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新車の多くがSUVかミニバンなのに教習車はセダン! 初心者が戸惑う運転感覚の違いとは

くるまのニュース / 2021年10月24日 7時30分

自動車教習所では依然としてセダンの教習車が多いのですが、現在市場に出回っているクルマはSUVやミニバンが圧倒的に増えています。初心者がSUVやミニバンを運転するときの注意点などを教習所の元教官に聞いてみました。

■SUVが人気でも、セダンの教習車が依然として多い

 運転免許を取得したばかりの初心者にとって、運転中にもっとも気を使うのが車両感覚でしょう。

 自分のクルマや家族が所有するクルマ、またはレンタカーなど、形状もボディサイズもさまざまで、いつもと違うクルマに乗ると車両感覚を掴むのが難しかったりするものです。

 実際、現在の売れ筋はSUVやミニバンなどボディも大きいものが多く、教習所で毎回乗っていたセダンとは大きく運転感覚が違うことに戸惑う人もいるようです。

 そこで今回は、都内の教習所で指導員(教官)の経験があるB氏に、SUVやミニバン特有の運転感覚や注意点などを聞いてみました。

 一般社団法人「日本自動車販売協会連合会」が発表した2021年上半期(1月から6月)の新車登録ランキングでは、1位トヨタ「ヤリス」(SUV「ヤリスクロス」の台数を内包)、3位トヨタ「アルファード」、5位トヨタ「ハリアー」、6位トヨタ「ライズ」、8位トヨタ「ヴォクシー」、9位ホンダ「フリード」、10位トヨタ「シエンタ」とトップ10の半数以上がSUVまたはミニバンです。

 SUV・ミニバン以外は、コンパクトカーやコンパクトハイトワゴンが市場を独占している状況となっています。

 SUVやミニバンなどが圧倒的に売れているにもかかわらず、教習車の多くがセダンを採用。免許取得後に家族が所有するSUVやミニバンに乗って、車両感覚や運転感覚の違いで軽微な衝突や事故などを起こしてしまうケースもあるようです。

 このボディ形状の違いによって生じる車両感覚の違いについて、教習所の元指導員B氏は次のように説明します。

「やはり教習所では『基本的なクルマのカタチ(最大公約数)はセダン』という固定観念があるのも事実です。しかし最近では多様化するニースに合わせて、SUVを導入している教習所もチラホラあると聞いています。

 一時は輸入車を教習車にするケースで話題を集めることもありましたが、これだけSUVが主流になってくると、教習車に採用されるケースが増えるかもしれません」

 実際、都内の高級住宅地エリアにある教習所では、クロスオーバーのBMW「X1」など輸入車を教習車として選択できるプランがあります。また広島県では高速教習車としてトヨタ「ハリアー」を採用しているニュースも話題になりました。

 では、SUVやミニバンの車両感覚は、セダンと比較してどこが大きく違うのでしょうか。

「もっとも異なる点は、高いヒップポイントによる視界の違いです。大きく広いウインドウのおかげで視界は良好なのですが、ボディも大きくなったことで死角も増えています。

 また車重も重くなることが多く、コンパクトカーからの乗り換えでブレーキのタッチやコーナリングでの挙動の違いに戸惑うこともあるようです」(教習所の元指導員B氏)

 初心者にとって車両感覚を掴むのは難しく、とくにSUVはフェンダーが膨らんだデザインのものもあり、サイドミラーから見えるボディサイドよりさらに幅があることを認識するのは至難の業といえそうです。

「あくまで個人の意見ではありますが、初心者が戸惑う原因のひとつとして、電動パワステの普及もあると思います。

 既存の油圧式に比べステアリング操作が軽く便利ではありますが、そのぶん操作感が希薄といいますか、しっかり操作している感覚を感じにくいです。

 本来は無理な挙動だからハンドルが重くなるところを、電動パワステで軽々を回せてしまう。結果として、ハンドルを切りすぎたりすることも多くなります」(教習所の元指導員B氏)

■セダンと異なる、SUVやミニバンの運転感覚の特徴とは?

 教習車のセダンとは異なる、SUVならではの特性とはどのようなことがあるのでしょうか。元指導員(教官)のB氏に、運転するときの注意点とともに教えてもらいました。

セダンタイプの教習車セダンタイプの教習車

 ・通常のセダンより広い横幅を意識して(とくに助手席側)、自分が考える10cmから20cm程度余裕を持った車両感覚で操作すること。

 ・車高が高くなったことで遠くまで見渡せる反面、クルマのすぐ脇や真下などに死角が多くなる。とくに助手席側の前後輪の位置をミラーなどで常に確認すること。

 ・車重アップに加え重心も高くなるため、コーナリング時に不安定な挙動になりやすい。進入までにしっかり安全な速度まで落とすこと(スローイン・ファストアウトの徹底)。

 ・4WDを採用する車種も多いこともあり、小回りは効かないと認識すべし。とくにUターンや駐車場などでは切り返しにも注意が必要。

 ・あまり悪路走破性を過信しないこと。セダンで走破が難しい道はSUVでも難しく、とくに雪道などグリップが低下した路面は、曲がらない・止まらない傾向がある。

 SUVのほかに人気ジャンルとなっているミニバンは、セダンともSUVとも違う運転感覚がさらに必要になるといいます。

 ミニバンは居住性を最大限確保するために、長い全長と長いホイールベース、四隅に配置されたタイヤなど、独特のレイアウトを採用していることを意識しておきたいところです。

 ・ロングホイールベースによる内輪差(ステアリングを切った状態で前輪と後輪が描く軌道の差)が大きくなるので、とくに交差点での左折時などは内側の巻き込みに注意。

 ・風の影響も受けやすく、重心も高いボディ形状を意識。SUV以上にコーナリングは不安定になりやすく、曲がりにくく止まりにくいということを意識してステアリング操作やブレーキ操作をすること。

 ・想像以上に背が高いボディ形状であることを忘れない。またロングホイールベースゆえの段差などの乗り越えにはアンダーフロアをすらないように注意。

 ・SUVと同様に死角が多いので、モニターに連動したバックカメラの映像を過信しない。車庫入れなどはきちんと目視しつつバック走行する。

 ・電動パワステなどで操作は軽くなっており、ボディサイズを忘れがち。とくに市街地では死角が多いので周囲への意識を忘れない。段差がないかも注視するべき。

 以上を踏まえると、一般走行では内輪差による巻き込みに注意が必要なのと、重心の高いボディ形状ならではの挙動の不安定さを抑える運転意識が求められているといえそうです。

※ ※ ※

 SUVやクロスオーバーには乗用車に近い感覚で乗れるモデルも多いのですが、ミニバンはワンボックスカーに近いロングホイールベース車特有の運転感覚を養う必要があります。

 普段乗り慣れないクルマに乗るときは、ボディ形状ならではの特性を考えた運転を心がけましょう。

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