030年までに両ブランドのすべてのモデルにフルバッテリーEVの選択肢を設定し、2039年までに排出ガス量実質ゼロの達成を目指す」と宣言しました。
さらに、ジャガーブランドについては「2025年にフルバッテリーEV化」を実現するという野心的な目標を掲げています。
新車のEV比率100%については、スウェーデンのボルボが2030年までに、またホンダは2040年までにグローバルでEVとFCV(燃料電池車)で実現すると公言していますが、ジャガーはそれらよりかなり早い段階でのEVシフトとなります。
こうした英国本国での大きな決断を踏まえて、日本市場でも完全EV化に向けた具体的な動きが出てきました。
ジャガーランドローバージャパンは2021年5月21日、オンラインで「THE FUTURE OF JAGUAR」を開催し、ジャガーとランドローバーの日本市場における今後の展開について詳しく説明しました。
登壇したマグナ・ハンセン社長は「世界でもっとも魅力的なラグジュアリーおよびサービスをいち早く提供するクリエーターになる」と表現しています。
ジャガーについては「1935年にジャガーが誕生して以来、ジャガーは新たな可能性の扉を開き続けてきましたが、今後も環境、社会、コミュニティに対する変革のベンチマークとなることを目指します」と次世代ジャガーの方向性を示唆しました。
そのうえで、「2025年にピュアEVのみのモダンラグジュアリーブランドとして生まれ変わる」と改めて完全EVシフトを明言したのです。
とはいえ、2025年とはいま(2021年5月後半)から3年半という短い期間であり、既存のジャガーユーザーや正規販売店にとっては、今後ジャガーランドローバージャパンがどのようにEVシフトするのか、極めて強い関心があると思います。
■ジャガーが実践する「お客さま第一主義」とは
そうしたなか、ジャガーランドローバージャパンは期間限定のポップアップショールームを東京の南青山にオープンさせ、「FOR 2025」をテーマに完全EV化に向けてユーザーが実感することができるスペースを設けました(2021年5月22日から5月30日)。
オープン初日に現地を取材してみると、施設は地下鉄表参道駅から徒歩10分弱で、根津美術館の並びにありました。
1階には、日本初公開の「E-PACE PHEV」が展示されています。バッテリー容量は15kWhで価格は993万4000円(消費税込)。日本導入車は2021年秋からで限定20台となります。2階には、お洒落な雰囲気の中で無料の飲み物を提供するスペースもありました。
ジャガー「E-PACE PHEV」が展示されるポップアップショールームの様子
ジャガーランドローバージャパンの関係者と簡単な意見交換をしたところ、今回のEVシフトに向けて「お客さま第一主義」を徹底すると強調しました。
具体的には、全国の販売店での営業職としてすでに配備しているEVスペシャリストを現在の47人から100人体制とし、充電設備に対して積極的に投資するなどして、EVシフトに対しての顧客対応を強化するといいます。
筆者の感覚としては、既存のジャガーユーザーにとっては、電動化については欧州ブランドの多くが進めている、マイルドハイブリッド、プラグインハイブリッド、そしてEVという緩やかな電動化を想像していた人も少なくないと思います。
そのため、これから3年半でカタログモデルがすべてピュアEVとなることで、ジャガーランドローバージャパンは既存ユーザーに対して、極めて丁寧な説明が必要になると考えます。
一部報道にあるように、ジャガーランドローバー本社では、ラグジュアリーセダン「XJ」のピュアEV量産計画を中止したとも伝えられています。
2025年のピュアEV化については、現在の「I-PACE」を中核としたクロスオーバーSUVがモデルの主流になるのか、それとも、ジャガーの伝統的デザインを踏襲するまったく新しい発想のEVモデルが一気に登場するのか。
今後のジャガーの動きを注視していきたいと思います。
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