無意識にやってない? クルマを傷める原因となるNG行為5選
くるまのニュース / 2021年7月28日 11時10分
何気なくやっている操作が、クルマにダメージを与えてしまっていることがあります。今回は「知らずにやっているNG行為」を5つピックアップ。現役整備士にNG行為のダメなところを教えてもらいました。
■何気ない操作がクルマを傷める原因になることも!?
クルマの扱いに慣れていない初心者だけでなく、運転に慣れたベテランドライバーでも、知らず知らずのうちにクルマにダメージを与える行為をしていることがあります。
とくに最近のクルマは耐久性や信頼性が高いのでつい忘れがちですが、無意識におこなっている操作がのちの故障の原因になることも。
そこで今回は、クルマにやってはいけない5つのNG行為をピックアップ。30年近くの経験を持つ現役整備士のT氏に説明してもらいました。
●エンジン:始動直後の急発進・急加速
エンジン始動直後の急発進や急加速はNGとされています。とくに早朝や深夜など、周囲に迷惑をかけないつもりで、エンジンをかけてすぐにアクセルを踏んで出発するという人もいますが、何がダメなのでしょうか。
「最近では停車したままの暖気運転が環境に良くないといわれていますが、だからといって急発進や急加速はエンジンやミッション内のオイル潤滑が十分でなく油膜不良になる可能性もあります。
ゆっくり走り出し、エンジン内部やミッション内部のオイルが適正に潤滑するような暖機運転を心がけていただけると、トラブルの発生を抑えることができます」(整備士 T氏)
その場にとどまっての暖機運転があまり良くないといわれるのは、あくまで近年の環境や燃費に対しての配慮であって、金属同士のパーツが複雑に組み合わさったエンジンなどは、ある程度まで油温が上がることで潤滑油としての役目を十分に果たすとされています。
雪の多い地域などでは一晩で各機関が凍りつくこともあり。これをゆっくりと温めて動きを滑らかにしないで負荷を掛ければ、ピストンやタイミングベルト、ATのトルクコンバーターやベルト類にも悪影響が出てしまうことがあります。
理想としては、エンジン始動後5分程度はゆっくりとした加速と操作を心がけるのが良いそうです。
●トランスミッション:クルマが停止する前にATレバーを操作
駐車場での出し入れや切り返しのときについやってしまいそうなのが、まだ完全に停止する前に「Dレンジ」から「Rレンジ」などへのシフトチェンジです。
「クルマが完全停止する前にN(ニュートラル)にギアを入れるのは、トランスミッションを傷めることになります。N→DやN→Rへのシフトチェンジは、その都度ミッション内の油圧クラッチを切る行為であり、昔はよく壊れる原因にもなりました。
現在ではかなり対策が施されており、そう簡単には壊れませんが、古い輸入車のATやセミAT(DCT)などは注意が必要です」(整備士 T氏)
最近のクルマは壊れないとはいっても無駄な負荷をかけていることには変わりなく、速度が上がるほどにシフトチェンジの負荷も大きくなります。
ほんの数秒、しっかり停止するだけでトランスミッションの故障リスクを低減することができます。
●サスペンション:車輪止めにタイヤを強く当てて駐車
駐車場に設置されている「車輪止め」は、1台のスペース内でそれ以上進まないように設けられたものです。
とくにやってしまいがちなのが、バック駐車で「車輪止め」に強く当てた上にその状態でPレンジに入れて停めてしまうこと。この行為は、じつはサスペンションを傷める原因にもなるといいます。
「バックカメラ装着車が増えましたが車輪止めは見えないため、けっこう強めに当てる人が多いです。確かにサスペンションはそんな衝撃をいなすために装備されていますが、あの衝撃はけっこう大きいのです。
似たような状況として縁石に乗り上げるなど段差のある状態で駐車する行為もあります。1度や2度の衝撃で壊れるようなものではありませんが、その状態をキープするということは、強く当てた車輪のサスペンションに余分な荷重をかけ続けることになります」(整備士 T氏)
それ以上に問題なのが、車輪止めにぶつけた衝撃によってホイールアライメントに狂いが生じる可能性があることです。
微々たるものと思いがちですが、これによって真っ直ぐ走らなくなったり、タイヤが偏摩耗してしまうこともあるといいます。
「とくに最近は扁平率の低い(薄い)タイヤを装着するクルマが増えており、サスペンション以前にホイールを傷めるケースが増えています。
車輪止めに当たる速度はもちろん、当てたあとに少し前に出てから駐車するようにするだけでもかなり劣化具合に差が出てきます」(整備士 T氏)
■晴天時の洗車もクルマにとってはNGだった!
●エクステリア:炎天下や風の強い日の洗車
汚れたクルマをキレイにしたいと考えるのは当然のことですが、クルマのボディや窓、ホイールなどの外側を洗う場合にも注意が必要です。
とくに注意したいのが天候で、晴れていれば良いというわけでもないのです。
晴天時の洗車はクルマのボディを傷める原因に
「夏の強い日差しの下での洗車は避けた方がいいです。ボディについた水滴がレンズ効果でシミの原因になるなど、塗装を傷めることが多々あります。
またすぐに乾燥してしまうため、流しきれない洗剤などが直射日光で熱くなったボディに焼き付いてしまうこともあります。
基本的には直射日光を避けて日陰などで洗車するか、日差しが弱いくもりの日などに洗車することをお勧めします。
また、風の強い日なども基本的にはNGです。濡れたボディに洗っているはじからホコリなどが付着してしまい、拭き取りのタイミングで細かい傷をつけてしまうことになります。
どうしてもその日のうちに洗車しなければならないという場合は、クルマをパネルごとに分割して部分的に洗って仕上げていけば、ダメージを抑えられます」(整備士 T氏)
部分的に洗う方法は時間が多少かかりますが、その部分に集中するため細かい傷のチェックなどもできておすすめです。
●エアコン:久々に使うのに急稼働
とくに炎天下に長時間駐車することが多い夏は、クルマのエアコンが欠かせません。あまり使っていなかったエアコンを急に稼働させると、故障のリスクが高まるといわれています。
多くのドライバーは温度設定をこまめに変えても、「オート」モードのままにしていることが良くあり、車内温度を検知したエアコンが一気に冷やそうと急稼働してしまう傾向があります。
「エアコンを動かす心臓部ともいえるコンプレッサーは、長期間使用していないと内部の潤滑油が下に落ちて油膜切れを起こす可能性もあります。これが一気に高回転まで稼働すると焼きつきを起こすことがあるのです」(整備士 T氏)
コンプレッサーを傷めない対策としては、急稼働させないような温度設定や風量調節をすることです。
また、エンジンを停止させるときにエアコンはOFFにしておくことで、次に始動するときにエアコンの急稼働も抑制することができます。
※ ※ ※
クルマは精密機械の集合体です。いまのクルマは信頼性が高いのですが、雑に扱うと思わぬしっぺ返しをくらうこともあります。
何気ない操作や行為がクルマを傷める原因となることから、気をつかうように心がけましょう。
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