意欲作ながら残念な結果に? 気合が入っていた不人気車3選
くるまのニュース / 2021年12月1日 16時10分
何代にもわたって長い歴史を刻んできたクルマや、月に2万台も売れる大ヒットを記録したクルマがあります。その一方で、意欲作ながら一代限りで消えたクルマも存在。そこで、かなり気合が入っていたにも関わらず成功しなかったモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
■かなりの力作ながら不人気となってしまったクルマを振り返る
内燃機関を搭載した自動車が発明されてからこれまでの120年以上の間に、膨大な数のクルマが世に送り出されてきました。
そうしたクルマのなかには名車と呼ばれて後世でも珍重されているモデルや、何代にもわたって長い歴史を刻んできたモデル、また、販売目標の何倍も売れるような大ヒットを記録したクルマもあります。
その一方で、人気とはならずに一代限りで生産を終了し、人々の記憶から忘れ去られてしまうクルマも数多く存在します。
そこで、かなり気合を入れて開発したにも関わらず成功しなかったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「Z」
ユニークなパワートレインのレイアウトながら人気とならなかったホンダ「Z」
ホンダは1995年に、同社初のSUVとして初代「CR-V」を発売し大ヒットを記録。そして、SUVラインナップを拡大するため、1998年にはコンパクトなクロスオーバーモデルの「HR-V」がデビューしました。
さらに1998年10月には、刷新された軽自動車規格に合わせた軽SUVのホンダ「Z」が登場。
外観はスクエアなデザインの3ドアハッチバックボディを採用し、SUVらしく機能的な印象です。
また、ユニークだったのがパワートレインのレイアウトで、660cc直列3気筒ターボと自然吸気エンジンをラインナップし、これを後部座席の下に横倒して縦に設置し、4速ATのトランスミッションとビスカスカップリング式センターデフを組み合わせたフルタイム4WDを採用。
このレイアウトは軽トラック「アクティ」をベースにしたもので、前後長が長い広いキャビンの実現に貢献しました。
また、駆動系のメカがすべてホイールベース内に収まっていたため、大径の15インチタイヤをボディの四隅に配置でき、アプローチアングルとデパーチャーアングルを確保し、さらに195mmもの最低地上高によって悪路走破性が高められました。
しかし、3ドアのボディでは広い室内にも関わらず使い勝手は良いとはいえず、凝った設計によって車重も960kgから970kgと軽乗用車のなかでは格段に重くなってしまい、動力性能にも影響。
同時期に誕生した「ライフ」よりも高額だったことなど、さまざまな要因からZは人気車とはならず、2002年に生産を終了。後継車もありませんでした。
●三菱「ミラージュディンゴ」
アグレッシブなデザインのフロントフェイスが受け入れられなかった「ミラージュディンゴ」
三菱のエントリーモデルとして現在もラインナップされている「ミラージュ」は、かつては主力モデルの1台でした。
このミラージュの名を冠したモデルとして、1999年に「ミラージュディンゴ」が誕生しました。
ミラージュディンゴはコンパクトトールワゴンで、車名からミラージュの派生車とイメージさせましたが、プラットフォームが異なる独立したモデルとして開発されました。
内装では広い室内空間を実現し、前後左右へのウォークスルーが可能な「H(エイチ)ウォーク」を採用するなど、ミニバン並のユーティリティの高さを実現していました。
さらに、エンジンは新開発の1.5リッター直列4気筒直噴エンジン「GDI」を搭載し、サスペンションも新設計の4輪独立懸架を採用するなど、技術的にも意欲作でした。
一方で、外観はアグレッシブなデザインを採用。全体のフォルムは比較的オーソドックスなスタイリングですが、縦型異型ヘッドライトを装着したフロントフェイスはかなり個性的で、このフロントフェイスが不評だったためか、販売は徐々に低迷。
そのため、2001年のマイナーチェンジではフロントまわりのデザインを一新し、ヘッドライトは一般的な横基調の角型とされるなど、おとなしいデザインへと変貌を遂げました。
しかし、三菱の不祥事が重なった時期でもあり、ミラージュディンゴの販売台数は伸び悩み、2002年に生産を終了しました。
●日産「NXクーペ」
特徴的な外観ながら日本ではヒットに繋がらなかった「NXクーペ」
アメリカでは、主に働く女性が通勤などに使う小型のクーペやハッチバックを、「セクレタリーカー」というジャンルで呼称しています。
このセクレタリーカーの需要をターゲットにしたモデルが、1990年に日本で発売された日産「NXクーペ」です。
NXクーペは7代目「サニー」をベースに開発された3ドアハッチバッククーペで、北米日産で企画され、デザインもカリフォルニアのNDI(日産デザインインターナショナル)によるもので、外観は1989年にデビューした4代目「フェアレディZ(Z32型)」のエッセンスが随所に散りばめられていました。
ボディサイズは全長4140mm×全幅1680mm×全高1310mmとコンパクトで、全体はやわらかなカーブの曲面で構成され、楕円形状の異形ヘッドライトを配置したフロントフェイスが特徴的です。
また、バリエーションはノーマルルーフとルーフ部分の左右を脱着できる「Tバールーフ」が設定され、まさにフェアレディZと同じ仕様で、ほかにもリアハッチまわりのデザインはZ32型をモチーフとしていました。
エンジンは1.5リッター、1.6リッター、1.8リッターと3タイプの直列4気筒自然吸気をラインナップし、トランスミッションは4速ATと5速MTを設定。
NXクーペは、セクレタリーカー需要に合致したモデルとしてアメリカ市場では一定の人気がありましたが、クーペながら性能的に平凡で、個性的なデザインが受けなかったのか日本で販売が低迷。1994年に生産を終了しました。
※ ※ ※
最初に紹介したホンダ Zが5ドアのボディで復活すれば、SUV人気が続く今ならヒットするかもしれません。
どんなに秀逸なクルマでも、出たタイミングによって明暗が分かれるケースがあります。
各自動車メーカーは入念な市場リサーチを重ねたうえで新型車の開発をおこなっていますが、将来的なニーズを予想するのはかなり難しいといえるでしょう。
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