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大ヒットしてホンダを救った!? ミニバンブームをけん引した初代「オデッセイ」を振り返る

くるまのニュース / 2022年1月9日 18時10分

1994年10月に誕生したホンダ「オデッセイ」は、2021年をもって国内販売を終了しました。なかでも初代はミニバンクラスをけん引してきたモデルで、「家族や仲間たちとともに、楽しく移動できるクルマ」をコンセプトに掲げ、日本に“ミニバン”という家族のクルマを根付かせた先駆者として多くのユーザーから支持されました。

■家族や仲間たちとともに楽しく移動できるクルマ

 クルマが単なる移動手段ではなく、生活を豊かに彩るためのツールとして選ばれるようになった1990年代。とくにワゴンやクロカン4WDといった多目的に使えるクルマは、アウトドアレジャーを嗜む人たちから絶大な支持を集め、自動車界にはRVブームが巻き起こりました。

 このブームに乗って三菱「パジェロ」、トヨタ「ハイラックス」、スバル「レガシィツーリングワゴン」といった車種が販売台数を伸ばすなか、「アコードワゴン」以外のRV車を持たなかったホンダは、RVブームに乗れずに販売シェアを失い、業績は悪化の一途をたどっていました。

 新型RVの開発はまさにホンダの社運をかけたものでしたが、ホンダは日本国内の状況を鑑み、競合が多いワゴンやクロカン4WDではない独自の価値を持ったRVを生み出そうと考えました。

 そこで新型車の開発にあたり掲げた大きなテーマは、「家族や仲間たちとともに、楽しく移動できるクルマを具現化すること」。

 多人数が乗れることを前提としたうえで、座席によって機能性や快適性に差をつけない。「乗る人全員が主役」という発想が開発の原点となったのです。そうして生み出されたのが初代「オデッセイ」でした。

 初代オデッセイが登場する以前にも、多人数乗車ができる車種は存在しましたが、その多くがキャブオーバー型のワンボックスカーでした。

 多人数が乗れて、荷物の積載性にも優れていましたが、商用車をベースにしているため乗り心地や操縦安定性は一般のクルマよりも劣っていました。

 ホンダはそこに活路を見出すべく「空間の使いやすさと快適性」「セダンと同等の爽快な走りと快適な乗り心地」「乗員すべてを守るハイレベルの安全性能」という3つのテーマを軸に開発を進めました。

 しかし、経営危機が囁かれていた当時のホンダには、すべてを新規に開発する余力はありません。

 そこでホンダは、既存の車種をベースにしたクルマ作りを推進します。初代オデッセイを乗用車ライクな多人数乗りとするためにベースとして選んだのは、アコードでした。

 この選択は、先述した3つのテーマを具現化するだけでなく、開発や生産コストを削減するという点においても大きな意味があったのです。

■大ヒットを記録し、ホンダの救世主となった!

 初代オデッセイの大きな特徴として「ミニバンらしくない走りのよさ」が挙げられます。初代の開発時、オデッセイの走りに求めたのは、爽快な走りと、快適な乗り心地という要素をセダンと同じレベルで実現 することでした。

セダンからの乗り換えでも違和感のないドライビングを実現した初代「オデッセイ」セダンからの乗り換えでも違和感のないドライビングを実現した初代「オデッセイ」

 低重心かつロングホイールベースを基本に、4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションの採用などによって高水準のシャシバランスを実現。

 それまでのワンボックスベースのワゴンに比べて、カーブでのクルマの傾きや揺すられる感覚が極めて少なく、そのうえセダンをドライブしているような上質なハンドリングと快適な乗り心地が味わえました。

 搭載されたエンジンは、2.2リッター直列4気筒SOHCで、最高出力145馬力を発揮。多人数乗車や、荷物を満載した状況に配慮して、アクセルペダルの踏み込み量とスロットル開度の関係を見直すことで、ペダル踏み込み量が少ない領域であっても十分なトルク特性が得られるようチューニングが施されました。

 その後、マイナーチェンジで排気量は2.3リッターへ拡大され、さらに3リッターV型6気筒エンジン搭載車を追加することで、余裕ある走りを実現しました。

 ミニバンに求められる能力が高かったことも、初代オデッセイが支持された理由といえるでしょう。とくに3列あるシートのどこに座っても心地いいと感じられる空間作りに注力していました。

 FFレイアウトとしながら、床を低く設定することでワンボックスカーのような広さを確保し、6人、あるいは7人がゆったりと乗車でき、なおかつ目的に合わせてフレキシブルに対応できるよう多彩なシートアレンジも可能でした。

 5代目はスライドドアですが、初代から4代目まではヒンジ式のドアを採用。フロアの位置が他車よりも圧倒的に低かったことが功を奏して、ヒンジ式でも優れた乗降性を実現しました。

 こうした特徴に加え、エントリーグレードの「B」が179万5000円、最上級の「L」でも245万5000円という価格設定(登場時)が、家族のクルマとして多くの人に選ばれた要因でした。

※ ※ ※

 初代オデッセイは空前のヒットを記録し、当時、三菱の傘下になるのではと噂されたほど危機的状況だったホンダは救われました。

 しかし、近年は販売台数の伸び悩みは否めず、2021年をもって、生産工場である狭山製作所の閉鎖にあわせて国内向けの生産を終えました。

 かつて一世を風靡したオデッセイもニーズの変化にはあらがえず、歴史に幕を下ろしました。

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