高性能化がイッキに加速! 1980年代初頭に登場した黎明期のターボ車3選
くるまのニュース / 2022年5月31日 6時10分
現在、軽自動車から高性能スポーツカーまで、ターボエンジンは欠かせない存在となっています。このターボエンジンが急激に普及したのは1980年代です。そこで、1980年代初頭に登場した黎明期のターボ車を、3車種ピックアップして紹介します。
■ターボエンジンで高性能化が始まった頃のモデルを振り返る
日産は1979年に、日本初のターボエンジンを搭載した乗用車「430型 セドリック/グロリア」を発売。2リッターエンジンながら2.8リッターエンジンに匹敵する出力を発揮しました。
ターボチャージャーは過給機のひとつで、排気ガスによってタービンを回して空気を圧縮することでエンジンに大量の混合気を供給できる装置です。
その効果は絶大で、排気量をアップしたのと同等の効果が得られ、今では軽自動車から超高性能なスポーツカーまでターボエンジンは欠かせない存在となっています。
このターボエンジンの普及が本格化したのは1980年代で、国産車では高性能化が加速しました。
そこで、1980年代に登場した黎明期のターボ車を、3車種ピックアップして紹介します。
●三菱「ランサーEX ターボ」
ラリーでも活躍し、見た目もフィーリングも硬派なセダンだった「ランサーEX ターボ」
かつて、三菱の主力セダンの1台だった「ランサー」といえば、「ランサーエボリューション」シリーズに代表される高性能モデルというイメージが先行するのではないでしょうか。
このランサーに初めてターボエンジンを搭載されがのは1981年に登場した「ランサーEX 1800GSRターボ」からでした。
1979年に発売されたFRセダンの2代目「ランサーEX」は、排出ガス規制強化によるパワーダウンや、重量増もあり、初代ほどスポーティな印象はありませんでした。
そこで三菱は1981年に、最高出力135馬力(グロス、以下同様)を発揮する1.8リッター直列4気筒SOHCターボエンジンを搭載したランサーEX 1800GSRターボを追加ラインナップ。
ボディはスタンダードなランサーと大きく変わらずボクシーなスタイリングのセダンでしたが、フロントに小ぶりなスポイラーが装着され「TURBO」の鏡文字のデカールが貼られるなど、高性能モデルであることを控えめにアピールしていました。
一方、同時期にはライバル車もパワーアップを開始しており、そこでランサーEX GSRターボも1983年のマイナーチェンジでインタークーラーが装着され、最高出力は160馬力まで向上しました。
外観では前置きの空冷式インタークーラーを覗かせるスポイラー形状のフロントバンパーと、リアスポイラーを装着することで、直線基調のボディをよりスポーティに変貌させました。
足まわりも専用にチューニングされ、コントローラブルなハンドリングによって、硬派なスポーツセダンとしての人気を獲得
その後、1987年にランサーEXシリーズは生産を終了し、3代目以降はFFを基本とした4WDモデルが高性能グレードの主流となり、ランサーエボリューションシリーズ誕生へと繋がりました。
●日産2代目「フェアレディZ」
ターボエンジンを搭載した初の本格的なスポーツカーの「S130型 フェアレディZ」
前述のとおり日産は1979年に、430型 セドリック/グロリアにターボエンジンを搭載し、国産ターボ車の歴史が始まりました。
そして1982年には、本格的なスポーツカーである2代目「フェアレディZ」にもターボエンジンが搭載されました。
1978年にデビューした2代目フェアレディZは、外観デザインは初代からのキープコンセプトでしたが、よりロングノーズを強調したスタイリングになったのと同時にボディサイズを拡大。室内空間にも余裕をもたせ、よりグローバルでの競争力が向上しました。
さらにエンジンも、トップグレードの「フェアレディ280Z」に2.8リッター直列6気筒SOHCを搭載。1982年に北米仕様に2.8リッターターボ、国内でも2リッターターボモデルが追加されるなど、スポーツカーとしてのポテンシャルが一気に高まりました。
国内モデルでは最高出力145馬力を発揮する「L20ET型」エンジンで、自然吸気の「L20E型」から20馬力向上しました。
2代目フェアレディZはより快適で使いやすいスポーツカーとして進化を遂げ、アメリカでは初代以上の大ヒットを記録しました。
●トヨタ6代目「クラウン」
風格あるデザインが特徴でトヨタ初のターボエンジン車だった6代目「クラウン」(画像は2.8リッター車)
トヨタは日産に遅れること1年、1980年に同社初のターボエンジンを搭載した6代目「クラウン」を発売しました。
6代目クラウンは1979年に登場。コンセプトは「1980年代のクラウン」という先進性を強調し、高級車に不可欠な静粛性や乗り心地の良さと走行安定性などの基本性能を向上しつつ、到着推定時刻や平均速度などを演算・記憶する「クルーズコンピュータ」やリアパワーシート、録音可能なオーディオなどの新技術が搭載されていました。
ボディバリエーションは4ドアセダン、4ドアハードトップ、2ドアクーペ、ステーションワゴンとバンの5種類が設定され、基本的なコンポーネンツは5代目から継承していましたが、直線基調でシリーズでも屈指の風格ある外観デザインを採用。
また、フロントフェイスは4ドアセダンが角目4灯、ハードトップとステーションワゴンが角目2灯、バンとベーシックなセダンは丸目4灯とバラエティ豊かでした。
そして、エンジンはシリーズ最大となる2.8リッター直列6気筒SOHCに、2リッターが2種類と2.2リッターディーゼルを設定し、1980年のマイナーチェンジで2リッター直列6気筒SOHCターボエンジンが加わりました。
ターボエンジンは最高出力145馬力を発揮。奇しくも日産のL20ET型と同等の出力でしたが、後にトヨタは2リッター直列6気筒DOHCツインターボの「1G-GTEU型」を開発し、日産とのパワー競争が激化していきました。
※ ※ ※
前出のフェアレディZとクラウンともに2リッターターボエンジンでしたが、この背景には当時の自動車税額が影響していました。
1989年の税制改正以前は、3ナンバー車の自動車税が3リッター以下で8万1500円と非常に高額だったことから、5ナンバー車で3ナンバー車並の出力を発揮できるターボエンジンは革新的でした。
実際に昭和の時代は大型のモデルにおいて2リッター車が販売の主力でしたから、ターボエンジンの登場はかなりセンセーショナルな出来事だったといえるでしょう。
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