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なぜ「8ナンバー」の条件変わった? 軽キャンパーに恩恵アリ! 構造要件が大幅緩和された理由とは

くるまのニュース / 2022年4月27日 9時10分

2022年4月1日に「キャンピング車の構造要件」大きく改正されました。これによりこれまで「8ナンバー」が取得しづらかった軽キャンパーが増加すると予想されます。

■なぜイマ? 8ナンバー登録がしやすくなった!

 2022年4月1日に緊急車両やキャンピングカーなどが区分される「8ナンバー登録」において、キャンピングカー登録のための構造要件が緩和されました。
 
 なぜこのタイミングで構造要件が緩和されたのでしょうか。

 近年、軽1BOX車をベースにしたキャンピングカーに注目が集まっています。

 それらの主流は特種(とくだね)用途の8ナンバー登録をせずに使用する簡易装備タイプで主な目的は車中泊であることが多いようです。

 倒したシートの上に平らになるボードを置いてベッドスペースを作り、簡単な収納スペースを備える仕様です。

 所有する軽1BOX+20-30万円以下で車中泊仕様にすることができるため、キャンピングカーの入門車としても人気を集めています。

 価格の安さや現在の軽をそのまま利用できてナンバー変更も不要という手軽さで人気ですが、その一方で、これまで軽1BOX車では「8ナンバー登録」がしづらい実情もありました。

 キャンピングカーとして登録するための構造要件(就寝定員や室内高など)を満たすのが困難という事情です。

 しかし、この構造要件が2022年4月1日から大きく改正されました。

 同年3月1日に公布され、4月1日に施行となった「キャンピング車の構造要件」において、とくに軽1BOX車やコンパクトサイズのミニバンなどをベースとするキャンピングカーにおいて画期的な改定がおこなわれたのです。

 ところでなぜ、このタイミングでキャンピングカー登録のための構造要件が緩和されたのでしょうか。

 それを知るには1990年代の構造要件にまで遡る必要があります。

 当時は8ナンバー登録のための構造要件はかなり緩く、また税金面や車検期間においても8ナンバー車への優遇が大きい時代でした。

 そこで、排気量の大きなアメリカ車や国産の大型SUVなどを中心に、キャンピングカーや放送宣伝車として8ナンバーを取得するクルマが急増しました。

 キャンピング車として登録されたクルマは1991年度末には2万9353台だったの2000年度末には33万1935台まで増加(11.3倍)、同じく放送宣伝車も4622台⇒6万5583台と約14倍に急増しました。

 それらのなかには「車検のときにだけ構造要件を満たす装備をつけて車検が終わったら外して普通に通勤などに使う」という8ナンバー車も少なからず存在していました。

 8ナンバー車として認証を受けている以上、キャンピングカーとして使用せず装備を外して普通車と同じように使うことは道路運送車両法違反になります。

 車検や税制面での優遇が大きかったことから、これら不正に取得された8ナンバー車を排除するため放送宣伝車やキャンピング車の構造要件は設備の取り付け方法や室内高の規定なども厳格化されることになりました。

 2001年10月に発表され、2003年4月1日から施行となったのが2022年3月末まで適用されていた構造要件です。同時に対象となる8ナンバー車の税金などのシステムも改正されました。

 管轄する国土交通省自動車整備局になぜ、このタイミングで構造要件を改正するに至ったのかを聞いてみました。

「不正取得を防止するために2001年に改正された構造要件は大きなキャンピングカーを想定したものでした。

 しかし、この20年でキャンピングカーの使われ方やベースとなる車種にもさまざまな変化があり、軽自動車などコンパクトな車両も増え、都市圏に住む人達が自然のなかでゆっくり過ごしたい…というケースも増えました。

 そこで、今回の改正ではこれまで8ナンバー登録の構造要件を満たすことが難しかった軽自動車など小さめの車両を想定して、就寝定員や室内高など構造要件を緩和することになりました」

 また、今回の構造要件改正は軽キャンパーオーナーからも要望があったといい、キャンピングカー製造業者は次のように説明しています。

「車検のたびにキャンプ装備を外して受けるケースもあるのですが、これは厳密にいうと二次架装として違法改造になります。

 そこで、お客さん側からも『堂々と8ナンバー登録して乗りたい、使いたい』という要望が多くありました。

 今回の改正で軽ワゴン車でも構造要件を満たすことが可能になったので8ナンバーのキャンピングカーとして安全に乗っていただくことが可能になります」

■8ナンバーの構造要件が大幅緩和…何が変わった? 

 具体的に旧要件と新要件を比較してみましょう。

 ●就寝定員
 旧:乗車定員の3分の1(小数点以下切り上げ) 
 乗車定員4名なら4÷3=1.3333⇒2名

 新:乗車定員の3分の1(小数点以下切り捨て)
 乗車定員4名なら4÷3=1.3333⇒1名

 定員の数え方は旧・新ともに「乗車定員の3分の1」に変わりはないのですが、小数点以下の数字の扱いが変わりました。

 改定後は小数点以下が切り捨てとなるため、乗車定員4名なら4÷3=1.3333 小数点以下切捨てなので1名分の就寝スペース(50×180cm)が確保できれば構造要件を満たします。

 また旧要件には「乗車定員3名以下の場合は『2名』の大人用就寝設備を有すること」という要件がありましたがこれも新要件では乗車定員3名以下の場合の就寝定員は「1名」で良いことになりました。

 つまり、定員2名の軽貨物車をベースにしたキャンピングカーも旧要件では2名分の就寝スペースが必要でしたが、1名分で良いことになります。

 なお、就寝定員1名分(大人)の就寝スペースは180×50cm、子ども1名分は120cm×40cm でこれがふたつあれば大人就寝定員の1名分と数えることができます。

 就寝設備として認められるベッドは平面かつ、就寝専用の装備であることが条件なので、座席をフルフラットにしてそのままベッドとして使う場合や、座席の上に簡易なマットなどを置いて使う場合などは就寝設備としては認められません。

座面からシンクまでの高さを示した図面(提供:一般社団法人日本RV協会 )座面からシンクまでの高さを示した図面(提供:一般社団法人日本RV協会 )

 就寝定員の緩和に加えてもうひと一つ、大きな改正があります。それは、室内高の規定です。

 ●室内高(洗面台や炊事設備部分)

 旧:洗面台や調理台を利用するスペースの室内高は床面から上に160cm以上を確保

 新:洗面台や炊事設備調理台の上面が床面から上方に85cm以下(JIS規格)であれば120cm以上を確保

 旧要件では160cm以上が必要であった水回り部分の室内高が120cm以上に緩和されました。

 ただし、120cmで良いのはシンクや洗面台の高さがJIS規格となる85cm以下である場合に限られます。

 室内高が40cmも低くなったことでこれまではハイルーフじゃないと難しかった室内高160cmの確保がノーマルルーフでも可能になるため、8ナンバー登録をおこなうキャンピングカーのベース車両に選択肢が増えることになります。

※ ※ ※

 現在は8ナンバー登録による税金や維持費のメリットは以前に比べて少なくなりました。

 しかし、構造要件が大幅に緩和されたことで今後は8ナンバー登録の軽キャンピングカーが増えていきそうです。

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