なぜクルマの「タコメーター」はタコと呼ぶ? 8本足の蛸と関係アリ? 予想外な語源とは
くるまのニュース / 2022年1月28日 9時10分
エンジンの回転数を示す「タコメーター」の「タコ」とはどのような意味があるのでしょうか。日本人がタコと聞けば「蛸」や「凧」をイメージしますが、タコメーターの語源を紐解きます。
■そういえば「タコ」ってなに?深い「タコメーター」の名前の由来
一部のクルマには、エンジンの回転数を示す「タコメーター」と呼ばれるものが搭載されています。
普段、何気なく目にするタコメーターですが、そもそも「タコ」とは一体何のことなのでしょうか。
クルマには、「速度計(スピードメーター)」「燃料計」「水温計」などのメーター類が搭載されていますが、スピードメーターと並んで目にする機会が多いのが「エンジン回転計(タコメーター)」です。
エンジンの回転数を確認することが主な役割ですが、近年は比較的安価なモデルやハイブリッド車には搭載されない場合があり、一方、MT車には搭載されているケースが多く見られます。
これは、MT車では回転数に応じたシフトチェンジを手動でおこなうことが求められるため、エンジンの回転数を視覚的に確認できるタコメーターが、ドライバーにとって必要不可欠な存在であるからです。
また、スポーツカーはエンジンの出力をフルに活用するために、運転中にエンジンの回転数がどれほどなのかを知る必要があり、そのためにも重要なメーターとなっています。
このように、多くのドライバーにとって重要なタコメーターですが、そもそも「タコ」という名前の由来について知っている人はそれほど多くはありません。
英語のようにも思えませんし、海にいる「タコ(蛸)」であるとも思えませんが、いったい「タコ」とはなんなのでしょうか。
クルマのメーターやセンサー関連の開発・製造などをおこなう日本精機の担当者は「タコ」の由来について「『速度』という意味の古代ギリシャ語が語源とされています」と説明します。
古代ギリシャ語で「速度」は「TAXOS(タコス/機種依存文字のため英語表記)」とされており、それが英語に転じたさいに「tacho」となったと考えられますが、そもそも古代ギリシャ語の「タコス」が語源となった背景には、タコメーター誕生の歴史が深く関係しているようです。
諸説はあるものの、タコメーターの起源は1810年頃とされています。
当時は、クルマのエンジン回転数を測るためのものではなく、あくまでも「あらゆるものの回転数を測るもの」として誕生しました。
そんなタコメーターが活用されるようになったのは、鉄道が発達したためと考えられます。
当時の主要な移動手段は、徒歩や馬を利用したスローペースのものがほとんどで、そもそも現在ほどの長距離移動はあまり多く見られませんでした。
そのため、なにかの速度を測ったり、速度から所要時間や移動距離を算出するということ自体があまり一般的ではありませんでした。
ただ、1800年代初頭に機関車が発達しはじめたことで、以前にはなかった高速での移動が可能となり、目的地までの所要時間を測ったり、速度を計算したり必要が出てきたと考えられます。
そこで1840年頃から、タコメーターが機関車の速度を測るためのものとして用いられるようになりました。
蒸気機関の車輪回転数を計測することで速度も算出できるためタコメーターが重宝されることになります。
このことを考慮すると、タコメーターは現在イメージされているように、「エンジンの回転数を測るもの」ではなく、当時は「速度を測るもの」、つまりスピードメーターと同義であることがわかります。
したがって、“速度”の意味をもつ“タコス”が語源になったことも納得できます。
■速度の意味を持つ「タコ」 スピード(speed)ではだめなの?
一方で、“速度”を表す英単語として、多くの人がイメージするのは「speed(スピード)」という単語です。
では、なぜ当時のタコメーターは、スピードメーターとは呼ばれなかったのでしょうか。
タコは速度を表すけど…「スピードメーター」とは何が違う?
実は、現在の意味での「speed」という言葉が用いられるようになってからの歴史は意外と浅く、確認できる限りでは1879年が初出となっています。つまり、タコメーターの登場から半世紀以上も後のことになります。
前述の通り、当時は速度という概念自体があまり一般的ではなく、学術的な専門用語という位置付けであったと考えられます。
現在でもその文化は残っていますが、学術用語では古代ギリシャ語(ラテン語)を用いるのが一般的であり、その理由のひとつは「現在進行系で使われ方や言葉の意味が変わることが少ないため」とされています。
その後、鉄道や自動車の発達とともに、速度という概念が一般化したことで、より多くの人が理解しやすい「speed」という単語が用いられるようになったといわれています。
つまり、タコメーターの「タコ」とは、古代ギリシャ語の「タコス(速度)」が転じたものであり、古代ギリシャ語の「タコス」が用いられるようになったのは、当時は「速度」という概念自体が専門的なものであったことから、慣習にしたがって古代ギリシャ語が用いられたということのようです。
※ ※ ※
クルマ関連の用語には、その語源を調べてみるとおもしろいものが多くあります。
例えば、「クラクション」は和製英語であり、英語では「ホーン(horn)」と呼ぶのが一般的です。
では、「クラクション」とはなにかというと、かつてクラクション(ホーン)のメーカーであった「クラクソン」という会社名が転じたものといわれています。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
世界初の量産ハイブリッド車誕生から25周年! 21世紀に間に合ったトヨタ初代「プリウス」の偉業とは
くるまのニュース / 2022年5月23日 21時10分
-
打倒「プリウス」を目指したホンダの「意地」で誕生!? ストイックすぎるハイブリッド車、初代「インサイト」とは
くるまのニュース / 2022年5月22日 16時10分
-
クルマとバイクで異なる「鼓動」の世界とは? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.140~
バイクのニュース / 2022年5月4日 17時0分
-
燃費の測り方じつは間違っているかも!? 燃費を正しく計測する方法と運転時の注意点3つをご紹介
MōTA / 2022年4月26日 17時0分
-
405馬力に「オラワクワクすっぞ!」日産新型「フェアレディZ」価格&詳細発表! 新「Z」は何がスゴいのか
くるまのニュース / 2022年4月25日 14時10分
ランキング
-
1「お金をかけなくても学力は伸びる」高学歴家庭の会話によく登場する"接続詞"2つ
プレジデントオンライン / 2022年5月24日 8時15分
-
2独学で取得できる「有効」な資格、2位「宅地建物取引士」、1位は?
マイナビニュース / 2022年5月24日 7時54分
-
3英語で「どっちもどっち」はなんて言う?
OTONA SALONE / 2022年5月23日 7時0分
-
4布団を干さないと何が起こる?「正しい」布団の干し方&収納法を睡眠に詳しい医師に聞いた
オールアバウト / 2022年5月17日 20時15分
-
5高田馬場駅から30秒、立ち食いそばの老舗でサヨナラの一杯を…創業46年「吉田屋そば店」女将が語る“閉店までの日々”
文春オンライン / 2022年5月24日 11時0分
ミッション中・・・
記事を最後まで読む

ミッション中・・・
記事を最後まで読む

記事を最後まで読む
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
