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ガソリン高騰でナゼ国会議員は誰も追求しない!? 「ガソリン二重課税」の大いなる問題とは

くるまのニュース / 2022年5月9日 9時10分

ガソリン価格の高騰が続いています。2022年4月25日時点でのガソリン店頭小売価格調査では、レギュラーガソリン1リッターあたり172.8円。3周連続値下がりしたとはいえ、それでも高止まりしています。政府は石油元売企業に対する補助金を続けて価格の抑制を図っていますが、そもそも、ガソリン税にさらに消費税が加わる「二重課税」そのことが問題だといいます。この二重課税とはどんなものなのでしょうか。

■ガソリン税に消費税がかけられる「Tax on Tax」

 ガソリン価格の高止まりが続いています。

 2020年5月、コロナ禍の拡大による景気の先行き不安から、124.8円(レギュラーガソリン1リッターあたり全国平均/石油情報センター調べ。以下同)まで値下がりしたガソリン価格は、その後しばらく133円から135円程度で推移します。

 しかし同年10月からは値上がりに転じ、約1年後の2021年10月には160円台まで上昇を続け、2022年1月24日には170.2円と、ついに170円台に到達することとなります。

 政府は、このガソリン価格の高騰が国民生活や経済活動への影響を最小化するための「激変緩和措置」として、同年1月27日から「170円以上」になった場合、1リッターあたり最大5円の「ガソリン補助金」を、3月末まで石油元売り各社に支給することを決定しました。

 しかしウクライナ情勢などで不安定が見込まれるエネルギー供給を背景に、ガソリン価格はさらに上昇。これを受け政府は3月10日から最大補助額を同25円に改定し、期間を4月末まで延長しました。さらに4月28日からは同35円とし、期間も9月末までという長期にわたるものとし、事実上「税金によるガソリン価格維持政策」となっています。

 この事態にクルマの利用者から上がっているのが、「税金を原資に石油元売り各社に補助金を出すくらいだったら、ガソリンにかかっている税金そのものを減税してほしい」という声です。

 では、そもそもガソリンにはどういった税金がかかっているのでしょうか。

 ガソリンには「揮発油税」「地方揮発油税」の合計(通称:ガソリン税)として、1リッターあたり53.8円が課されています(原油そのものにかかる税金等除く)。

 つまりガソリンを給油する場合、ガソリンそのものの価格にこのガソリン税を加えたものが「消費税抜きガソリン価格」となり、さらにこれに「消費税10%」を上乗せしたものが、ガソリンスタンドでの販売価格となります。

 ここで違和感があるのは、税金であるガソリン税にさらに消費税が加わり、“二重課税”となっていることです。消費税はあくまで「モノの購入やサービスの利用にかかる」と思っている消費者には、とても理解しがたい状況と言えるでしょう。

■一方、軽油の税金はどうなっているのか?

 一方、ディーゼル車の燃料である軽油についてはどうでしょうか。

税法上、日本ではガソリンよりも軽油は安く販売されるが、海外では逆に軽油の方がガソリンよりも高い国もある税法上、日本ではガソリンよりも軽油は安く販売されるが、海外では逆に軽油の方がガソリンよりも高い国もある

 軽油もガソリン同様に販売価格に税金が含まれ、その内訳は軽油1リッターあたり軽油引取税32.1円です(原油そのものにかかる税金等除く)。

 ところが軽油を給油する場合、消費税がかかるのは軽油引取税を除く軽油の本体部分のみとなり、二重課税は発生しません。

 このガソリンと軽油の消費税課税における違いは、何に由来するものなのでしょうか。

 この疑問に、国税庁は公式サイトの「タックスアンサー(よくある税の質問)」で、以下のように回答しています。

「消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額には、酒税、たばこ税、揮発油税、石油石炭税、石油ガス税などが含まれます。これは、酒税やたばこ税などの個別消費税は、メーカーなどが納税義務者となって負担する税金であり、その販売価額の一部を構成しているので、課税標準に含まれるとされているものです」

「これに対して、入湯税、ゴルフ場利用税、軽油引取税などは、利用者などが納税義務者となっているものですから、(中略)課税資産の譲渡等の対価の額には含まれないことになります」

 つまり簡単にまとめると、「揮発油税(ガソリン税)は事業者が払うものなので、消費税の対象になる」「軽油引取税は利用者が払うものなので、消費税の対象にはならない」という主張です。

 たしかに理屈の上ではそうなっているのかもしれませんが、ガソリン税も軽油引取税も、「最終的には本体価格に上乗せされ、利用者が負担する」という構造は同じである以上、すんなり納得できる説明ではないでしょう。

 うがった見方をすれば、産業用の利用が多い軽油については業界に配慮して二重課税とせず、取りやすい個人からは消費税も上乗せして徴収しているとも考えられます。

 ガソリンや軽油にかかる税金については、かつての「暫定税率」であり、現在は「当分の間税率」とされている、リッターあたり25.1円(ガソリン)/同17.1円(軽油)の上乗せ税の問題もあります。

 ガソリン価格高騰が国民生活や経済活動に与える影響を最小化するなら、補助金といった奇策ではなく、まずはこの二重課税の問題をクリアし、さらには「トリガー条項」をもとに当分の間暫定税率を停止するなど、正々堂々とした政策を望みたいところです。

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