なぜ長期休暇の高速道路は渋滞が発生?「ファスナー合流」「車間を空ける」渋滞緩和に効果アリ!?
くるまのニュース / 2021年12月29日 7時10分
クルマを運転する以上、渋滞に遭遇することは少なくありません。渋滞はなぜ発生するのでしょうか。また、どんなシチュエーションで発生しやすいのか、さらに渋滞の対処法などを、NEXCO東日本に聞いてみました。
■サグ部で速度低下に気づかず…「ブレーキの波」が広がっていく
クルマを運転する以上、渋滞に巻き込まれることはよくあることです。
しかも急いでいるときに限って渋滞にハマり、ついイライラしてしまうものですが、渋滞はなぜ発生するのでしょうか。
今回は、高速道路で渋滞が発生するメカニズムやシチュエーション、対処法などについて調べてみました。
NEXCO東日本のウェブサイトによると、2020年に発生した渋滞のうち、約76%が交通量の集中によるもので、このうちの64%は高速道路上の上り坂および「サグ部(下り坂から上り坂に差しかかる箇所)」で発生しているとされています。
ではなぜ、サグで渋滞が発生しやすいのかについて、NEXCO東日本に聞いてみました。
「道路の勾配を意識せずに下り坂でアクセルを緩めた状態のまま上り坂に差し掛かると自然に減速してしまうのですが、この速度低下に気づかずに走行しているケースが多いようです。
交通量が多い状況でこうした(速度変化に気づかない)クルマが存在すると、すぐ後ろのクルマは車間距離が詰まるため思わずブレーキを踏んでしまいます。
さらに、ブレーキを踏んだクルマの後続車もブレーキを踏む『ブレーキの波』が大きくなりながら次々と連鎖していくため、最終的には停止してしまうクルマが出てきてしまうのです。
これが、サグや上り坂において渋滞が発生するメカニズムです」
ブレーキの波は、トンネルの入り口やインターチェンジ合流部分などでも発生しやすく、同じように渋滞発生の原因になっているそうです。
年末年始のような長期休暇で多くの人が高速道路を利用するタイミングではブレーキの波がさらに発生しやすくなり、10km以上の渋滞が発生してしまうのだそうです。
2021年・2022年の年末年始の高速道路の渋滞が気になるところですが、日本では新型コロナウイルスの新規感染者が減少し小康状態を保っているものの、新たな変異株の世界的な流行などもあり予断を許さない状況です。
NEXCO東日本でも新型コロナの感染推移の状況や交通動向を踏まえたものではあるものの、2021年12月28日から2022年1月4日の渋滞予測ガイドを発表。
それによると、各日ともに10kmから25kmという渋滞が発生することが予測されますが、渋滞のピークは2022年1月2日になる見通し。東名高速や関越道、中央道、常磐道、東北道、圏央道などでは最大35km程度の渋滞が断続的に発生すると予想されています。
今冬の年末年始は2019年や2020年の年末年始並みに回復しそうだとNEXCOは予測しており、単純試算ではありますが150万台強/日(全国)の利用が見込まれます。
年末年始に高速道路の利用する場合は、かなり計画を立てたほうが良さそうです。
■スピードの維持と十分な車間距離を確保することが大切
渋滞はできることなら回避したいものですが、渋滞緩和のためにNEXCO東日本ではいくつかの対策をおこなっています。
「弊社では渋滞対策として主要な渋滞箇所において付加車線の設置や加速・減速車線の延伸をおこなっています。
また、たとえばアクアラインのアクアトンネルなどではペースメーカーライトを設置し光が進行方向に移動するよう点滅させることで、速度低下の抑制、速度回復支援に効果を発揮しています。
さらに主要な渋滞発生箇所に標識を設置して、意識的な速度回復を促しています」
合流車線の手前で合流することが渋滞が発生しやすくなる
またICの合流地点では「ファスナー合流」も推奨しています。
「ファスナー合流とは渋滞中の交通の流れを改善するための取り組みのひとつで、ICの入り口や車線減少箇所など高速道路本線上で車線の合流が発生する箇所において、合流部の先端付近で1台ずつ交互に合流する方法です。
お客さまにおかれましては、車線合流の際には合流部の先端付近で譲り合って合流いただき、交通の円滑化にご協力のほどお願いいたします」(NEXCO東日本担当者)
ドライバー側でもできる渋滞緩和の対処法はあるのでしょうか。
「高速道路をご利用のお客さまにしていただきたい対処法としては、後続車にブレーキを踏ませないために速度を一定に保つように心がけ、上り坂でもスピードを維持する意識を持って走行していただければと思います」(NEXCO東日本担当者)
高速道路上で「この先上り坂」や「速度低下に注意」という表示があったら、サグや上り坂が近いことを意味しています。
またクルマの性能上あまりスピードが出せない場合は、なるべく追い越し車線を走行せず、登坂車線を利用することで、渋滞発生の予防に効果的なるそうです。
「前走車の速度が少し下がってもブレーキを踏まなくて済むように、十分な車間距離を確保するのも大切です。
車間距離をおくことで(ちょっとした速度変化でも)ブレーキを使用する回数も減り、渋滞を緩和させる効果が期待できます」(NEXCO東日本担当者)
また車線を頻繁に変更するクルマを見かけることがありますが、NEXCO東日本によると「隣の車線が空いているように見えても、交通量レベルが高い状態では(事故などの影響がある場合を除き)進み方にそれほど差はありません」とのこと。
むしろ急な車線変更で後続車にブレーキを踏ませる原因になるため、むやみな車線変更は控えるほうが渋滞の緩和につながるといいます。
※ ※ ※
さらに、NEXCO東日本では「渋滞対策はお客さまとの掛け算です」のスローガンを掲げて、渋滞対策関係の看板や表示にはピンク色を使用しています。
これはNEXCO東日本の対策だけでなくユーザーの協力が不可欠で、双方が努力することで効果が何倍にもなるという意味が込められているそうです。
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