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高速の渋滞とはオサラバ!? 渋滞解消の切り札「付加車線」と「車線増」はどう違う?

くるまのニュース / 2021年9月18日 11時10分

新型コロナ禍のため2020年、そして2021年と高速道路の渋滞は少なくなっていますが、それ以前は多くの場所で渋滞が発生していました。各高速道路会社は、渋滞が起きやすい場所を中心に車線を増やすという対策をおこなっており効果を上げています。この車線増ですが、「付加車線」と案内されることもあれば、「3車線化/4車線化されました」とされることもあります。この違いはなんなのでしょうか。

 日曜日の夕方、交通情報で必ず耳にするのが、行楽地から都会に戻るクルマによる高速道路の渋滞です。

 2020年、新型コロナウイルス感染症拡大によりはじめての緊急事態宣言が発出された時期は、行楽客が激減し、そうした渋滞もいったんは消えました。しかし2021年は“自粛疲れ”や“コロナ慣れ”で人流が回復し、ETC休日割引の実施が中止されているにもかかわらず、ところどころで渋滞が見られるようになっています。

 もちろん、高速道路を管理運営する各高速道路会社は、その対策に力を注いでいます。
 
 この7月には、東名高速道路の横浜町田ICと厚木ICの間にある“渋滞の名所”、大和トンネルの拡幅工事が完成。7月14日から上り線約3km、下り線約2kmの付加車線の運用を開始し、この区間では上下線とも4車線で通行できるようになりました。

 NEXCO中日本の発表によると、2021年のお盆期間における大和トンネルを先頭とする10km以上の渋滞は「上り線4回、下り線4回」で、2020年の「上り線9回、下り線8回」に比べ大きく減少しています。

 新型コロナ禍という特殊事情があるとはいえ、付加車線が渋滞の緩和に貢献した形となりました。

 ただ、高速道路の車線が増える場合、今回の大和トンネル付近のように「付加車線」と案内されることもあれば、「3車線化/4車線化されました」という案内になる場合もあります。

 NEXCO中日本のウェブサイトにある「高速道路の建設情報」でも、中央自動車道八王子JCT〜相模湖IC間、東名高速道路東名三好IC〜日進JCT間、名神高速道路一宮JCT~一宮IC間では「付加車線」と紹介する一方、新名神高速道路亀山西JCT〜甲賀土山IC間は「6車線化」、紀勢自動車道勢和多気JCT〜紀勢大内山IC間は「4車線化」となっています。

 さらに東海環状自動車道土岐JCT〜美濃加茂IC間のように「4車線化・付加車線」と、その双方を使っているものもあります。

「車線が増えて便利になる」という部分は同じですが、「付加車線」と、3車線化、4車線化のような「車線増」は、どう異なるものなのでしょうか。

 この疑問に対し、NEXCO中日本の広報課は、以下のように答えます。

「高速道路の拡幅事業において、その区間が『部分的』か『IC間などでの全体的か』で使い分けることを基本としつつ区別し、ご利用のお客さまへのわかりやすさを念頭にご案内しています」

 つまり「IC間」などの広い範囲で全体的な対策をするために車線を増やす場合は「車線増」とし、渋滞が頻発する「上り坂」や「トンネル付近」など、部分的な対策を取る場合は「付加車線」と区別しているとのことです。

■「付加車線」と「車線増」の違いとは

 ただ、前記の東名高速道路東名三好IC〜名古屋ICのように、IC間でも「付加車線」と案内している例もあります。

東名高速道路の横浜町田ICと厚木ICの間にある大和トンネル。付加車線の運用前は渋滞の名所と呼ばれていたが…東名高速道路の横浜町田ICと厚木ICの間にある大和トンネル。付加車線の運用前は渋滞の名所と呼ばれていたが…

「この区間については下り線一部区間が『付加車線』として整備済みであること、今回の事業が上り線のみであることを踏まえ、『付加車線』にしております」

東名高速道路の横浜町田ICと厚木ICの間にある大和トンネル。上り線約3km、下り線約2kmの付加車線の運用を開始し、この区間では上下線とも4車線で通行できるようにしたところ、劇的に渋滞の回数が減った東名高速道路の横浜町田ICと厚木ICの間にある大和トンネル。上り線約3km、下り線約2kmの付加車線の運用を開始し、この区間では上下線とも4車線で通行できるようにしたところ、劇的に渋滞の回数が減った

 このように、車線が増える区間が上下線のうちどちらかである場合は、「付加車線」にすることが一般的だそうです。

 また長い上り坂が続くところに設置される「登坂車線」、一部のIC出口手前で設置される「出口車線」、合流をスムーズにして渋滞を防ぐためにIC入口から本線への合流部分に設置される「合流車線」、さらには片側1車線区間での「追い越し車線」なども、付加車線に含まれるとのことです。

 なお「付加車線」として開通した部分が、その後の延長や運用見直しで「車線増」として扱われることもあり、東海北陸自動車道の白川郷IC〜福光ICがそれに該当するそうです。

 なお「付加車線」というと“付け加え”という言葉の印象から、「車線増」で増える車線とは異なり、車線そのものの幅や路肩の幅が縮小されているのではないかというイメージを持つ人もいるでしょう。

「地方部の高速自動車国道および自動車専用道路の車線幅は法令により3.5mとされていますが、付加車線が登坂車線である場合は3mと、やや狭くなります。一方、追い越し付加車線は他の車線と同じ3.5mです」

 渋滞頻発区間での付加車線の設置は、冒頭で紹介した大和トンネル付近のように、渋滞の緩和や解消に大きな役割を果たします。全国各地で行われている事業がさらに進むことで、よりスムーズに走れる高速道路が実現するはずです。

【訂正】記事初出時より本文を一部修正致しました。
(2021年9月18日 13:30 くるまのニュース編集部)

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