怒涛の800馬力！ ブラバスがAMG「GLE 63S」をフルカスタマイズ

メルセデス・ベンツ&メルセデスAMGのチューナーとして名を馳せているブラバスの「800」シリーズに、「GLE 63S 4MATICクーペ」をベースとした1台が加わった。

■AMGで満足できないカスタマーのためのブラバスという存在

　ブラバスが、メルセデスAMG「GLE 63S 4MATICクーペ」をベースとしたニューモデルを発表した。ブラバスによると、GLE 63S 4MATICクーペは、理想的なチューニングモデルを製作するには最高の素材であるという。それはメカニズムだけではなく、エクステリア、そしてインテリアのデザインにおいても変わらない。それだけにブラバスがこのモデルにかける意気込みは相当なものだった。

●185馬力アップのエンジン

　まずはフロントに搭載されるエンジンの詳細から解説することにしよう。

　ベースとなるエンジンは、現在のメルセデスAMG社の象徴ともいえる、ホットインサイドVレイアウトを採用した、4リッターV型8気筒ツインターボ。ホットインサイドVとは、V型8気筒エンジンのバンク角内にターボなどのメカニズムを搭載し、スペースの縮小やターボラグの低減を図るものだ。

　チューニングの出発点である工場出荷時の最高出力&最大トルクは、612ps&850Nm。これに対してブラバスのエンジニアは、これまで40年にわたって培ってきたチューニングの技術を駆使して、185psのパワーと150Nmのトルクをエクストラで与えることに成功、最高出力と最大トルクは、800psと1000Nmにまで引き上げられた。

　チューニング・メニューのコアとなっているのは、やはりターボチャージャーの変更だろう。より大きなコンプレッサーユニットを備えた特別なターボ、変更されたコアアッセンブリー、そしてこちらも強化型のアキシャルベアリングなどが採用され、最大ブースト圧は1.6バールに設定されている。

　もちろんこれらのチューニングは、ノーマルのGLE 63Sのエンジン電子機器に適合したもので、ブラバス・パワーエクストラ・ユニットと呼ばれる電子制御ユニットが、正確で新しい燃料噴射やブースト圧設定、および点火のためのマッピングをエンジンに提供する。

　またブラバスのエンジンチューニングは、GLE 63Sのマイルドハイブリッド・スタータージェネレーターにも完全に調和している。

■トータルコーディネートされた「ブラバス」の世界

　GLE 63S 4MATIC クーペ改め、「ブラバス800SUVクーペ」として生まれ変わったスーパーSUVのパフォーマンスは、とても魅力的なものだ。

　280km／h（リミッター制御による）の最高速度、3.4秒の0-100km／h加速。車重が2.3トンを超えるモデルでありながら、この数字は驚くべきものと評価してよいだろう。

　ちなみにここまでのパワーは必要ないというカスタマーのために、ブラバスは88psのパワーアップで700psに最高出力を抑える「パワーエクストラ700」キットも用意している。

　エンジンチューニングの最後のメニューともいえるのは、アクティブに制御された排気フラップと、90mm径のエグゾーストパイプで構成される、チタン／カーボンテールパイプだ。スポーツとコンフォートのモードを選択できる。

0-100km／h加速3.4秒の動力性能は、スポーツカー並みだ

●ひと目でブラバスと分かるエアロパーツ

　エクステリア、そしてインテリアのデザインは、スポーティなフィニッシュとなっている。

　ブラバスのエアロダイナミクス担当者は、高性能で見た目にもスポーティさを増したエアロダイナミクス・コンポーネントを開発。すべてのコンポーネントは、高光沢、もしくはマットシーラーをチョイスできるカーボン仕上げを採用。

　フロントスポイラーはノーズの下に取り付けられ、フロントメッシュ・グリルとともに個性的なフェイスを作り出している。さらにフロントバンパーのサイドエアインテーク用にカスタマイズされたエアデフレクターや、左右のラジエーターグリルに組み込まれたエアインテークなど、フロントからの造形は相当にダイナミックだ。

　リアまわりは、新たにデザインされたディフューザーや、3ピースのリアスポイラーなど、フロントに負けず劣らずのスリリングなデザインの造形となっている。

　前後のタイヤは23インチ径で、ホイールはブラバスのモノブロックY「ブラックプラチナム」が組み合わされた。エアサスペンション用のブラバス製制御モジュールは、車高を約25mmローダウンさせることが可能で、これによってオンロードでのドライビングダイナミクスがさらに向上するとブラバスはアナウンスしている。

　すでに世界的に有名になったインテリアのフィニッシュは、この800SUVクーペにおいても変わらない。専用のファインレザーとアルカンターラを用いて、手作業で製作されるインテリアは、まさに高級感の極みといえる。当然ながら、カスタマーの希望に応じたインテリアを製作することも可能だ。

＊　＊　＊

　メルセデス・ベンツ、そしてメルセデスAMGのニューモデルをベースに、続々とニューモデルをリリースしてくるブラバス。その存在はこれからもメルセデスのファンにとって、ひとつの憧れとして語られていくことだろう。