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2300万円のドライビングシミュレーターで世界の有名なサーキットを体験! ピニンファリーナ製は何が違う?

くるまのニュース / 2021年10月14日 8時10分

PlayStationで『グランツーリスモ』を楽しんでいる人は多いと思いますが、ドライビングシミュレーターの世界にもセレブ御用達のアイテムがありました。ピニンファリーナ製の9台限定モデルを紹介します。

■ただのゲームではない本格的「ドライビングシミュレーター」の最高峰とは

 かつての「TVゲーム」や「ビデオゲーム」の対戦型ゲームが「eスポーツ」などと呼ばれるようになった現在では、もともとはゲームから発展したはずのドライビングシミュレーターも大きく進化している。「eモータースポーツ」などと呼ばれて、遊びとしても以前より格段に高度なものとなるにとどまらず、レーシングドライバーの育成やトレーニングにも活用されているという。

 その一方で、自らの部屋やガレージ、あるいはショールームなどに設置したいユーザーが増えていることから、シミュレーターのハード面、たとえばステアリングやシートで構成される「マシン」の部分の商品価値も求められるようになってきているそうだ。

 2021年9月17日、RMサザビーズの欧州本社がスイス・サンモリッツにて開催した、その名も「St. Moritz」オークションでは、1台の超高級ドライビングシミュレーターが競売の目玉商品として出品され、世界的な話題を提供することになった。

●名門カロッツェリアの生み出したシミュレーターとは?

 RMサザビーズ「St. Moritz」オークションに出品されたドライビングシミュレーターは「ピニンファリーナ・レジェンダ eクラシック・シミュレーター(Pininfarina Leggenda eClassic Simulator)」という、長い名前を持つ。

 その名が示すように、イタリアを代表する老舗カロッツェリア、ピニンファリーナが、クラシックカー/コレクターズカーをドライブしているときのドライビングファン、そしてスリルを再現することを目的として、自動車愛好家のためのプラットフォーム「ザ・クラシックカー・トラスト(TCCT)」と共同開発したというシミュレーターである。

「ピニン」の愛称で呼ばれたバッティスタ・ファリーナが1930年に独立・開業して以来、90周年を迎えたことを記念して開発され、イタリア・トリノ近郊カンビアーノにあるピニンファリーナのファクトリーにて、世界限定9台のみがハンドメイドされることになっているという。

 ピニンファリーナが、かつてホンダとともに開発したコンセプトカーになぞらえたのだろうか、「アルジェント・ヴィーヴォ(水銀)」と自称するシルバーメタリックのボディシェルは、オープンであることからフェラーリの「テスタロッサ」シリーズやマセラティの「300S」など、1950年代のレーシングスポーツを思わせるスタイリングに映る。

 しかしピニンファリーナ側のリリースによると、このスタイリングは同社が1940年代に手掛け、自動車デザイン史上のマイルストーン的存在と称される小さな2シーターグラントゥーリズモ「チシタリア202」にインスパイアされたものという。

 本物のクルマでいえばエンジンフード後部にあたる位置に、大きく湾曲したワイドスクリーンの画像モニターが設置されており、臨場感あふれるシミュレーター体験ができるように設えられているとのことである。

 ステアリングホイールは、イタリア製クラシックスポーツカーの定番ともいうべき、ナルディ社製のウッドリム。また、マニュアルのシフトレバーにクラシックな3ペダル、スターターボタンとともにダッシュボードに組み込まれた「ハンハルト」社製のヴィンテージ風クロノメーターなど、往年のスポーツカーたちへのオマージュを込めて、細部に至るまでこだわって丁寧に製作されているようだ。

「マローネ・タバコ(Marrone Tabacco:タバコブラウン)」色のコノリー社製レザーで囲まれたシングルシートとインテリアも合わせて、時代を超えたスポーツカーのデザインを見事に体現しているといえよう。

■ピニンファリーナのシミュレーターは、新車で高級車が余裕で買えるプライス!

 名門カロッツェリア、ピニンファリーナの「レジェンダ eクラシック・シミュレーター」の購入者には、「eクラシック・メンバー・アプリ(eClassic Member App)」を3年間利用できる「eクラシック・クラブ(The eClassic Club)」へのアクセス権が自動的に付帯されることになるという。

ステアリングホイールは、イタリア製クラシックスポーツカーの定番ともいうべきナルディ社製のウッドリムを採用(C)2021 Courtesy of RM Sotheby'sステアリングホイールは、イタリア製クラシックスポーツカーの定番ともいうべきナルディ社製のウッドリムを採用(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●ドライビングシミュレーターのハイエンドにあたる、約2300万円で落札!

 これはTCCTがすでにおこなっている「eアカデミー」でのドライビングコーチに加えて、トレーニングセッションやほかのメンバーを交えたレース、インフォーマルなグループドライブなど、自動車エンスージアストのためのオンラインコミュニティも利用可能とするものとのことである。

 また「eクラシック・クラブ」では、ピニンファリーナの母国イタリアの「モンツァ」やベルギーの「スパ・フランコルシャン」、ドイツの「ニュルブルクリンク」、英国の「ブランズハッチ」などの有名なクラシックサーキット、あるいは、かつてヨーロッパでは盛んにおこなわれていたヒルクライム競技を再現したアルプスの公道コースなど、クラブメンバーのみが利用できるコース設定も用意されているという。

 このピニンファリーナ・レジェンダ eクラシック・シミュレーター第1号機に、RMサザビーズ欧州本社とピニンファリーナは、12万−15万スイスフラン(邦貨換算約1440万−1800万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。

 筆者はゲームのたぐいにはまったく疎いものの、試しにこの種のレーシングシミュレーターについてネット検索してみると、家庭用のものならば大型モニターつきでも100万円あたりからセットアップが可能であることが分かった。レースチームやプロドライバーがトレーニング用に使用する本格的なものでも、おおむね200万−500万円くらいで入手できるようだ。

 さらにアストンマーティンが公式に開発し、世界限定150台のみ製作した「AMR-C01レーシングシミュレーター」でも5万7500ポンド(約780万円)という価格設定がなされていることを思えば、今回の価格づけはかなり強気とも思われた。

 ところが、2021年9月17日におこなわれた競売ではビッドが思いのほか進んだようで、最終的には19万2000スイスフラン、つまり日本円換算では約2300万円で落札されることになったというのだ。

 近年のレーシングシミュレーションゲーム、たとえば「アセットコルサ(Asetto Corsa)」などでも、かなりの車種のクラシックカーのバーチャル体験が楽しめるようだが、ドライバーの操作環境が現代車を模したモダンなものでは、雰囲気が大いに損なわれてしまう。

 そんな不満を抱くエンスージアストには、まさに最高のシミュレーターであることは間違いあるまい。しかし、2000万円を大きく超えるプライスとなると、やはりミュージアム級のコレクションを保有する、かなり上級のコレクターのためのものとみるべきであろう。

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