中途半端な排気量だけどイケてる名車ぞろい! 1.3リッターエンジンのホットな車3選
くるまのニュース / 2021年10月20日 6時10分
これまで日本でコンパクトカーというと、自動車税の関係から1.5リッターエンジンか1リッターエンジンが主流でした。一方で、その中間というべき1.3リッター車も存在し、さらに高性能なモデルも誕生。そこで、1.3リッターエンジンを搭載した国内外のホットハッチを、3車種ピックアップして紹介します。
■1.3リッターエンジンを搭載したホットハッチを振り返る
現在、国内で販売されているコンパクトカーは、登録車のなかでも高い人気を誇っています。軽自動車よりもパワフルで室内も広く、それでいて高い経済性が大いに魅力的な存在です。
このコンパクトカーで主流となっているのが、日本の自動車税の関係から1.5リッターエンジンと1リッターエンジンです。
現行モデルのトヨタ「ヤリス」を例に挙げると、ハイブリッド車が1.5リッター、ガソリン車が1.5リッターと1リッターを設定し、まさにコンパクトカーの王道というべきラインナップとなっています。
一方で、かつては中途半端と思える1.3リッターのモデルも散見され、軽量な車体とパワーのバランスが良好なことから、ホットなモデルもありました。
そこで、1.3リッターエンジンを搭載した国内外のホットハッチを、3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「ヴィッツ RS」
シャシ性能が高いボディにローパワーなエンジンの組み合わせが秀逸な「ヴィッツ RS」(画像は欧州仕様車)
トヨタは1999年に、シャシからエンジンまですべて新開発された次世代のコンパクトカーとして、初代「ヴィッツ」を発売しました。
ボディサイズは全長3610mm×全幅1660mm×全高1500mmと、非常にコンパクトながら優れたパッケージングにより広い室内空間を実現し、優れた走行性能と経済性からコンパクトカーのベンチマークとなりました。
デビュー当初は最高出力70馬力の1リッター直列4気筒エンジン車のみで、発売から数か月後には88馬力の1.3リッターエンジン搭載車が加わり、さらに2000年にはスポーティグレードの「ヴィッツRS」が登場。1.3リッター車と最高出力110馬力の1.5リッター車が設定されました。
1.3リッターのRSは3ドアと5ドアハッチバックのボディで、エンジンこそ88馬力とスタンダードモデルと変わりありませんでしたが、足まわりには専用のショックアブソーバーと強化されたスプリング、前後スタビライザーが追加され、4輪ディスクブレーキが奢られています。
車重は920kg(3ドアMT車)と軽量で、175/65R14のタイヤとのマッチングも良好なことから、高いコーナーリングスピードを発揮しました。
その後、2005年に2代目ヴィッツが登場すると、RSは1.5リッターエンジンのみとなり、1.3リッターのRSは初代だけと希少なモデルとなりました。
●プジョー「106 ラリー」
日本でも高い人気を誇ったフレンチホットハッチの代表作「106 ラリー」
現在、日本におけるプジョーのラインナップは「208」がエントリーモデルですが、欧州ではさらにコンパクトなモデルとして「108」が存在し、トヨタ「アイゴ」、シトロエン「C1」と兄弟車となっています。
この108の前身のモデルが「106」で、1991年に発売されました。3ドアと5ドアのボディバリエーションがあり、エンジンについても豊富なラインアップを持った人気モデルで、日本でも1995年から2003年まで販売されました。
ボディサイズは初期のモデルで全長3564mm×全幅1590mm×全高1369mmと、前出の初代ヴィッツよりもさらにコンパクトです。
この106のなかでもホットなモデルとしてラインナップされていたのが「106ラリー」で、その名のとおり、ラリー参戦を前提としたモータースポーツベース車となっており、エンジンは初期が1.3リッターで後に1.6リッターへ拡大されました。
106ラリーは日本に正規輸入されませんでしたが、パワーステアリングやエアコンを装備しないといった潔さから、一部のファンから熱狂的な支持を得て、比較的安価なことから数多くの並行輸入車が上陸しています。
とくに初期にしかラインナップされなかった1.3リッターモデルは、最高出力98馬力を発揮する専用のエンジンで、車重はわずか810kgと軽量です。足まわりは専用のチューニングとされ、ホワイトに塗装されたスチール製ホイールがむしろスポーティな印象を高めていました。
106ラリーの1.3リッターモデルは「テンサンラリー」の愛称(1.6リッターは「テンロクラリー」)で親しまれ、今では貴重な存在です。
●ホンダ「シティ」
初代からコンセプトを一新しつつ高いコーナリング性能を誇った2代目「シティ」
1981年にホンダは、それまでのコンパクトカーの概念を変えた初代「シティ」を発売しました。短い全長に対して全高が高く、広い室内空間を実現したことによる使い勝手の良さから大ヒットを記録。
翌年には、最高出力100馬力(グロス)を発揮する1.2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載した「シティ ターボ」が誕生。さらに1983年には、インタークーラーを追加して110馬力(グロス)までパワーアップした「シティ ターボII」、1984年にはオープンモデルの「シティ カブリオレ」が登場するなど、常に話題が尽きないモデルでした。
そして、1986年に2代目にフルモデルチェンジされると、初代から大きくコンセプトが変えられ、全高の低いロー&ワイドなフォルムとなります。
エンジンは76馬力を発揮する1.2リッター直列4気筒を搭載し、軽量な車体とワイドトレッドが相まって、コーナーリング性能が大幅に向上しました。
さらに、1988年には1.3リッター16バルブエンジンにスイッチ。上位グレードの「CZ-i」と「CR-i」は電子制御燃料噴射装置を装備し、最高出力は100馬力を発揮。
なかでもスポーティなCR-iの車重は750kgと軽量で、ジムカーナなどのモータースポーツでは長くトップクラスの車両に君臨しました。
しかし、初代の斬新な発想や過激なまでの高性能モデルがなくなったことで、2代目シティはトータルバランスに優れたモデルでありながら、初代ほどのヒット作にはなりませんでした。
※ ※ ※
シャシ性能が高いコンパクトで軽量なボディに、そこそこの性能のエンジンを組み合わせたモデルは、スポーツカーならずともドライビングの楽しさは格別です。
現在もそうしたモデルはスズキ「スイフトRS」など、わずかながら存在しており、日本の道路事情にもピッタリなホットモデルといえるでしょう。
今後、電動化が進むなかでは軽量なモデルを開発するのは難しくなると予想できるため、希少なモデルとなりそうです。
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