オールシーズンタイヤってぶっちゃけどうなの? 1年半愛車に装着してわかったホンネの○と×とは
くるまのニュース / 2022年5月4日 16時10分
最近ではほとんどのタイヤメーカーから販売されているのが「オールシーズンタイヤ」です。春夏秋のドライ/ウエット路と冬のスノー路で走行できるといいますが、実際はどうなのでしょうか。タイヤのことを日本一知っているモータージャーナリストが、自分のクルマに1年半装着してみました。
■都会のマンションに住む人にはメリットが大きい
オールシーズンタイヤがいま、静かなブームになっています。
一度オールシーズンタイヤを履くと、その便利さについつい甘えてしまう、というユーザーが徐々に増えているそうです。
じつは筆者も2020年12月から自分のクルマにオールシーズンタイヤを履いています。そのメリット、デメリットを自分で体験したかったからです。すでに夏は1シーズン、冬は2シーズン過ごし、間も無く走行距離は2万kmになります。
ちなみに筆者のクルマはBMW「320i」(G20型)。装着したオールシーズンタイヤはミシュラン「クロスクライメート+ZP」で、タイヤサイズは225/50R17 98W XLになります。
BMWはランフラットタイヤが標準装着なので、オールシーズンタイヤもランフラットタイヤにしました。クロスクライメート+にはZP(ゼロプレッシャー)という表記されるランフラットタイヤが用意してあります。
また、クロスクライメート+からさらに進化したクロスクライメート2が2021年冬に発売になっています。
※ ※ ※
自分のクルマに装着して1年半。そこでわかった真実を書いておきます。
それまで冬の始まりにスタッドレスタイヤに交換し、春先に夏タイヤに交換するという手間がかからなくなったことは大きいです。いつのタイミングで交換するか、日程調整をしなくてもいいのは気が楽です。
また冬の間は夏タイヤを預かってもらい、夏の間はスタッドレスタイヤを預かってもらう費用がかからなくなります。もちろん自宅にガレージや物置がある人はそこに置いておけばいいのですが、それでも4本のタイヤが占めるスペースは大きいです。スタッドレス用のホイールを別に買わなくても済むことも経費節減になります。
メリットがたくさんあるオールシーズンタイヤですが、非降雪地帯(雪が降らない地域)のユーザーには適していますが、雪国での使用には合わないと思います。それは雪上グリップと氷上グリップは、スタッドレスタイヤのほうが上だからです。日本の厳しい雪国の環境をクルマで走るには、やはりスタッドレスタイヤが一番いいと思います。
非降雪地帯のユーザーがスキーやスノボに出かけるとか、年に何回か降る雪のときに走らなければならない人に向いているのがオールシーズンタイヤです。
実際に筆者は冬のシーズンは何回か雪道を走り、蓼科の女神湖で凍った湖面も走りました。とくに氷上では、確かにスタッドレスタイヤよりグリップ限界は低いのですが、それでもなんとか走ることができます。
■オールシーズンに対する評価はドライバー自身の経験値でも変わる!?
雪が降る中で信号待ちというケースもありました。そこが少し上り坂で、その途中で止らなければならないときは、下がアイスバーンではなく圧雪の場所で止めるようにします。そうすると発進も楽にできます。
長野県・女神湖の氷上を走行。スタッドレスタイヤよりグリップ限界は低いが、それでもなんとか走ることができた
雪が積もった山道でも、路面の状態を読みながら走れれば、スタッドレスタイヤよりグリップが弱くても走ることができます。滑りそうな場面では、アクセルもブレーキもハンドルも丁寧に操作すれば安心して走行できます。
雪とその下がアイスバーンの上り坂で上れなくなった場合は、チェーン代わりに装着が簡単な「オートソック」などの布製チェーンを付ければ走れます。布製チェーンは軽くてかさばらないため、常に荷室に置いておくと安心です。
ほとんどのオールシーズンタイヤにはスノーフレークマークが付いていますから、高速道路の規制でもスタッドレスタイヤと同じ扱いで走れます。
2022年4月1日の朝、群馬県軽井沢のホテルで目が覚めたら、昨夜からの雪が積もっていました。
もう都会に住む人のほとんどが夏タイヤに換えてしまう時期でしたから、焦った人も多かったでしょう。でもオールシーズンタイヤを装着していたので何の問題もなく走れました。
夏季は夏タイヤのドライグリップのほうが優るのも事実です。ハイスピードで走る高速道路では、ハンドルのニュートラル付近の締まり感は夏タイヤのほうが良く、オールシーズンタイヤはやや弾性が感じられます。それでも筆者が装着したオールシーズンタイヤは平均的な夏タイヤレベルだったので悪くはなかったです。
また山道に出かけてワインディングロードを飛ばして走ろうと思うと、ガチッという強いグリップではないので少々もの足りなさを感じます。それでもグリップの変化は穏やかで、グリップ限界付近でも粘りがあるので扱いやすいです。
※ ※ ※
オールシーズンタイヤをどう評価するかは、ドライバーそれぞれのスキルや立場、ライフスタイルによって変わるかもしれません。
夏は夏タイヤ、冬はスタッドレスタイヤにはかないませんが、毎日の走行でグリップ限界をフルに使って運転することはそうそうないと思います。ごく普通に流れに乗って走るぶんにはオールシーズンタイヤで夏も冬もまったく余裕を持って走れます。
ビギナードライバーが初めて冬道を走るときに、雪道が怖いというならスタッドレスタイヤのほうが安全だと思いますが、ある程度経験があるドライバーならオールシーズンタイヤでも問題なく走れるでしょう。
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