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モバイル免許に小型低速車…「車ユーザーの生活」今後5年でどう変わる? 交通政策の影響は

くるまのニュース / 2021年6月24日 15時30分

2025年度までの交通政策の“道しるべ”として、第2次交通政策基本計画が閣議決定されました。政府が重点施策として掲げるデジタル化とグリーン化を中心とした方針は、今後、乗用車ユーザーの日常生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

■今後5年間の政策でクルマ生活はどう変わる?

 新型コロナ禍により、リモートワークや、公共交通機関ではなくマイカーでの移動が増えるなど、感染予防の観点から移動について新しい生活様式が取り入れられるようになりました。

 一方で、世界的な社会変化のなかでデジタル化の推進であるDX(デジタルトランスフォーメーション)や、CO2(二酸化炭素)排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの2050年実現に向けたグリーン化など、日本の産業力を強化するための新しいビジネスについては、自動車メーカーを含めて社会全体で大きな議論になっています。

 そうしたなか、政府は2021年度から2025年度までの交通政策の“道しるべ”として、第2次交通政策基本計画を取りまとめ、2021年5月28日に閣議決定しました。

 このなかから、乗用車ユーザーにとって直接的、または間接的に影響を受けると思われる内容をピックアップしてみたいと思います。

 まず、デジタル化では、運転免許証とマイナンバーカードの一体化して運用する、いわゆる「モバイル運転免許証」を2024年度末から導入します。

 具体的には、マイナンバーカードのICチップに運転免許証に関連するデータを埋め込むことになるでしょう。ヨーロッパの一部の国や、アメリカの一部の州では、スマートフォンやタブレットからドライバー自身が運転免許データにアクセスできる仕組みを構築しています。

 日本では今後、海外での事例や国際規格の策定状況などを踏まえて、日本版モバイル運転免許証のあり方の検討を進めるとしています。

 また、自動車検査証(車検証)の電子化は2023年1月から運用を開始する予定です。

 電子車検証はA6判の台紙にICタグを貼り付ける方向を採用します。これにより、各種の申請手続きをオンラインでできるようになります。

 次にグリーン化ですが、2020年12月に公表された「グリーン成長戦略」に基づき、乗用車については2035年までに新車販売で電動車100%を実現できるよう包括的な措置を講じるとしています。ここでいう電動車とは、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、そして燃料電池車を指しています。

 グローバルで見ると、ヨーロッパでのCO2規制が厳しいことから、ボルボが2030年まで、またジャガーが2025年までにEV専用ブランドとなることを発表しています。一方の日本はすでにハイブリッド車の新車販売台数が多いことや、トヨタが進める水素エンジン車など、社会情勢や企業方針によって、2050年カーボンニュートラルを目指す動きが進むと予想されます。

■新しい乗り物や高齢ドライバー対策は?

 新しい乗り物については、トヨタが発売している「C+pod」のような超小型モビリティの普及をさらに進めます。

 一方で、欧米で普及している電動キックボードについては、警察庁の有識者会議が2021年4月に公開した中間報告で「小型低速車」という新しいカテゴリーを設けるとしています。最高時速15kmで車道を走行し、ヘルメット着用は任意とする方向性が示されています。

 さらに、フランス、ドイツ、イタリアなどでの法規制の内容を鑑み、日本でも電動キックボードについて年齢制限を決めて運転免許証を不要とする可能性も視野に入れた議論が進むようです。

電動キックボードのイメージ。電動キックボードのイメージ。

 人口における高齢化率が今後も上昇することが確実な日本では、高齢ドライバーへの対応も大きな社会課題です。

 いわゆる“池袋暴走”など、高齢ドライバーによる重大事故に対しては、事故の防止・被害軽減に資する先進安全技術を搭載した安全運転サポート車(サポカー)の性能向上・普及促進を進めるとしています。

 注目されるのは、今回の交通政策基本計画のなかでは、高齢ドライバーが自主的に免許の取り消しを申請する、いわゆる免許返納を強く後押しするというスタンスではないところです。運転を継続、または免許返納というような二者択一ではなく、新技術を導入したサポカー限定免許の普及などにより、日常生活の中で運転の継続を必要とする高齢ドライバーに運転に対する選択肢を増やす姿勢を示しています。

 さらに、免許返納後の移動については、生活の質が維持できるような施策を強化します。

 具体的には、地方自治体が主体となり、地域住民同士が助け合う姿勢と公共交通の再編を融合させ、住民ファーストの観点から地域交通を根本的に見直していきます。

 このほか、高速道路の通行料金、鉄道・バス・タクシーなどの運賃を交通量や利用者数に応じて変動させるダイナミックプライシング(運賃変動制)の導入が検討されています。

 また、自然災害に対する防災や、新しい生活様式における二地域居住やワーケーションにおける、社会とクルマの新しい関係についても検討が進んでいます。このなかでは、最近流行しているキャンピングカー活用についての議論も始まっているところです。

 これから2025年度までの約5年間で、日本のクルマ事情はどのように変化していくのでしょうか。その移り変わりをしっかりと見守っていきたいと思います。

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