なぜ「後席リクライニング」普及しない? 「あると便利…」の声も! 軽や高級セダンに設定も…定番化しない理由とは
くるまのニュース / 2022年7月28日 9時10分
最近のクルマには、さまざまな快適装備が標準化しています。そうしたなかで、後席リクライニングは移動時の快適性を向上させますが、多くのモデルにおいて定番化までには至りません。なぜ後席リクライニングは定番化しないのでしょうか。
■後席リクライニングが定番採用されないのは、なぜ?
あると便利なリクライニングシートですが、後席リクライニングを採用しているクルマはそこまで多くはありません。
後席のリクライニング機構があれば、個々にあった体勢で移動が出来ますが、なぜ採用しないモデルが多いのでしょうか。
背もたれを後方に倒すことが可能で、角度を自由に調整できるリクライニングシートは便利な快適装備です。
基本的に多くのモデルでは、運転席・助手席の前列にリクライニングを採用しているほか、ミニバンや軽ワゴンなど広い居住性を意識しているようなモデルでは、2列目、3列目のシートにもリクライニングを採用しています。
後席リクライニングについては「長距離移動の際などに背もたれの角度を変えられるのが良い」「リクライニング出来るとシートアレンジも色々出来る」などの声も聞かれます。
一方で、セダンやコンパクトカー、SUVなどの2列シート車では後席リクライニングを採用しているケースはあまりみられないほか、フルモデルチェンジなどにより後席リクライニングを廃止しているモデルも存在。
そのひとつとして、ホンダ「ヴェゼル」では、先代モデルまで後席リクライニングを採用していましたが、新型モデルでは廃止しています。
新型ヴェゼルの場合には、後席の快適性を確保しつつ求められるラゲッジスペースを確保できる設計が可能となったため、後席リクライニングはあえて撤廃するに至りました。
ホンダの担当者は「構造上の問題はないものの、リクライニング構造を入れることで荷室スペースが犠牲になることもあり、クルマ全体のバランスを考えた装備仕様としています」と話します。
クルマによっては必ずしも後席リクライニングがベストな装備にはならず、総合的に見ると不要であると考えることもあるようです。
そもそも、後席リクライニングを採用するクルマが少ない理由のひとつには、「構造」的な問題が挙げられます。
マツダの担当者は、後席リクライニングについて以下のように話します。
「3列目シートを搭載する車両の2列目は、シートが単体で独立したつくりなのでリクライニング機能が付いていることがほとんどです。
一方で、3列目はボディの内装にシートの一部が一体化したようなつくりになっているので、2列目とは、そもそものつくりが別となっています。
セダンの場合はまた話が別で、後席リクライニングがウィンドウなどに干渉する可能性があるので、空間の問題からリクライニングさせることが難しくなっています」
前述のシートが単体で独立したつくりとなっている「自立タイプ」の場合は、立っているシートにそのまま角度調整機能を付ければいいため、リクライニングの実装は比較的簡単です。
シートの一部が一体化したようなつくりとなっている「ピラー固定タイプ」の場合、後輪タイヤの直前にシートがある車種などでは、シートクッションの厚みを減らさないとレイアウトが難しくなります。
無理に実装しようとすると、乗り心地が悪化してしまったり、スペースを圧迫してしまったりという問題が生じる恐れがあるといいます。
さらに、後席リクライニングが採用されにくいもうひとつの理由には、「コスト」的な課題もあるようです。
リクライニングシートの場合、背もたれを倒すために構造が複雑となりパーツも増えるため、コストや重量がアップすることを懸念して、後席リクライニングを採用しないモデルもあるといいます。
※ ※ ※
一方で、後席リクライニングを積極的に採用しているクルマも存在します。
それは「高級セダン」など後席にVIPなどを乗せることを目的としているクルマです。
たとえば、トヨタ「センチュリー」やレクサス「LS」、日産「シーマ」などでは、電動リクライニングシートを設定。
これらは、座面を前方へ電動スライドさせながら背もたれを倒すことで、セダンの限られたスペースでありながら、快適な姿勢で座れるような仕組みとなっています。
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