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トレンドや実用性なんて関係無い! 攻めの姿勢がすごかった車5選

くるまのニュース / 2021年6月8日 6時10分

自動車メーカーが新型車を開発する際には、ニーズや流行を調査し、よりユーザーから価値の高さが認められるクルマを目指します。一方で、そうした市場調査よりも「何か」を優先したようなモデルも存在。そこで、攻めの姿勢で開発されたことが垣間見られるクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

■かなり攻めて開発されたであろうクルマを振り返る

 各自動車メーカーとも新型車を開発する際には、最初に緻密な市場調査をおこないます。そこから導き出されたユーザーニーズや、トレンドを新型車開発に取り入れることでヒットを目指します。

 一方で、ユーザーが限定されるような一部の特殊なモデルを除き、大多数のクルマはより多くのユーザーを獲得することを使命としますが、そうした使命よりも「光る何か」を優先したようなモデルも存在。

 そこで、攻めの姿勢で開発されたことが垣間見られるクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

●三菱「ミラージュ ザイビクス」

2シーターなだけでなく窓も埋められた「ミラージュ ザイビクス」2シーターなだけでなく窓も埋められた「ミラージュ ザイビクス」

 1980年代から1990年代にかけて若者を中心に高い人気を誇っていたのが、全長4m前後のFF3ドア2BOX車です。

 そのため各メーカーが同様な車格のモデルを販売するなど、市場にはライバルがひしめき合う状況でした。

 そんななか、三菱は1987年に3代目「ミラージュ」を投入。当時人気のあった6代目「ギャラン」と共通のイメージの精悍なフロントフェイスが特徴のモデルで、3ドアハッチバックと4ドアセダンをラインナップ。

 この3代目ミラージュのハッチバックには「SWTIFT(スイフト)」「FABIO(ファビオ)」「CYBORG(サイボーグ)」「XYVYX(ザイビクス)」と、コンセプトが異なる4タイプが設定されました。

 なかでもザイビクスは非常にユニークなモデルで、リアサイドウインドウがパネルバンのように塞がれて暗窓化された2シーター車です。

 三菱はザイビクスを「おもしろ改装、2シータ車」(原文まま)と表現。荷室を自由なクリエイティブスペースとし、オプションでテレビを設置してリビングのような空間にすることもユーザーに向けて提案したほどでした。

 しかし、このコンセプトは一般には受け入れられず、ザイビクスはデビューからわずか1年ほどでラインナップから消えてしまいました。

●トヨタ「セラ」

トヨタの歴史に残るほどアグレッシブなモデルの「セラ」トヨタの歴史に残るほどアグレッシブなモデルの「セラ」

 トヨタのクルマというと、高い品質で環境性能や動力性能に優れたモデルが多いというイメージが定着しているのではないでしょうか。

 一方で、かつてのトヨタ車は「80点主義」と呼ばれ、堅実なモデルばかりというのが一般的な意見でした。しかし、時にはトヨタも大いに冒険したモデルを出すことがあり、なかでもひと際異彩を放つのが1990年にデビューした「セラ」です。

 セラは「ヴィッツ」の前身であるコンパクトカーの「スターレット」をベースに開発された3ドアハッチバッククーペで、全体のフォルムは正統派のクーペですが、最大の特徴はガルウイングドア(本来は「バタフライドア」と呼称)を採用していたことです。

 ガルウイングドアの採用はあくまでもデザインを重視した結果であり、実用的な意味はまったくありませんでした。

 ルーフも含めキャビンの表面のほとんどがガラスということから、見た目にも強烈な印象がありましたが、それ以上に室内の温度上昇も強烈だったようで、当時の同クラスでは珍しくオートエアコンを全グレードに標準装備。

 ほかにも大きなドアを支える油圧ダンパーには、気温差による作動(ダンピング)への影響を防ぐため、温度補償機構も組み込まれているなど、緻密な温度対策が講じられています。

 一方、当時の新車価格は160万円(東京価格、消費税含まず)からで、内容を考えるとかなりのバーゲンプライスといえるでしょう。

 セラはヒットするには至らず、1995年に生産を終了。トヨタの85年に及ぶ自動車製造の歴史のなかでも、記憶に残る1台ではないでしょうか。

●スズキ「X-90」

コンセプトカーそのものの2シータークロカン車「X-90」コンセプトカーそのものの2シータークロカン車「X-90」

 前出のセラと同じくデザインを重視し、今では伝説的なモデルとして君臨しているのが1995年に発売されたスズキ「X-90」です。

 もともとX-90は1993年に開催された第30回東京モーターショーにコンセプトカーとして出展され、来場者から好評だったことから市販されました。

 ベースとなったのは初代「エスクード」で、ラダーフレームに2シーターのボディを仮装した構造となっており、各部が丸みを帯びた2ドアセダンのようなスタイルながら、最低地上高が高いクロカン車という位置づけです。

 さらにルーフは乗員の頭上が取り外し可能なTバールーフとなっているなど、とにかくやりたいことをすべて取り入れた感があります。

 パワートレインやドライブトレインもエスクードから流用され、エンジンは1.6リッター直列4気筒SOHCを搭載。駆動方式はパートタイム式4WDとなっています。

 X-90はあくまでも「パイクカー」ですが、海外でも注目され欧州などに輸出されました

 しかし、日本では2シーターのクロカン車という特殊なモデルだったことから需要はあまりなく、わずか3年ほどで販売を終了。スズキもX-90が短命だったのは想定内だったと思われます。

■ヒットしなくても技術的には相当な意欲作といえる2台とは

●ホンダ「インサイト」

コストを惜しまずに設計されたストイックなHVの初代「インサイト」コストを惜しまずに設計されたストイックなHVの初代「インサイト」

 1997年に世界初の量産ハイブリッド車、トヨタ初代「プリウス」が誕生。驚異的な低燃費を実現し、現在のハイブリッド車普及の足がかりとなった、歴史に残る名車といえます。

 この初代プリウスに対抗するために各メーカーもハイブリッド車を開発し、ホンダから1999年に発売されたのがハイブリッド専用車の初代「インサイト」です。

 新開発のハイブリッドユニットと、空力特性を重視したクーペスタイルのフォルム、さらに高価なアルミ製モノコックシャシと室内を2シーターとすることで大幅な軽量化をおこなった結果、燃費はプリウスを上まわり、量産車で世界最高となる35km/L(10・15モード)を達成。

 すべてが燃費性能向上のために特化したインサイトは、その後もプリウスと燃費競争を繰り広げましたが、さすがに2シーター車では実用的に不利で、販売台数でプリウスを大きく下まわりました。

 さらに、2003年に登場した2代目プリウスはEV走行も可能とするなど、もはやインサイトは太刀打ちできない状況となり、2006年に生産を終了。

 その後、2009年にプリウスに近いフォルムの5ドアハッチバックとして2代目インサイトが登場。実用性は一気に向上してヒット車になりましたが、初代のようなインパクトはありませんでした。

●ダイハツ「ハイゼットカーゴ ハイブリッド」

軽自動車で唯一無二の本格的なパラレル式HV「ハイゼットカーゴ ハイブリッド」軽自動車で唯一無二の本格的なパラレル式HV「ハイゼットカーゴ ハイブリッド」

 前述のとおり初代プリウスから始まったハイブリッド車はさまざまなカテゴリーのモデルに波及し、現在はスズキ、日産、三菱の軽自動車にも、補機用発電機とモーターが兼用のマイルドハイブリッド車がラインナップされています。

 一方、ダイハツは2005年に軽商用車では初となる、本格的なパラレル式ハイブリッド車の「ハイゼットカーゴ ハイブリッド」を発売しています。

 ハイゼットカーゴ ハイブリッドのシステムは比較的強力なモーターがエンジンパワーをアシストする仕組みで、前出の初代インサイトにも同様なシステムが採用されていました。

 軽1BOXバンの「ハイゼット カーゴ」をベースに、1基の薄型モーターをエンジンとトランスミッションの間に配置したコンパクトなハイブリッドシステムを搭載。

 最高出力50馬力のエンジンに組み合わされるモーターの出力は12.7馬力で、バッテリーはニッケル水素を採用してリアシート下に格納しており、発進時や加速時にエンジンパワーをアシストします。

 ほかにもアイドリングストップや、減速エネルギーの回生をおこなうことで燃費は20km/L(10・15モード)を達成。ベースのガソリン車が15km/Lでしたから30%以上も向上。

 しかし、ハイゼットカーゴ ハイブリッドの価格は215万5500円(消費税5%込)と、ベース車に対して100万円以上も高価ということもあり、燃料代で価格差を相殺するのは非現実的でした。

 そのため一般ユーザーには販売されず、顧客は官公庁や環境問題に関心の高い企業に限定され、あくまでもスタディモデルによる実証実験という意味合いが強かったと思われます。

 その後、ハイゼットカーゴ ハイブリッドは2010年に生産を終了。現在、ダイハツが自社開発したモデルにハイブリッドはありませんが、15年以上も前に本格的な軽ハイブリッド車をつくったことは、もっと評価されても良いのではないでしょうか。

※ ※ ※

 セラやX-90のようなモデルが、今後日本のメーカーから出ることは二度と無いでしょう。それほど、日本の自動車市場は成熟して、隙がなくなっているといえます。

 ほかにも、かつてのリーマンショックといった経済危機の経験を踏まえると、各メーカーとも余裕がなくなってしまった部分もあるのでしょう。

 こうしたユニークなモデルが出てこないのは寂しいところですが、現在も続く新型コロナウイルスの影響などを考えると仕方のないことかもしれません。

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