三菱「パジェロ」40周年で人気再燃?「エボリューション」は高額化!? クロカン王者の中古が狙い目
くるまのニュース / 2022年6月29日 6時10分
1990年代に空前の「RVブーム」に乗って大人気だった三菱「パジェロ」。2021年に生産が終了しましたが、現在のトヨタ「ランドクルーザー」と並ぶ、悪路走破性が人気だった「キング・オブ・クロカン」でした。
■パジェロ生誕40周年 中古車市場はどうなってる?
かつて「キング・オブ・クロカン」の称号を与えられていた名車があります。それが2022年に生誕40周年を迎えた三菱「パジェロ」です。
その人気は凄まじく、セダン全盛でトヨタ「カローラ」が販売台数の絶対王者だった時代に、新車販売台数でトップになったこともありました。
パジェロは2021年に生産終了となっており、現在は中古車でしか購入できません。40周年ということで、中古車市場でのパジェロ人気はどうなのでしょうか。
業界関係者Y氏は、「確かに40周年で少し話題にあがったりもしますが、まだ人気復活とまではいってないと思います。
ランクルは古いモデルでもクラシックとして認知されているため、プレミア価格で取引されますが、パジェロは現存する中古車自体もかなり減ってしまったこともあり、アフターパーツなども新規のものはほとんど販売されていない状況です」
アフターパーツ業界やオフロードカスタムに詳しいY氏も、パジェロ人気は復活していないと考えているようです。
一方で、中古車市場には少し動きがありそうです。
都内の中古車販売店オーナーN氏いわく、1982年から1991年までの初代は(フルレストアされた中古車が多い可能性もあり)、150万円から200万円前後という、それなりのプレミア価格で流通中ですが、パジェロブームを牽引した2代目はまだ際立った値付けの動きはないそうです。
「ランクルは60系・70系・80系など1980年代から1990年代に登場したモデルでもかなり高額で取引されるほど人気も高いのですが、パジェロは思ったほど問い合わせはないですね。
ただ、まだ少数ですが、過去にパジェロを所有し、また乗りたいからと探しているお客さまもいらっしゃいます。
どうやら初代にはプレミアが付き始めているみたいです」
また、すでにプレミアが付いているのが、ダカールラリー参戦を念頭に開発、1997年から1999年に販売された「パジェロ・エボリューション」です。
こちらは280馬力を誇る3.5リッターV型6気筒エンジンを搭載。メタルトップのショートボディ&オーバーフェンダーやアルミ製のボンネットフードなど、「エボリューション化」が施されたスペシャルモデルで、「ランサーエボリューション」並みにプレミア化しているといいます。
※ ※ ※
まだネオクラシカルやクロカンとしてパジェロが人気復活とまではいきませんが、昨今のアウトドアブームはまだまだ続きそうです。
その影響かスズキ「ジムニー」は人気が盛り上がっていますし、ランクルの場合、新型はもちろん、100系や200系も根強い人気。いつパジェロ人気が復活してもおかしくない状況ともいえます。
■RVブームを牽引したパジェロ
クロカン王者のパジェロには、どのようなモデルがあったのでしょうか。
1980年代初頭までクロカンといえば、三菱がノックダウン生産していた「ジープ」が有名でした。
そんななか、培った4WD技術を活かしたオリジナルモデルとして1982年に誕生したのがパジェロです。
三菱初代「パジェロ 」
トラック製造技術で定評ある堅牢なラダーフレームを採用し、トランスファーを介して前輪も駆動させるFRベースのパートタイム4WDシステムを搭載。
デビュー当時はまだ「RV(レジャービークル)」という言葉もなく、マルチパーパスなオフロード車として貨物登録(商用車として4ナンバー登録)のメタルトップバンとキャンバストップから歴史が始まりました。
それでも当初は月に数百台しか売れないクルマでしたが、好景気の波に乗り人々がアウトドアのレジャーにお金を使うようになったことで一気に注目度がアップ。
販売数も増加しましたが開発が遅れたこともあり、約9年ものモデルサイクルとなりました。
本格的なRVブームの真っ只中の1991年、パジェロは居住性や操縦安定性、動力性能といったすべてをアップグレードした2代目へと進化しました。
初代と同じくラダーフレームが採用され、ショートホイールベース版とロングホイール版をラインナップ。
さらにディーゼルエンジン、ガソリンエンジンと複数のパワーユニットを搭載し、オーバーフェンダーの有無や、さまざまなボディバリエーションなどの組み合わせで、最大30種類以上ものグレードが用意されていました。
さらに4WD技術も大幅に進化。フルタイム4WDから2WD(FR)への切り替えが容易で、さらにローギアード化もできるなどオフローダーに求められる性能を高いレベルで実現させた「スーパーセレクト4WD」機構を搭載。
ABSも搭載し、4輪すべてを最適に制御できる高性能さが受け入れられ、RVブームだけでなくスキーブームも重なって大ヒットしました。
1999年に3代目に進化したパジェロは、乗用車で一般的なモノコックボディを溶接したビルトインフレーム方式のセミモノコックボディを新たに採用。剛性と快適性、安全性をアップさせつつ、約100kgもの軽量化も実現しました。
パワーユニットは、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンを搭載しましたが、ガソリンエンジンには当時の三菱で最新技術のひとつだった「GDI(直噴)」機構を採用しています。
また4WDシステムには、機械式から電動式へと進化させ、駆動配分を前後3:7から5:5まで振り分ける「スーパーセレクト4WD II」へと進化しています。
ただし、パジェロのアイデンティティであった丸目から大型のリフレクターを内蔵した四角形ヘッドライトのウケがイマイチだったのと、RVブームが終焉を迎えたことで、ハイパワーな大排気量エンジンと大型ボディは無用の長物扱い。時代は環境問題に注力するようになり、クロカン人気の衰退とともにパジェロ自体も存在意義を徐々に失ってしまいました。
3代目で採用された「ラダーフレーム・ビルトイン・モノコックボディ」や「スーパーセレクト4WD II」を継承し、2006年にフルモデルチェンジし4代目へと進化。
スタイリングは初代「アウトランダー」に通じるデザインとなりましたが、大ヒットした2代目を彷彿とさせるツートンボディも復刻させるなど、人気復活へとかなり力が入っている印象を受けます。
この4代目、デビュー当時の2種類のガソリンエンジンのみのラインナップでしたが、2010年にはクリーンディーゼルターボエンジンを追加しました。
また4WDシステムは「スーパーセレクト4WD II」を引き続き搭載。さらに急ハンドルや路面のスリップを検知しブレーキを個別に制御するASC(アクティブスタビリティコントルール)と、ぬかるんだ路面でもブレーキとエンジンの出力を自動制御するATC(アクティブトラクションコントルール)を組み合わせた「ASTC(アクティブスタビリティ&トラクションコントロール)」を搭載しています。
SUVの需要が高まっていることを受けて、一部改良と2度のマイナーチェンジを経てクロカンベースのSUVへと方針転換していましたが、ベースの無骨さが抜け切らなかったせいなのか思ったほどセールスが伸びませんでした。
また、三菱が置かれている状況、さらなるEVへの注力(開発費の集中)、新しい衝突安全基準への対応が難しいなどの判断から2019年で注文受付が終了。2021年に生産終了となり、39年の歴史に幕を降ろしました。
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