速度超過の事故どう防ぐ? 期待される「ハンプ」は役立つ? 各地で進む対策方法とは
くるまのニュース / 2021年10月25日 10時10分
クルマの速度を抑制する事故防止対策物として近年見られるようになってきた「ハンプ」。事故防止にどのような効果があるのでしょうか。
■「ハンプ」ってなに?設置が広がる事故防止の対策物とは
2021年6月28日、千葉県八街市の市道において、下校中の小学生5人がトラックにはねられて死傷するという痛ましい事故が起きました。
この事故のそもそもの原因は、トラックの運転手による飲酒運転にあるとされていますが、今後さらなる交通事故を防止するために、この道路では速度制限を30km/hに厳格化し、加えて、今後「ハンプ」と呼ばれる新たな事故防止対策物の設置などの対策がとられることになりました。
では、ハンプと呼ばれる対策装置は、事故防止にどのような効果があるのでしょうか。
ハンプとは、道路上にゆるやかな丘のような形の設置物で「凸部(とつぶ)」とも呼ばれており、現在設置が進んでいる事故防止対策物のひとつですが、実際に導入されている地域はあまり多くありません。
国土交通省によると、標準的なハンプの形は「傾斜2m・平坦2m・傾斜2m」となっており、高さは10cm、勾配は平均で5%から8%となっています。
そんなハンプの最大の設置理由は、丘のような形状になっていることから、ハンプを前方に確認した運転者がクルマの速度を抑制することです。
また、ハンプは各地方の自治体が管理をおこなっていますが、現在では神奈川県や静岡県、大阪府、佐賀県などで設置されている例が見られます。
各地域において設置が広がりつつあるハンプですが、国土交通省道路局の担当者は「ハンプ本来の目的通り、クルマの速度抑制に繋がっています」と一定の効果が得られていると話します。
実際に、神奈川県横浜市大倉山駅の付近では、2017年10月6日から11月1日にかけて、仮設のハンプを設置しての検証実験がおこなわれましたが、「規制速度30km/hを超過する車両の割合が12%減少し、全車両の平均速度は約10km/h低下した」という結果が出ています。
実際に効果が見られたことから、該当箇所である大倉山駅の付近には、その後、実際にハンプが設置されることになりました。
現時点ではまだ限られた場所にしか設置されていないハンプですが、設置箇所では一定の効果が見られていることから、前出の国土交通省担当者も、「生活道路の安全を守るために、ハンプの推進を図っていきます」と意欲を見せています。
■国土交通省が推進する「ゾーン30プラス」とは
前述の八街市の道路のように、近隣の住民が日常生活の際に頻繁に利用する道路を「生活道路」といいます。
国土交通省が公表している「自宅からの距離別死者数」によると、自宅から500m以内の地点で事故にあう歩行者および自転車は、全体の死者数の約半数である49%を占めています。
そこで、国土交通省は生活道路の交通安全対策をおこなっており、その一環として「ゾーン30プラス」を推進しています。
ゾーン30プラスは2021年8月26日に国土交通省が発表したもので、生活道路における歩行者や自転車を優先した安心・安全のために整備される区域のことを指しています。
実は以前より、警察庁が推進してきた最高速度30km/hの区域規制を設ける「ゾーン30」という取り組みがありました。
「ゾーン30プラス」の入口イメージ(画像:国土交通省ホームページより))
ゾーン30プラスでは、その警察庁の取り組みに加え、国土交通省がハンプのような物理的デバイスの設置も推進しており、ふたつの機関が連携した新たな施策となっています。
例えば、設置される物理的デバイスとしては、歩行者の通行場所を確保する「防護柵」や道路幅を物理的に狭くして自動車の速度抑制を図る「狭さく」などが挙げられます。
国土交通省は、今後こうした施策について「地域住民の合意形成を図りながら推し進めていく」としています。
※ ※ ※
いかなる道路でも、速度超過は重大事故を引き起こす大きな要因となります。
今後、ハンプやゾーン30プラスの設置箇所はさらに増えていくことが予想されますが、それらの設置の有無にかかわらず、速度を厳守することは運転手が求められる一番の事故対策です。
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