ハイブリッド車なのに窓は手動! 令和のクルマにも採用されている「昔懐かし装備」3選
くるまのニュース / 2022年1月10日 16時10分
クルマの自動運転を見据え、さまざまな装備が自動化されていく中、相変わらずアナログな装備を採用したモデルがあります。そこで今回は、特に若いドライバーが使ったことがなさそうな装備が採用されているモデルを紹介します。
■「アクア」の窓は手で回して開ける
自動車は、自動運転化へのステップとして、アクセル、ブレーキ、ステアリングに加え、ヘッドライト点灯やワイパー作動など自動化が普及してきています。
トヨタ「アクア」
軽自動車でも電動パーキングブレーキの採用が進み、自動車の操作は年々楽になってきているのが現状です。
しかし、現行モデルでも昔ながらの装備が未だに採用されているモデルがあります。
今回は、黒電話のように最近の若いドライバーが実際に使ったことがほとんどないような、昔ながらの装備を採用しているモデルを紹介します。
●トヨタ「アクア」の手動のウインドウ
トヨタ「アクア」
トヨタのコンパクトカー「アクア」は、ハイブリッド専用車としてはトヨタで最も小さなモデルです。
初代アクアは、同じくハイブリッド専用車の「プリウス」人気を受け継ぎ、大ヒットモデルとなりました。
2代目となる現行アクアは2021年7月に登場。トヨタのコンパクトカー「ヤリス」や兄貴分の「カローラスポーツ」にもハイブリッドモデルがありますが、いずれもガソリンモデルもラインナップ。
それに対して、アクアはフルモデルチェンジしてもハイブリッド専用車を貫いています。
現行アクアの価格は198万円からとヤリスよりも高く設定されており、より質感の高いインテリアや先端機能が搭載されています。
例えば、カメラとソナーを利用して周囲を監視しながら、ステアリング・シフト・アクセル・ブレーキを自動的に制御し、駐車をボタン操作でおこなうといった先進機能がトヨタのコンパクトカーとして初採用されているグレードも設定されました。
そのようなアクアですが、エントリーグレードのBのリアドアには、軽自動車でも当たり前になっているパワーウインドウが装備されていません。その代わり、昔懐かしい手動タイプのウインドウが装備されています。
手動タイプのウインドウは開け閉めが面倒だったり、運転席から開閉できなかったりする不便がありますが、営業車や普段前席しか使わない人にとってはリアウインドウを開ける機会は少ないため、使わない機能を省いてその分安全機能などにコストに割り当てることは良い判断かと思います。
ちなみに、アクアの取扱説明書には、挟み込み防止機能やドアロック連動ドアガラス開閉機能など多機能なパワーウインドウの使い方の説明の記載はありますが、手動式のウインドウの使い方の説明は書かれていません。
カーシェアやレンタカーでアクアを借りた際、エントリーモデルのBに乗ることがあるかもしれませんので、念のため、手動式ウインドウの使い方を記載します。
ドアに付いているハンドルを回すことで窓を開けたり閉めたりできます。それだけのシンプルなものですが、クルマを借りた際など使ったことない方はぜひ一度お試しください。
■採用が減っている「ステッキ式」
●トヨタ「ハイエース」のステッキ式パーキングブレーキ
トヨタ「ハイエースバン スーパーGL」
トヨタ「ハイエース」は最も売れているワンボックス車であり、商用車としてはもちろん、ワゴン車としても人気があります。また、キャンピングカーのベース車両になるなどアウトドアニーズにもマッチするロングセラーモデルです。
このハイエースには、ステッキ式パーキングブレーキが採用されています。
通常のブレーキペダルとは別に設けられる駐車用のブレーキは、運転席の脇にあるレバーを手で引く「ハンドレバータイプ」をはじめ、AT車では、MT車のクラッチペダルの位置に配置されたペダルを足で操作する「足踏み式パーキングブレーキ」が普及してきました。
そして最近では、スイッチ操作や、駐車時に駐車用のブレーキが自動的にかかる「電動パーキングブレーキ」も増えてきています。
信号待ちなどで停車状態をキープできる電動パーキングブレーキは、軽自動車への採用も増えており、今後の駐車用ブレーキの主流になると考えられます。
このような流れの中、ハイエースには特に商用車などで多く採用されている「ステッキ式」が全車標準装備となっています。
フロント3人乗車を実現するためにハンドレバータイプは選択肢から外れ、MT車設定もあるため足踏み式も設定できないという理由もあり、駐車用ブレーキはステッキ式が採用されているわけです。
引っ越しなどで大きな荷物を運ぶ際などに、今後ハイエースのレンタカーを借りることがあるかもしれません。その時のために、念のためにステッキ式駐車ブレーキの使い方を記載します。
レバーを手前に引くと駐車ブレーキがかかり、レバーの裏側の解除ボタンを押しながら左に回し、レバーを奥まで戻すと駐車ブレーキが解除されます。
ちなみにライバルの日産「キャラバン」はAT車のみなので、足踏み式が採用されています。また、「NV350キャラバン」は5速MT車の設定があるため、ステッキ式も採用されています。
ハイエースの上級モデルである「グランエース」はAT車のみですが、足踏み式ではなく、ハンドレバータイプが採用されています。
時流的には、電動パーキングブレーキが採用されても良さそう気もしますが、次のハイエースはどのような形式のパーキングブレーキが採用されるか、気になるところです。
■そういえば見なくなった「フェンダーミラー」
●トヨタ「JPNタクシー」のフェンダーミラー
トヨタ「JPNタクシー匠」
トヨタ「JPNタクシー」は「クラウンコンフォート」や「コンフォート」の後継として登場したタクシー向けのモデルです。一般ユーザーも338万円からで購入できますが、実際はほぼタクシーで使われています。
日産の「クルー」「NV200タクシー」といったライバル車の販売が終了してしまった現在、日本メーカーでタクシー向けに供給されている唯一のモデルが、このJPNタクシーです。
JPNタクシーはハイブリッド車ですが、燃料はガソリンや軽油ではなくLPG(液化石油ガス)を使用します。そのため、街中を巡回するようなタクシーにはぴったりですが、一般ユーザーが長距離旅行をする際はLPGのスタンドを出先で探さねばならず、そういった面からもタクシーユースがメインとなっています。
このJPNタクシーで特徴的なのが、フェンダーミラーです。
近年の乗用車はほぼドアミラーが採用され、次世代タイプとしてカメラとモニターを組み合わせた電子式のサイドミラーがレクサス「ES」やホンダ「e」などで採用されています。
そのような中、JPNタクシーはドアミラーではなく、全車ともフェンダーミラーとなっています。
フェンダーミラーの主なメリットは、車両の前方を見たまま側方の状況を確認できる点や、降雨や降雪時でもワイパーで拭き取られたフロントウインドウの先のクリアな視界の先にミラーがあるため、年中安定した視界を確保できる点が挙げられます。
また、フェンダーミラーは車両の前方に設置されているので、ドアミラーでは死角となるドアミラーより前の側面も映し出してくれます。
ドアミラーより車両側方への飛び出し量を小さくできるため、狭い路地などでのすれ違いなどで利便性が高い点もメリットです。
一方、現在主流のドアミラーは取って付けたような違和感がなく、車両と一体感のあるすっきりとしたデザインに仕上げられるうえ、運転者からより近い位置にミラーがあるので、大きくはっきり側方の様子を確認できます。
商用車ゆえに、デザインよりも視界の確保を優先するという点からフェンダーミラーを採用している理由もありますが、個人タクシーなどでドアミラーのタクシーを運転しているドライバーに話を聞くと「車線変更の度に助手席のお客さまをチラチラ見ているように思われるので、フェンダーミラーの方が良いんだよね」とのことでした。
助手席に座る乗客への配慮からも、タクシーとしてはフェンダーミラーが最適解であるということになったのでしょう。
古いクルマを購入しない限り、若いドライバーがフェンダーミラー車を運転することは稀だと思います。もし、タクシーの助手席に乗る機会があればフェンダーミラーでどのような視界が確保されているのかチェックしてみるとおもしろいかもしれません。
※ ※ ※
自動化、電動化の流れは今後も加速し、その他の装備も電子化されていくかと思います。しかし、安全装備が充実してくると車両価格もアップしてしまい、クルマが買いにくくなっていく点は否めません。
そのため、コストダウンの一環として、防眩切り替えのないルームミラーや後席の手動ウインドウのように、あまり使わない機能については手動のまま残していくのも一つの方法かもしれません。
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