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見た目だけで判断しないで! 機能と美学をまとったクルマのこだわり塗装モデル5選

くるまのニュース / 2022年1月10日 11時50分

クルマがまとうボディカラーは、単なる見た目以上に、機能や美しさ、仕上がりへのこだわりを追求して塗装されたモデルが多くあります。今回はそのような「こだわり塗装モデル」を紹介します。

■熱くなりにくい塗装

 クルマを選ぶ要素としてスタイリングは重要ですが、スタイリングを引き立てて、クルマをよりかっこ良く演出する要素としてボディカラーも大切です。

 そのため自動車メーカーは、カラーのバリエーションをただ増やすだけではなく、塗装に特徴を持たせたクルマもラインナップしています。今回はそのような塗装にこだわったクルマを紹介します。

●トヨタ「プリウス」:熱くなりにくい「サーモテクトライムグリーン」

トヨタ4代目「プリウス」に採用されたカラー「サーモテクトライムグリーン」トヨタ4代目「プリウス」に採用されたカラー「サーモテクトライムグリーン」

 トヨタのHV(ハイブリッド車)である「プリウス」は、2015年に4代目モデルが登場しました。

 HVモデルが増える中でプリウスへの注目度が相対的に低下しているためか、新型プリウスには斬新なデザインや数々の先進安全装備が採用されましたが、塗装も例外ではありませんでした。

 このとき世界初の塗装として加わったのが、遮熱機能を持った「サーモテクトライムグリーン」です。

 効果は、同色系のイエローグリーンと比べると表面温度で5度程度の差が出るとのこと。ちなみに、ライムグリーンという名前ですが、見た目は少し青系の蛍光イエローのような色味です。

 通常の塗料は、色に深みを出す際にカーボンを使うことが多いですが、サーモテクトライムグリーンはチタンを使っています。熱を吸収するカーボンではなく熱を反射するチタンを使い、遮熱の機能を持たせたわけです。

 なお、他の色でもチタンで同様の効果を出せますが、色味によって遮熱効果が小さくなることが分かり、効果が高いサーモテクトライムグリーンにチタンを採用したとのことでした。

 サーモテクトライムグリーンは、プリウスのほかにも、初代「アクア」や「ヤリス」にも採用されています。

 しかし、かなり個性的なカラーであったためか、プリウスはマイナーチェンジ後に廃止され、2021年にフルモデルチェンジした現行の2代目アクアも設定されなかったことを考えると、今後の展開は厳しい状況のようです。

 毎年猛暑が当たり前となってきている現在、オーソドックスなサーモテクトカラーの登場も期待したいところです。

●トヨタ「センチュリー」:別次元の美しさを実現した最高級「7層塗装」

トヨタ3代目「センチュリー」トヨタ3代目「センチュリー」

 トヨタブランドの最高峰モデルである「センチュリー」は、2018年に21年ぶりにフルモデルチェンジしました。

 センチュリーはオーナードライバー向けではなく、要人や企業の重役を乗せるために開発されたショーファードリブンです。

 そのため、高級車の中でもさらにその品質を極めたモデルに仕上げられています。塗装も一般的な工程とは異なるこだわりの塗装がおこなわれています。

 一般的なモデルの塗装は3層から4層ですが、センチュリーの塗装はなんと7層。そして、3度水研ぎし、バフ研磨し、鏡のような仕上がりとなっています。

 なお、設定されているカラーは「神威(かむい)エターナルブラック」「摩周シリーンブルーマイカ」「飛鳥ブラッキッシュレッドマイカ」「精華レイディエントシルバーメタリック」の4種類で、名称にもこだわりが感じられます。

 塗装になんと約40時間も要しているというセンチュリーを見る機会があれば、自分の姿を高品質塗装のボディに映してその仕上がりを堪能してみてください。

■日常使用の傷は自己修復

●日産「ローレル」:光沢が長続きする「スーパーファインコーティング」

日産6代目「ローレル」日産6代目「ローレル」

 1989年1月に発売された日産6代目「ローレル」は、「スカイライン」「セフィーロ」との3兄弟で、トヨタの「マークII」「クレスタ」「チェイサー」を迎え撃つためのさまざまな高級感を演出する装備が用意されていました。

 そしてそのこだわりは、塗装にも反映されています。

 フッ素系樹脂を塗装表面にプラスすることで、塗装の光沢を維持してくれるという「スーパーファインコーティング」(SFC)が初採用されたのです。

 その効果は、水はじきが良く、汚れが落としやすく、光沢が長持ちし、洗車の傷が付きにくいというユーザーにとって理想的なものでした。

 ちなみに、アクリルウレタン塗料は約5年、アクリルシリコン塗料は約10年で光沢が約20%も減少してしまうとのこと。一方でSFCは20年たっても光沢が90%保持されているとのことで好評となり、他の日産車にも展開されました。また、その後「スーパーファインハードコート」(SFHC)へ進化しました。

●日産「エクストレイル」:傷が付いても復元する「スクラッチシールド(スクラッチガードコート)」

日産2代目「エクストレイル」日産2代目「エクストレイル」

 2000年発売の日産「エクストレイル」は、悪路走行もこなしながら乗用車ライクな使い方をメインとする仕様で登場したSUVです。

 このエクストレイルには、2005年12月に世界初となる塗装が採用されました。細かなすり傷が付いても復元する「スクラッチガード」です。特別仕様車「スクラッチガードエディション」が設定され、カラーは「ダイヤモンドブラック」1色のみが用意されました。

 その後、2007年に登場した2代目エクストレイルには、スクラッチガードが進化した「スクラッチシールド」が、ブラック以外の全色に標準採用されました。

 また、「フーガ」や「シーマ」「スカイライン」「フェアレディZ」などさまざまな上級モデルに採用が進みました。

 それまでは、特に黒いボディカラーは洗車の傷が目立ちやすく、また、雑草などをかき分けて進むような道だと塗装面の細かな傷などは悪路走行の代償として諦めざるを得ないのが常識でした。

 しかし、軟質樹脂配合のクリヤー塗装で実現したスクラッチガードやスクラッチシールドにより、洗車によるすり傷、日常使用での引っかき傷程度なら、時間がたてば復元してくれるようになりました。

 また、一般のクリヤー塗装と比べ傷が付きにくくなったことで、水はじきも良く、ツヤや光沢が持続する点も魅力です。

 なお、トヨタ車やレクサス車でも、自己修復性耐すり傷塗装の「セルフリストアリングコート」が設定されているモデルが増えています。

 もちろんこれらは、硬貨で傷を付けられたなどクリヤー塗装が剥がれるような深い傷や、クリヤー塗装自体が切断された場合は復元できないこともあります。

■職人技のような深みのある赤が、企業を象徴する色に

●マツダ車:職人技の仕上がりが映える「匠塗 TAKUMINURI」

マツダ3代目「アテンザ」マツダ3代目「アテンザ」

 マツダ車といえば、最近は輝きが一味違うボディカラー「ソウルレッド」を思い浮かべる人も多いと思います。

 このソウルレッドは、これまでの塗装とは一線を画した、職人の手塗りに匹敵するかのような質感を量産化することに成功した「匠塗 TAKUMINURI」によるものです。

 職人の場合は、塗った結果を見て何度も微妙な調整をしながら塗り重ね、相当な時間をかけて仕上げていきます。

 匠塗は、職人が何を感じて、何を調整しているのかを分析し、それをロボットの軌跡に置き換えて、シミュレーションによる膜厚分布を何度も取りながら最適化して完成させています。

 その匠塗で初めて実現できたのが、2012年に3代目「アテンザ」とともに登場した「ソウルレッドプレミアムメタリック」です。その後、初代「CX-5」などの多くのマツダ車に展開され、マツダ車のイメージカラーとなりました。

 従来の3コートのマイカ塗装では、ボディの上にソリッドカラーが塗装され、2層目に反射層(マイカ)、そして表面にクリア(透明)が塗装されていました。

 ソウルレッドプレミアムメタリックは同じ3コートですが、ボディの上に高輝度のアルミフレークを規則正しく配置し、2層目に光を受けて鮮やかに発色する半透明のカラー層を塗装、そしてその上にクリア層を塗装しています。

 これによって、1層目のアルミフレークに反射した光が、2層目のカラー層で鮮やかに発色し、光の反射がないときは1層目と2層目の赤が重なり、深みある赤を表現しています。こういった新たな塗装構成がこれまでの赤とは違う豊かな表情の変化を実現しているわけです。

 そして、2017年に2代目「CX-5」が登場した際に、さらに深化して登場したのが「ソウルレッドクリスタルメタリック」です。

 この新しいクリスタルメタリックは、従来のプレミアムメタリックと比較して、彩度が約2割、深みが約5割増し、より透明感のある艶やかで深みのあるカラーとなっています。

 透過層には、新開発の高彩度な赤色の顔料を用いることで、赤色をよりピュアに発色させています。また反射層には、極薄の高輝度アルミフレークに加えて、光を吸収してシェードの濃さを強める光吸収フレークを採用することで、従来は2層必要だった深みの表現を1層で実現しています。

 また、アルミフレークのサイズを均一化するとともに、塗装の精度向上と乾燥工程で塗膜の体積を収縮させる手法により、アルミフレークと光吸収フレークのボディ面への均等かつ平滑な分布を実現し、より緻密に光の反射をコントロールしています。

 これにより、ハイライトの鮮やかさとシェードの深みが大幅に向上しています。そして、この新しいソウルレッドも順次マツダの各モデルに展開されています。

 なお、匠塗はソウルレッドのほか、ガンメタリックカラーの「マシーングレープレミアムメタリック」も用意されており、マツダこだわりの「魂動デザイン」と相まってマツダ車の美しさを引き立てています。

※ ※ ※

 クルマのカラー選びは、中古車として売却するときを意識してブラックやホワイトを選ぶ考え方もありますが、そのモデルの開発者の強い思いを形にしたこだわりのカラーにするという選択肢もあります。

 いずれにしても、クルマの塗装の魅力は、カタログだけでは完全に分からないことも多いため、購入を考える際は実車でその色の魅力を感じて選べば間違いないと思います。

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