白黒パトカーに青い回転灯を載せた車両は一体ナニ? 通称「青パト」の正体とは
くるまのニュース / 2021年10月25日 11時10分
青い回転灯をルーフに乗せた、パトカーのような車両を目にすることがありますが、あのクルマは一体何なのでしょうか。青いランプと赤いランプの車両の違いや、いくつかの種類がある回転灯について紹介します。
■青い回転灯が意味することとは?
最近、一般道で青い回転灯をつけている白黒の車両を見かけることがあります。ボディは警察のパトカーと同じく白黒で塗られて一瞬ドキッとしますが、パトカーであれば赤い回転灯が搭載されているはずです。
見た目はパトカーそっくりなことから通称「青パト」とも呼ばれていますが、あの車両の正体は一体何なのでしょうか。
結論からいうと、青パトは警察車両ではありません。正式名称は「自動車に青色回転灯を装着した自主防犯パトロール」(地域によって別名称がある可能性もあります)。
自主防犯活動の一環として、警察と国土交通省から一定の条件を満たしたと認可された団体が防犯パトロール用として使用している車両なのです。
その団体は主に市や区などの地方自治体が主体となっているケースと、地域のボランティアが実施しているものがあり、その場合は「〇〇市」や「〇〇校区(学校に通う児童・生徒の居住地を限定した区域)」などがボディサイドに表示されています。
一方で、赤い回転灯のパトカーは警察車両で、赤い回転灯は「緊急車両(緊急自動車)」を意味しており、道路交通法第39条で「消防用自動車、救急用自動車その他の政令で定める自動車(緊急用務のため運転中のもの)」と定義されています。
救急車や消防車も、緊急の用務で赤色回転灯を点灯させサイレンを鳴らして走行しなければ緊急車両として認められないのですが、最高速度違反取締りのために走行する覆面パトカーなどは例外扱いになっています。
青パトに乗っているのは警察官ではなく、あくまで自主的に防犯パトロールをしている団体の職員ですので、もちろん取締りなどの法的権限もなく、緊急用務としての運転はしてはいけないことになっています。
では、なぜパトカーと同じく白黒に塗り分けられたボディカラーを採用しているのかといえば、警察に認められた団体が警察の任務の一部であるパトロールを自主的におこなっているうえで、パトカーに似ているほうが防犯効果も高いと認識されているからとされています。
※ ※ ※
先述したように、赤い回転灯は緊急車両(緊急自動車)のみ装着が許されている回転灯で、警察車両や救急車、消防車以外にも、臓器や輸血用血液製剤の運搬車両、ガス会社や電力会社など公益事業の応急作業用車、JAFのレッカー車などが該当します。
また自衛隊車両も一部は緊急車両扱いになるものもあり、赤い回転灯の搭載が認められています。
そして緊急の必要性がある用務の場合は、赤い回転灯の点灯とともにサイレンを鳴らすことで、法律的には正式な「緊急車両(稼働中)」となり、この場合は用務のために反対車線にはみ出しての追い越しや、通常は停止しなければならない場所で一時停止しなくても交通法規の適用外となります。
ちなみに、夜の繁華街などで赤い回転灯のみ点灯させたパトカーを見かけますが、サイレンが鳴っていない状態は緊急車両ではありません。
赤い回転灯のみのパトカーは、あくまで周囲に存在をアピールして無謀な運転やひったくりなどの犯罪への抑止効果を狙っているのだとか。
ただし目の前を信号無視やスピード超過などの違反車を発見した場合は、サイレンが鳴らされ一気に「緊急車両」になります。
■回転灯には黄・緑・紫もある!?
回転灯の種類としては、ほかにも「黄色」「緑色」「紫色」があります。そしてその色によって意味合いが違ってきます。
黄色の回転灯は、おもに国土交通省やNEXCO各社などが所有する、道路の維持・修繕や道路標示の設置に使用される車両用です。
黄色い回転灯を搭載した高速道路の管理車両
ハイウェイパトロールカーや清掃車(ロードスイーパー)、除雪車などがありますが、ハイウェイパトロールカーは赤い回転灯とサイレンも搭載。
交通事故が発生した場合は現地にいち早く到着する必要性があるため赤い回転灯の点灯とサイレンを鳴らして緊急車両として緊急走行をするケースもあります。
緑色の回転灯は、原則的に大型の運搬車両を示すもので、幅3mを超えるようなトレーラー、または全長16.5mを超えるトレーラーをけん引するトラクター用。2017年からは誘導車にも搭載が可能になりました。
ただし法的な設置義務はなく、むしろ許可制に近い扱いとなっています。
紫色の回転灯は現在ではあまり馴染みがありませんが、クルマの故障などで停車せざるを得ないクルマの存在を後続車に知らせるために使用するものです。
車載される三角停止表示板と同一の意味を持っており、この紫色のみ申請や許可も不要で一般車両でも使用できますが、それも緊急停止時のみとなっています。
※ ※ ※
一般車を運転するうえで、回転灯を使用する機会は滅多にないかもしれませんが、色の違いによる意味を把握しておくことで走行中に見かけた瞬間に状況を把握しやすくなるのではないでしょうか。
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