いろんなニーズに応えた結果? バリエーションが面白い車3選
くるまのニュース / 2021年9月7日 16時10分
一般的に販売されているクルマでは、複数のグレードが設定されています。グレードによってはエンジン、外装、装備などが異なり、価格も仕様によって上下し、さらにボディ形状が複数設定されるケースもあります。そこで、ユニークなバリエーションを展開していたクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
■バリエーション展開が面白いクルマを振り返る
昭和の時代には、1車種で複数のボディタイプを展開するのが一般的でした。たとえば1970年発売の日産2代目「サニー」(110型)では、4ドア/2ドアセダン、2ドアクーペ、5ドア/5ドアバン、さらにピックアップトラック6種類ものボディタイプが設定され、さまざまなニーズに対応していました。
近年は生産や販売の合理化という観点からボディタイプを絞り、かつてのように複数展開するモデルも少なくなりました。そのため、1車種で1タイプ、複数あってもせいぜい2から3タイプといったところです。
一方で、今も変わりなく続いているのがグレード展開で、グレードによってエンジンや外装、装備などが異なり、価格も仕様によって上下することで、ユーザーの予算や使用目的で選ぶことができます。
このように1車種で複数のバリエーションを設定するのは定番ですが、かつてはユニークなバリエーション展開をおこなったクルマも存在。
そこで、面白いグレードやバリエーションが用意されていたモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ初代「シティ」
ひとつのボディでさまざまなモデルを展開した初代「シティ」
ホンダは1981年に、画期的なコンパクトカーの初代「シティ」を発売しました。それまでの常識を覆すような高い全高と、スペース効率を重視したショートノーズのスタイルは当時としては非常に斬新で、これがユーザーに受け入れられて大ヒットを記録。
発売当初、ボディは3ドアハッチバックのみで、1.2リッター直列4気筒エンジンを搭載。最高出力は61馬力(MT車、グロス)と、パワフルではありませんが665kg(「R」MT車)と軽量なボディには十分なパワーでした。
グレードはスタンダードモデルの「R」グレード、低燃費の「E」グレード、さらに2シーターと4シーターのライトバン「シティ PRO」をラインナップ。
同時に発売された原付きバイクの「モトコンポ」が荷室に搭載でき、内装では空調を利用した保冷・保温庫があるなど、ユニークなアイデアが満載でした。
そして、発売から翌年の1982年から、バリエーションの拡大が始まります。
まず、最高出力100馬力(グロス)のターボエンジンを搭載した「シティターボ」、さらにインタークーラーを装備して120馬力(グロス)を発揮し、ワイドボディ化された「シティターボII」が登場し、高性能化が図られます。
さらに、シティターボIIと同様のボディをベースとしたオープンモデルの「シティカブリオレ」が登場し、ただでさえ全高が高いシティながらさらに100mmかさ上げした「シティ ハイルーフ」をラインナップ。ハイルーフには後にオプションで屋根部分に格納できるスピーカーシステムを搭載する「マンハッタンサウンドシステム」も設定されました。
ほかにも、燃費性能向上に特化し、繊維強化アルミ製コンロッドを採用した「EIII」グレードや、発進用の1速を除いた2速から4速に、低速(ロー)と高速(ハイ)のギアが用意されて自動変速によって実質7速MTとなる「シティ R ハイパーシフト」など、メカニズム的にも先進的でした。
こうしてバリエーション豊かになった初代シティでしたが、1986年に2代目にバトンタッチ。2代目は大きくコンセプトを変え低い全高となり、1995年で生産を終了しました。
それにしても1車種で商用バンとオープンカーをラインナップした例は、世界的にもかなりレアなケースといえるでしょう。
●スバル初代「インプレッサ」
スバルとしてもいろいろと模索していたと思われる初代「インプレッサ」
1992年に発売されたスバル初代「インプレッサ」は、コンパクトなセダン/ステーションワゴンとして開発されたモデルです。
ハイパワーなターボエンジンとフルタイム4WDを組み合わせた高性能な「WRX」がブランドイメージをけん引した存在でしたが、スバルの主力車種としてさまざまなバリエーションを展開。
インプレッサといえばラリーのイメージが色濃いですが、WRXをベースにさらにチューニングした「STiバージョン」が限定モデルとして誕生しました。
また、1.5リッターと2リッター自然吸気エンジンを搭載したベーシックなグレードもラインナップされ、1998年には自然吸気エンジンを搭載したスポーティモデルの「インプレッサ SRX」を追加ラインナップ。これは残念ながらヒット作にはなりませんでした。
さらに、RVブームを反映したSUV風の「インプレッサ グラベルEX」も登場。スポーツワゴン WRXをベースに最低地上高を上げ、フロントバンパーガードや背面スペアタイヤキャリアが装着されるなど、見た目はかなり本格的にRVを模していましたが、これもヒット作にはならず今ではシリーズ屈指の珍車です。
もうひとつの珍車が輸出用2ドアクーペボディの「インプレッサ リトナ」で、やはりヒットしなかったのですが、このボディを使った高性能モデルとして「インプレッサ WRX タイプR STiバージョン IV」が誕生し、さらに同じく2ドアクーペで今や伝説的な限定モデルである「インプレッサ 22B-STiバージョン」も販売されました。
もう1台、インプレッサの珍車といえば忘れてはならないのが、クラシカルな雰囲気にカスタマイズされた「インプレッサ カサブランカ」で、とくにフロントフェイスの無理矢理感は相当なものです。
こうして、さまざまなモデルを展開した初代インプレッサでしたが、前述のように失敗作といえるモデルもあり、初代インプレッサはトライ&エラーの歴史だったといえるでしょう。
●日産「R32型 スカイライン」
R32型「スカイライン」といえばGT-Rのイメージが強いものの、ユニークなモデルも存在
日産は1989年に、新時代のモデルとして8代目「スカイライン」(R32型)を発売しました。ボディは7代目(R31型)から大きく変わってサイズダウンされ、足まわりでは新開発の4輪マルチリンクの採用、シリーズ初の4WD車をラインナップするなど、完全に生まれ変わりました。
そして、R32型最大のトピックは16年ぶりとなる「スカイラインGT-R」の復活です。初代スカイラインGT-Rと同じくレースで勝つことを目的に開発され、最高出力280馬力を発揮する2.6リッター直列6気筒DOHCツインターボエンジンに、駆動方式はトルク可変型4WDの「アテーサE-TS」を採用。
1990年シーズンから市販車をベースにしたマシンで戦われる「全日本ツーリングカーレース」に参戦すると、デビューウインを飾っただけでなく、以降も無敵を誇りました。
こうして、R32型ではスカイラインGT-Rがイメージリーダーとなりましたが、ユニークなグレードも存在。
まずは、2リッター直列6気筒SOHC自然吸気エンジンの「RB20E型」を搭載した「GTE」です。最高出力は125馬力と、スカイラインGT-Rの半分以下でした。
そして、さらにユニークなグレードが「GXi」で、エンジンは1.8リッター直列4気筒SOHCの「CA18i型」を搭載。最高出力はわずか91馬力と、スカイラインGT-Rの3分の1以下しかありません。
どちらもセダンにのみ設定され、価格(MT車、消費税含まず)はGTEが169万7000円、GXiは141万4000円で、スカイラインGT-Rの価格は445万円でしたから、GXiは価格的にも3分の1以下です。
GXiは外観も無塗装のドアミラーやスチール製ホイールとされるなど、見た目にも廉価グレードとわかります。
こうした廉価グレードは2代目以降のスカイラインには歴代で設定されており、R31型までは4気筒エンジン車はフロントノーズが短くなっていましたが、R32型ではボディ自体は共通です。
その後、9代目(R33型)では4気筒エンジンは廃止されましたが6気筒SOHCエンジンは継承され、10代目(R34型)では全グレードで6気筒DOHCエンジンを搭載したことでSOHCは廃止となりました。
1車種のトップグレードと下位グレードで、これほど性能と価格に格差がある例は、かなり珍しいのではないでしょうか。
※ ※ ※
最後に紹介したスカイラインも、かつては4ドアセダン、2ドアクーペ、ステーションワゴン、バンとボディバリエーションが豊富で、6代目(R30型)限りですが5ドアハッチバックも設定されていました。
しかし、急激に起こったニーズの変化から整理され、現行モデルのスカイラインは4ドアセダンに1本化されています。
クーペやステーションワゴンが売れないから消えてしまったのは理解できますが、ちょっと寂しいところです。
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