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「後付けペダル踏み間違い防止装置」なぜ普及せず? 高齢者扱いにドライバー激怒!? 非装着の現状とは

くるまのニュース / 2022年6月16日 9時10分

ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は相変わらず多発していますが、自動ブレーキ装着で軽減することができます。後付けのペダル踏み間違い抑制装置もありますが、なかなか普及が進んでいない状況といいます。それはなぜなのでしょうか。

■ディーラーで装着を勧めても購入しない人が続出

 アクセルとブレーキの操作を間違える「ペダル踏み間違い」による事故が多発しているようです。

 公益財団法人「交通事故総合分析センター」の調査では、2018年から2020年の3年間に発生した「アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故件数」は、死傷者が出た事故だけでも9738件発生。物損事故も含めると、かなりの数が発生していることが予想されます。

 ペダル踏み間違いによる事故がなくならないという事態を踏まえ、国土交通省によって、2020年以降の新車へ「自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)」の搭載が義務化されました。

 しかし、街を走るクルマは2020年以前のものも多く、とくに高齢ドライバーが運転するのは古いクルマが多いのも実情。

 そういった未搭載車にも装着可能な「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」(国土交通省認定)が、後付け装置として販売されています。

 しかし残念ながら、この後付けのペダル踏み間違い急発進抑制装置の販売状況や普及状況は芳しくないようなのです。それはなぜなのでしょうか。

 政府が2020年3月に開始した高齢者対象の「サポカー補助金」は、65歳以上の高齢運転者向けに、新車のサポカーの場合は自家用車で最大10万円、軽自動車は最大7万円、中古車は最大4万円の補助金が支給されるというものです。

 そして後付け式ペダル踏み間違い急発進抑制装置もサポカー補助金の対象となり、障害物検知機能付は4万円、障害物検知機能なしは2万円が補助されます。

 当初は申請数が伸びず問題視されていましたが、2021年11月に予算を超過したため、サポカー補助金は一旦停止になっています。

 最終的には予算を使い切ったわけで、かなり普及が進んだように見えますが、実際の販売現場ではトラブルが続出したといいます。

 新車ディーラーに勤務するスタッフK氏が、実態を教えてくれました。

「一番の問題は、『高齢者向け』製品という部分で気分を害されるお客さまが圧倒的に多かったことです。

 そもそも高齢のお客さまは全体の出費を抑えるためオプション装着を嫌う傾向があるのですが、後付け式ペダル踏み間違い急発進抑制装置のために追加でお金を払いたくないとか、高齢ドライバー扱いされることに難色を示すケースがほとんどで、お客さまに怒鳴られたこともあります」

 家族の勧めで後付け式ペダル踏み間違い急発進抑制装置を装着したことは数件あったとK氏はいいますが、高齢ドライバー本人には直接言いづらく、トラブルになることを避け、結果として営業スタッフもあまり勧めなくなってしまったそうです。

「弊社でも販売は継続していますが、自動ブレーキがないクルマに長期間乗っているお客さまは後付けのペダル踏み間違い急発進抑制装置の購入には消極的です。

 それならば自動ブレーキが初めから装着された新車を提案するほうが、こちらとしても営業しやすいです」(ディーラースタッフ K氏)

 また一度クルマを購入したユーザーが、後付け装置装着のためだけにディーラーを訪れることは少ないといい、故障や定期点検、車検時などで営業スタッフが装着を勧めても出費を渋ることも多いそうです。

■ペダル踏み間違いによる事故は高齢者だけでなく若年層でも多い

 この状況は中古車販売ではさらに顕著になるようです。

 都内の中古車販売店オーナーN氏によると、費用を抑えるために中古車を選ぶ人も多く、追加費用を払ってまで後付け式ペダル踏み間違い急発進抑制装置を希望する人はほとんどいないそうです。

ペダル踏み間違いは誰にでも起こりうるペダル踏み間違いは誰にでも起こりうる

 ちなみに、後付け式ペダル踏み間違い急発進抑制装置の価格はおよそ5万円弱。補助金を上手に活用すれば1万円ほどで装着が可能です。

 安心料としてはかなり安価なはずなのですが、そこには「長年問題なく運転してきた」というプライドと「まだ自分は衰えていない(はず)」という自己分析の甘さがあるようです。

 後付け式ペダル踏み間違い急発進抑制装置は、あれば間違いなく安心できる実用的な装置ではありますが、中途半端に「高齢者向け」としてしまったところに普及が進まない要因がありそうです。

 しかし、ペダルを踏み間違えるのは高齢ドライバーだけではなく、若い世代でも多く発生しています。

 公益財団法人交通事故総合分析センター(イタルダ)の調査では、ペダル踏み間違いによって死傷者が出た事故は、2018年から2020年までの3年間に9738件発生。

 追突事故などを含む「車両相互」事故は全体でもっとも多く7883件発生していますが、年齢別に見ると、運転者の年齢が75歳以上1315件、65歳から74歳1273件に対して、24歳以下のいわゆる運転初心者が1538件ともっとも多い結果となっているのです。

 ペダル踏み間違いは高齢者に多いのは事実ながら、実は24歳以下の若年層でも起こしがちなヒューマンエラーということが分かります。

 誰にでも起こりうるヒューマンエラーなだけに、ドライバーの年齢を問わず、自動ブレーキやペダル踏み間違い急発進抑制装置が非搭載のクルマは車検が通せないなど、義務化していく必要があるのかもしれません。

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