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売れない理由が無い? トヨタ新型「カローラクロス」 「普通」であることの凄さとは

くるまのニュース / 2021年9月30日 7時10分

長い歴史を持つトヨタの「カローラシリーズ」において初のSUVとして登場した新型「カローラクロス」。多くのユーザーに愛される「普通」の凄さとはどのようなものなのでしょうか。

■良い意味で「普通であること」。実は凄いこと?

 トヨタ「カローラ」の歴史を振り返ると、王道のセダン/ワゴンに対して、派生車種が用意されており、それらのモデルは、その時代の“トレンド”が反映されていました。

 2BOXブーム、4ドアクーペブーム、ミニバンブームなどを経て、現在は、クロスオーバーSUVが世界的なトレンドとなっています。

 となると、「なぜカローラクロスがラインアップされたのか?」はいうまでもないでしょう。

 今回は、実際に見て・乗って・使った印象について語っていきたいと思います。

 試乗車はガソリン/ハイブリッド共にFFの最上級グレード「Z」になります。

 エクステリアは兄貴分の「RAV4」、弟分の「ヤリスクロス」と共通イメージで、二次元で見ると意外とオーソドックスに感じたものの、実車を見るとフェンダー周りの抑揚はボリューム感が強く、意外と攻めのスタイルです。

 日本向けのフロントマスクは海外向けのそれよりも「街に溶け込む」、「カローラ一族なのが解りやすい」などの観点から好意的に見ています。

「海外向けのほうがいい!!」という意見もありますが、海外では「日本向けのほうがいい!!」という意見もあるようで、要するに無いモノねだりなのでしょう。

 ただ、このフロントマスクは日本“専用”ではなく、中国向けモデル(広汽トヨタ・フロントランダー)にも採用されています。

 インテリアはアッパー部がカローラシリーズ共通、ロアー部がカローラクロス専用のハイブリッドです。

 質感や操作性はクラストップレベルにあるものの、エクステリアに対して少々事務的な感も。原色を用いて派手にする必要はありませんが、ステッチや素材などを工夫して、もう少し“らしさ”をプラスさせても良かったと思いました。

 居住性はどうでしょうか。ホイールベースはセダン/ツーリングと同じ2460mmということで、「後席はそれほど広くないのでは?」という意見も聞きますが、身長170cmの筆者(山本シンヤ)が前席のポジションを合わせた状態で後席に座ると、足元は十分な広さが確保されています。

 そのカラクリは「ヒールtoヒップポイントが275mmから330mmにアップ → よりアップライトに座る → 同じポジションなら前席のシートスライドは前の位置になる → 後席の足元スペースは広く使える」というわけです。

 それ加えて、ウィンドウ面積が大きいことやガラスルーフの採用なども相まって、数値以上に広々した印象です。

 ただ、欲をいえば、後席のヒップポイントはもう少し高め(=シアターレイアウト)のほうが開放感は高まるかなと。

 ただ、ツーリングには未採用のリクライニング機構は嬉しいアイテムのひとつといえるでしょう。

 ラゲッジ容量は5人乗車でもクラストップレベルの487リッターを確保、深さも十分確保されています。

 そのまま使ってもいいですが、オプションのラゲージアクティブボックスを用いると、ラゲッジがフラットになるうえに、荷室を上段/下段に分けて収納可能。利便性向上だけでなく防犯上も助かるアイテムです。

■カローラクロスは乗るとどうなのか?

 パワートレインは、ガソリン車はバルブマチック採用の1.8Lリッター自然吸気(140ps/170Nm)+CVTの組み合わせ、ハイブリッド車は1.8リッター自然吸気(98ps/142Nm)+モーター(72ps/163Nm)+電子CVTになります。

 セダンやツーリングに対し制御の最適化とファイナルのローギアード化(タイヤ外径アップの調整)がおこなわれています。

 どちらもセダン/ツーリングよりボディサイズが大きい事から物足りなさを感じると思いきや、実際は十分以上のパフォーマンス。実は車両重量はツーリング+20kg(パノラマルーフ付は+40kg)と、見た目より軽量設計が走りにも効いています。

 もう少し具体的にいうと、ガソリン車は「凄く力強い」という感じではありませんが、CVTの巧みな制御も相まって街中ではスペック以上に元気で小気味良い印象です。

 ただ、高回転はそれほど得意ではなく、あくまでも実用に徹した味付け。

 一方、ハイブリッド車は応答の良さや絶対的な力強さはガソリン車より上ですが、セダン/ツーリングと比べると発進時は穏やかな印象を受けました。

 この辺りは燃費を意識した制御なのでしょうか。ただ、THSII(トヨタハイブリッドシステム)の欠点であるラバーバンドフィールも上手に抑えられ、アクセル全開にしない限りはドライバビリティも高いレベルです。

 フットワークはどうでしょうか。プラットフォームは、12代目カローラシリーズと同じTNGA「GA-C」ですが、リアサスは初となるトーションビーム式(E-Fourはダブルウィッシュボーン)を採用。

 トーションビーム式は接地性やハーシュネスなどに課題があるのも事実ですが、開発陣が目標に定めた「気持ちのいい乗り心地」実現のために、大型ゴムブッシュの採用や常用域にこだわったサスペンションのセットアップ。

 さらに18インチタイヤには“神タイヤ”と呼ばれるミシュラン・プライマシー4の採用などがおこなわれています。

 その走りは、普通に乗っている限りはクロスオーバーというより目線が高いセダン/ツーリングといっていいと思います。

カローラクロスの凄さは「普通」であること、乗ってわかるその実力とは?カローラクロスの凄さは「普通」であること、乗ってわかるその実力とは?

 ステア系はカローラシリーズでは採用済みの「第3世代EPS制御」で、操舵力は軽めながらも、スムーズかつ自然で繋がりも良いフィーリングです。

 路面からの情報も必要なだけ的確に伝えてくれるので、ステアリングから伝わる安心感やクルマに対する信頼は、トヨタ車のなかでもトップクラスです。

 ハンドリングはセダン/ツーリングに対して薄皮2枚くらい入れたような穏やかさがありますが、見た目に似合わない身のこなしの軽快さや操作に対する確かな応答性。

 そしてロールを抑えつつも自然なクルマの動きなど、改めてGA-Cの素性の高さを改めて実感しました。

 ちなみにクロスオーバー化による素性の悪化(全高や重心など)は、ワイドトレッド化でカバーされているはずです。

 快適性はトーションビームによるネガ(ドタバタした動きやアタリの強さ)はほぼ感じず、むしろ凹凸を乗り越える時のカドの取れた優しさやショックのいなし方などはセダン/ツーリング以上に感じました。

 後席もチェックしてみましたが、入力の少なさや体も揺すられにくさなどはライバルよりも優位性があると思います。さらにより快適性に有利に働く17インチも試してみたい所です。

 ちなみにパノラマルーフ仕様はノーマルルーフ仕様と比べると、わずかに足の動きが渋い&硬めに感じましたが、ルーフの重さをカバーするセットなのか、それとも単なる個体差だったのでしょうか。

 ちなみに安全・運転支援デバイスは第2世代トヨタ・セーフティ・センス(TSS)と、セダン/ツーリング/スポーツと共通です。

 ただ、すでに第2.5世代TSSを搭載したモデルが導入されていることを考えると、ここに関しては水平展開ではなく最新スペックを奢って欲しかったのが本音です。

※ ※ ※

 カローラクロスの凄さは「普通」であること、つまり突出した特長はありませんが、総合性能に優れたモデルだと感じました。

 ただ、誤解してほしくないのは、昔のトヨタ車のような「そこそこのレベルでの総合力」ではなく、「100点を目指したなかでの総合力」と意味が全然違うということです。

 そういう意味では、むしろセダン/ツーリングよりも直球勝負な一台といってもいいでしょう。

 そう考えると、戦略的なプライスも含めて売れない理由が見当たりません。今後、12代目カローラシリーズの“本命”になる可能性大です。

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