ボルボの新型電動SUV「C40 リチャージ」なぜオンライン販売のみ? 変革する新車ディーラーの役割とは
くるまのニュース / 2021年11月24日 10時10分
ボルボの国内初EVとなる新型「C40 リチャージ」は、オンライン販売のみという新たな販売方法を取り入れます。既存のディーラーは、今後どうなるのでしょうか。
■ディーラーで販売しない!? 新型「C40 リチャージ」の新しい売り方
ボルボ・カー・ジャパンは2021年11月18日、ボルボとして日本国内初となるEV「C40 リチャージ」を発表しました。
公開されたのは前輪と後輪にそれぞれひとつずつ合計2基のモーターを持つ、四輪駆動の「C40 リチャージ Twin」で、最大出力が300kW、最大トルクが660Nmで、バッテリー容量は78kWh。満充電での航続距離は、世界標準規格のWLTCモードで約485kmという仕様です。
充電方式は、家庭やオフィスでの200V交流充電では出力11kWとし、充電インフラ規格CHAdeMO(チャデモ)の150kW急速充電では約40分間で80%まで充電可能としました。
C40 リチャージのインテリアは、シートやドアの内張り、カーペットなどにリサイクル素材が使われているのが特徴です。
価格(消費税込)は719万円となりますが、頭金不要で税金や保険など諸費用をすべて込みとしたサブスクリプションモデル(11万円/月・最長36か月)を国内100台限定で設定しました。
C40 リチャージでまったく新しい試みとなるのは、「オンライン販売のみ」という点です。
オンライン販売のみになると、既存のディーラー(販売店)の存在はどうなってしまうのでしょうか。ボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソン社長に聞いてみました。
パーソン社長は「オンラインでは顧客が購入希望をするまでのプロセスであり、契約については既存のディーラーでおこないます。これはオンライン活用の第一世代であり、その先はどうなるのかは現時点では決めていません」と説明します。
そのうえで、既存ディーラーは販売契約後の納車や整備などのアフターサービスなど、これまで同様の業務をおこなうという仕組みです。
近年、オンライン販売についてはさまざま商品で普及が進み、自動車の購入についてもオンラインで情報を検索して収集し、そして購入するのは時代の流れとして当然だという見解を示しています。
一般論として、オンラインでの各種販売が世の中に広がる前まで、自動車購入ではユーザーは購入までに平均3回程度はディーラーのショールームを訪れていました。
そうした購入前のプロセスを自宅でリラックスしながらおこない、最終的な決断もオンラインでおこなうことは、とくにプレミアムブランドでは今後のトレンドになると予測しています。
こうした新しいクルマの売り方について、ボルボ・カー・ジャパンはC40 リチャージのプロトタイプを発表した2021年5月以降、ディーラー各社に何度も丁寧に説明をしてきたといいます。
「オンライン販売はディーラー排除の経営戦術ではありません。ボルボはトップダウン型(の経営思想)ではなく、(ディーラーを含めた関係者と)何度も何度も会合を重ねて、ディーラーからのアドバイスもしっかりと聞いており、ディーラー各社は(現時点ではオンライン販売について十分に理解し)安心している」と、パーソン社長は説明しました。
■日本ではプレミアム市場で一気にEV化する可能性も
ボルボはグローバルの自動車メーカーのなかでもEVシフトに極めて積極的です。
2025年までにグローバルでは新車販売の50%、2030年には新車100%をEV専用化するという高い目標を掲げています。
EV化を推進するボルボ
日本市場については2025年までに毎年1モデル以上のEVを導入し、新車販売の35%をEVとし2030年には100%EV化と設定しました。
この点についてパーソン社長は「日本のEV化の動きは欧州などグローバルと比べると緩やかだ」としたうえで、「我々は市場全体でのEV化率ではなく、プレミアム市場でのEV化率を意識している。日本でのプレミアム市場のEV化は徐々にではなく、ある時点でから急激に伸びると予想している」といい、ボルボがプレミアムEV市場でのイニシアチブを取るとの強い自信を示しました。
これに加えて、すでに日本で発売されているボルボ車と、これから2030年までに国内販売するガソリン車やハイブリッド車などすべてのボルボ車について、ディーラーでのカスタマーサービスは継続しておこなうことを約束しました。
今回発表されたC40 リチャージはボルボ新時代に向けたスターティングポイントとなりますが、そのキックオフとなる100台のサブスクリプションについてパーソン社長は、「すでに海外での実績があるため、日本で成功すると確信している」といい切りました。
2020年代は日本を含めたグローバルで、まずはプレミアムブランドでのEV化が一気に進むのか、ボルボを含めたメーカー各社の動きが注目されます。
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