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ランボルギーニV12の波瀾万丈ストーリー 「アヴェンタドール」まで続いたDNAとは

くるまのニュース / 2021年7月23日 19時10分

最後の自然吸気V12を搭載したランボルギーニ、「アヴェンタドールLP780-4 Ultimae」が発表された。そこで、ランボルギーニ創業当時から採用され続けてきたV12の歴史について振り返ってみよう。どうしてランボルギーニがV12にこだわってきたのか、その理由がみえてくる。

■どうしてランボルギーニはV12にこだわっていたのか?

 2021年7月7日12時(イタリア現地時間)、ランボルギーニ「アヴェンタドールLP780-4 Ultimae」が発表された。LP780-4 Ultimaeは、ランボルギーニが創業当時から作り続けてきた自然吸気V型12気筒エンジン搭載モデルのラストとなる。そこで、ランボルギーニ歴代V12を振り返ってみよう。

●フェルッチオ・ランボルギーニの夢をかなえるために開発

 1963年、ランボルギーニの創業者フェルッチオは、自身の夢見る完璧なスポーツカーを作るために、自ら自動車メーカーを設立。同じ年に発表された初の生産モデルランボルギーニ「350GT」に搭載されたのは、フェラーリ「250GTO」の生みの親としても知られる名匠、ジオット・ビッザリーニ技師のもとに開発されたバンク角60度のV型12気筒エンジンで、3497ccの排気量から320ps(当時は270psと公表されていた)の最高出力をマークした。

 このV12エンジンは、かのエンツォ・フェラーリもこだわったとされる、「牛がクルマを引く」という当時の一般的な常識に基づくレイアウトで、長いノーズに収められた。

 当時も今も、加速や加速時に体がシートに押し付けられる感覚は、スーパースポーツカーにとって最高の魅力だろう。自然吸気のV12エンジンはスポーティさ、レスポンスの良さやスムーズネスにも優れ、直線的なパワーとスピードにおいては、時代を超えて最上の選択肢となってきたのだ。

 フェルッチオ・ランボルギーニは、自身の名を冠した初の生産車の心臓部がV型12気筒であることを、当初から明確に希望していた。それは、V12の象徴となっていたフェラーリを凌駕するには最低限の条件と理解していたからに違いない。さらにバルブ駆動機構は、同時代のフェラーリ製ストラダーレのバンクあたりSOHCを超える、バンクあたりDOHCにすることも求めていたという。

 とくにパワーについてのリクエストは厳しく、ビッザリーニ技師に支払うボーナスは、パワーの到達度で決められる出来高制。そこで、ビッザリーニが最初に手掛けたプロトタイプ「350GTV」では、排気量と自然吸気であることを勘案すれば明らかに過度な360psを標榜した。しかし、これはさすがにピーキーな特性となってしまったことから、市販型350GTではディチューンを余儀なくされる。

 ともあれ、こうしてランボルギーニV12の栄光の伝統が始まったのだが、その後も初代V12エンジンは、のちのちに登場するV12エンジンたちのベースとなり、後継モデルでは様々な改良が加えられてゆく。

 350GTの改良版で、2+2バージョンも設けられた「400GT(1966年)」では、ボアとストロークを拡大して排気量を3929ccにアップ。最高出力は320psに、最高速度は250km/hから270km/hに向上した。

 この新型4リッターエンジンは、いくつもの主要モデルに転用され、フル4シーターの「エスパーダ(1968年)」では350psのパワーと260km/hの最高速度を達成した。また330psとされた「400GTイスレロ(1968年)」は、1970年には「ハラマ400GT」にとって代わられ、そのハラマも当初の350psから15psを増強した「ハラマS」に進化する。

 かくして、同時代のフェラーリにも準じたFRレイアウトで一定の成果を見たランボルギーニV12エンジンだが、エンジンを車体の中央に近づければ重量配分が向上することを認識していた新世代のエンジニアたちが、ランボルギーニ社内で新たなムーブメントを試行。

 彼らの課外ワークの成果として1966年に正式デビューした「P400ミウラ」は、それまでの常識を覆すリア・ミドシップを採用し、のちの世に「元祖スーパーカー」と呼ばれることになる。

 P400ミウラに横置きされたV12エンジンは、最高出力370ps、0-100km/h加速6.7秒、最高速度は285km/hで、発表当時は市販車最速となるパフォーマンスを実現。

 またマルチェッロ・ガンディーニ氏のデザイン、カロッツェリア・ベルトーネの架装によるボディも新しいレイアウトを反映し、伝説的なアイコンを生み出した。

 とくにV12エンジンをリアミッドに配したレイアウトは、ランボルギーニのみならず、ほかの高性能車ブランドにも新たな基準をもたらしてゆくのだ。

■「カウンタック」へ受け継がれたV12の進化

 1960年代および1970年代初頭のV12モデルの成功に続き、1974年から生産に入った「カウンタックLP400」では、再びV12エンジンの搭載配置が変更されることになる。

 LP400という名称は、4リッターのエンジンをリアに縦置き(イタリア語でLongitudinale Posteriore)したことを表すもの。パオロ・スタンツァーニ技師の発案による、エンジンとトランスミッションを前後逆転するという特異なレイアウトが採用された。

 またガンディーニ氏の天才的なアイデアである、シザードアをはじめとした大胆なデザイン、明確なニュアンスを持ったディテールは、ランボルギーニのスーパースポーツカーのデザイン言語に新たな歴史を刻むとともに、300km/hの最高速度をもたらすV12エンジンは、ドライバーの耳の近くでさらに豪壮なサウンドを奏でることになった。

 その後ランボルギーニ社は、幾度となく存亡の危機に襲われるが、そんな受難の時代にあってもカウンタックとV12エンジンは異彩を放ち続ける。

リアミッドにエンジンを縦型に搭載した最初のV12モデルは、「カウンタック」だリアミッドにエンジンを縦型に搭載した最初のV12モデルは、「カウンタック」だ

●時代を超えてスーパーカー界の頂点に君臨するV12エンジン

 そんな時期、1986年にデビューした「LM002」では、カウンタック「LP5000QV」用ユニットをディチューンした排気量5.2リッター、最高出力444psのV12のエンジンが、純然たるクロスカントリーカーの心臓部として初めて収められることになった。

 最高レベルのパワーとトルクを実現するLM002は、オンロードでもオフロードでも、V12「オーケストラ」の奏でる豪壮なストリングスとともに、優れたパフォーマンスを発揮したのだ。

 再びランボルギーニの本流である、ミドシップのスーパーカーに話題を戻そう。

 V12エンジンの搭載場所については、カウンタックで既に最適なソリューションが確立されていたため、それ以上の選択肢はあり得なかったものの、パフォーマンスを向上させるための研究開発が止まることはなかった。

 5.7リッター、492psのV12エンジンを搭載した「ディアブロ(1990年)」では、カウンタックで初採用された「LP」というエンジン/トランスミッションのレイアウトの優位性をあらためて証明。さらに、現代のスーパーカーでは半ば常識と化しているフルタイム4輪駆動システムを初めて採用した「VT」を追加設定し、0-100km/h発進加速は4.5秒、最高速度は320km/hに達した。

 そしてランボルギーニの新世紀は、2001年に登場する新フラッグシップモデルの発表によって幕を開け、世界に冠たるV12エンジンは、「ディアブロ」から「ムルシエラゴ」に引き継がれてゆく。

 排気量6.2リッター、最高出力580psからスタートしたムルシエラゴは、最高速度330km/hを誇る最後の「SV(Spinto VeloceまたはSuper Veloce)」バージョンでは「LP670-4」というサブネームが示すように、排気量は6.5リッターのV12の最高出力は670psへと向上した。

 こうして、スーパーカーの世界に確たる足跡を残してきたランボルギーニV12のストーリーだが、2011年に発売された「アヴェンタドールLP700-4」と、すべてが一新されたという6.5リッターのV12とともに、その最終章の幕を開けることになる。

 スタンダード版でも最高出力700ps、0-100km/h加速はわずか2.9秒、最高速度350km/hを誇るアヴェンタドールには、最高出力770ps、最大トルク720Nm/8500rpmを発生する「SVJ」など、今日までに4種類もの派出モデルが登場。そのクライマックスを飾るのが、今年初めて姿を現した「エッセンツァ」と、830psを発生するという自然吸気のV12エンジンであった。

 そして歴代アヴェンタドールでもっともパワフルな最高出力780psのアヴェンタドールLP780-4 Ultimaeが、公道走行可能な市販カタログモデルの最後を飾った。

 自動車業界では、電動化への方向転換が否応なしに迫りつつある。フェルッチオが望んで登場したランボルギーニのV12の系譜も、LP780-4 Ultimaeがラストだと考えると、感慨深いものがある。

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