トヨタ、新型ハイブリッド車から全固体電池を導入! 2020年代前半に市販化を目指す 世界初のナンバー付き走行も実現!
くるまのニュース / 2021年9月7日 20時28分
2021年9月7日にトヨタは電池・カーボンニュートラルに関する説明会を実施。そこでは、各社が開発を進める全固体電池搭載車にナンバーを取得して試験走行したことが明らかになりました。では、今後のトヨタの戦略はどうなるのでしょうか。
■全固体電池は2020年台前半にハイブリッド車で採用目指す
トヨタは、2021年9月7日に「電池・カーボンニュートラル」に関する説明会をおこないました。
世界的に電動化やカーボンニュートラルの実現が加速しているなかで、トヨタはどのようなロードマップを示したのでしょうか。
日本では、「遅くとも2035年までに軽を含めた新車100%を電動化する」という国としての目標を掲げています。
ここでの電動化とは、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、FCV(燃料電池車など)を含みます。
また、欧州では日本よりさらに厳しく「2030年までに欧州内新車100%をEV(またはFCV)」とする方向性が定まってきました。
こうしたグローバルでの電動化シフトを、クルマ側の技術でみると、モーター、駆動用の電池、そしてパワーコントロールユニットが三種の神器だといえます。
このうち、技術進化が目覚ましいのが電池ですが、トヨタがオンラインで電動車の電池に関する技術説明会を開きました。
まずは、トヨタがこれまで市場導入してきた駆動用電池搭載の車両総数は、1997年登場の初代「プリウス」から2020年7月までハイブリッド車の総数で1810万台に及びます。
CO2排出量削減効果として見ると、バッテリーEV(BEV)換算で約550万台分。また、電池の量で考えるとBEV26万台分となり、単純計算でハイブリッド車のCO2削減効果はBEVの20倍以上という見立てです。
では、トヨタの電池戦略は今後どうなっていくのでしょうか。
ひとつは、新型「アクア」で導入したバイポーラ型ニッケル水素電池の搭載車種の拡充です。
電池内部の構造の簡素化し、大きな電流を一気に流すことで、ハイブリッド車に必要な瞬発力では従来品の約2倍となります。
これを各種のハイブリッド車向けに搭載するとともに、BEVやプラグインハイブリッド車での活用も視野に開発を進めているといいます。
もうひとつは、新型リチウムイオン電池の開発です。正極・負極の材料コストの低減や、新材料の開発などAI(人工知能)技術も活用した究極の材料選びを進めています。
さらに、次世代電池の本命ともいわれる、電解質に固体を使う全固体電池についても2020年代前半にハイブリッド車への搭載を念頭に開発中とのことです。
すでに、2020年8月に世界初となるナンバー付きの実験車両に全固体電池を搭載した実走実験をトヨタのテストコースでおこなっています。
■トヨタの電池、10年後に劣化90%実現目指す
ハイブリッド、EV、燃料電池車など、トヨタの駆動用電池の開発コンセプトは「安心」を最優先としています。
安全、長寿命、高品質、良品廉価、そして高性能という5つの要素をバランスさせて安全な電池を、ニーズがある場所に安定して提供していきます。
具体的には、安全については、電動車の利用状況によっては、電池本体(セル)が電解液成分の偏りによって発熱する場合があることがこれまでの実験で検証されたといいます。
そのため、電池の状況をブロック単位での監視や、総電圧の監視など、段階的かつ全体的に安全を確保する体制を強化しています。
また、電池の劣化については、2022年年央に発売予定の新型EV「bZ4X」では10年後の容量維持率を90%を目標に開発中です。
トヨタ新型「bZ4Xコンセプト」(2021年4月の上海モーターショーで発表)
日産「リーフ」など一般的なEVは10年で劣化8割が目安といわれていますので、電池の劣化がさらに少なければ、ユーザーにとって直接的なメリットとなるリセールバリュー(下取り価格)も上がるでしょう。
また、電池のコスト削減についても積極的で、コストが高いコバルトやニッケルなどの電池材料を減らしたり、またはほかの材料に変えたり、製造プロセスをカイゼンすることで、電池単体でのコスト30%低減を目指します。
これと並行して、電費を30%カイゼンすることで、台当たりの電池コストをトータルで50%低減することを、2020年代後半を実現するといいます。
電池に関する投資については、総額1.5兆円のうち、約1兆円を製造ライン向けにあてます。
具体的には、2025年までに10本ほどの製造ライン、また2026年から2030年までは毎年10ライン以上の製造ラインを新設し、トータルで70本を計画しています。
こうした電池の量産体制が確立すれば、BEVの価格は一気にリーズナブルになる可能性があります。
2030年という大きな区切りに向けて、トヨタをはじめとした自動車メーカー各社の電動化シフトがこれから一気に加速しそうです。
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